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三国志プロジェクト・公演パンフレット公開


  • 2007年2月21日(水) 12:55 JST
  • 投稿者:
    清岡美津夫
  • 閲覧数
    1,323
ショー  三国志もののお芝居を上演しようという「三国志プロジェクト」という企画があって、すでに過去二回、年一回のペースで演劇が行われた。2006年2月15日-19日の期間に孫堅の若かりし頃を描いた「三国志列伝 長江の流れは緩やかに見えて」が、2007年2月15日-18日の期間に曹操、袁紹や清流派を描いた「三国志列伝 濁流を清めるは清流なり」がぞれぞれ公演された。

・「三国志プロジェクト」公式サイト
http://www.geocities.jp/sangokushiproject/

ミクシィ内三国志プロジェクトのコミュニティ
http://mixi.jp/view_community.pl?id=506185

 三国志プロジェクトの公式サイトは上記にあるよう存在しており、そこにはそれぞれの舞台のキャストとスタッフの一覧、公演チラシの画像、DVDのご案内等があった。
 このたび、さらに公演パンフレットが公開されることになった。公演パンフレットとは会場で観客に配られていたもので、そこには三国志に馴染みのない人でもわかりやすい用語解説や、演劇で出てくる人物対応図などが書かれている。上映中、これを見ながら、より深くお芝居の世界へ浸れることができた。
 今、見ても貴重なもので、DVDを見ながらこのパンフレットを使うのもありだし、三国志プロジェクトを聞いたことのない人がこのパンフレットを見てその世界観をかいま見るってのもありだろうね。
 三国志プロジェクトを知らない三国志ファンとしては登場人物とその与えられた役割(一言の説明文句で判断)を見て、あれこれ楽しむのも良いかも(もちろんその後、DVDで演劇を見るがなお良いけど)

※関連記事
・2006年2月19日「長江の流れは緩やかに見えて」観劇
http://cte.main.jp/newsch/article.php/290
・2007年2月17日「濁流を清めるは清流なり」観劇
http://cte.main.jp/newsch/article.php/513

閏1月28日は司馬師の命日


  • 2007年2月21日(水) 12:22 JST
  • 投稿者:
    清岡美津夫
  • 閲覧数
    3,391
歴史 今朝、「司馬師 命日」という検索ワードが来たんで、下記記事の二匹目のドジョウ……いや複数匹のドジョウを狙って、さらっと調べてみる。

・8月5日は司馬懿の命日 (※付8月9日の司馬昭)
http://cte.main.jp/newsch/article.php/148
・4月25日は夏侯惇の命日
http://cte.main.jp/newsch/article.php/326

※追記 3月13日は張純の忌日

※追記 歌手名「司馬師」

司馬懿の命日のコメント覧を見て貰うとわかるんだけど、私には司馬師と司馬昭を間違えた前科があるんで是非とも書こうと思った。
晋書景帝紀によると、

(正元二年)閏月疾篤、使文帝總統諸軍。辛亥、崩于許昌、時年四十八。

とのことで、中央研究院兩千年中西暦轉換によると、司馬師は紀元255年閏1月28日に48歳で崩御したそうな。
…と、別に今日明日が何かの日ってわけじゃなかったんだね。

それより閏月だとファンの方は企画が立てづらいだろうに。
(※この年は 正月→閏月→二月 という流れ)
ちなみに紀元255年閏1月28日をそのまま新暦にすると紀元255年3月23日とのこと。何かするならこの日を使うとかね。

しかし、なぜに検索で「命日」という言葉を使いたがるんだろう(それをいうなら「忌日」)。「命日」は当時の言葉ではないので単純に考えて検索では引っかかりにくいように思えるけど、言葉的に綺麗だからかな。
まぁ、それを「命日」という言葉を使いたがることを知っているからこうしてタイトルを「閏1月28日は司馬師の命日」としているんだけどね(笑)

ちなみに三国志スケジュール試用版の方では「亡くなった日」という表記にしている。

<10月16日追記>
そういやアーケードゲームの『三国志大戦2』の影響で(魏後伝、蜀後伝、呉後伝などの群雄伝の影響?)、司馬師、司馬昭にも人気が出ているとのこと。あまりよく分からないんだけど、それは本人たちの人気じゃなくてゲームで使うカードに描かれた絵が作り出すイメージやセリフに依るところが大きいと思えるんだけど、どうなんだろう。
(さらに趣向を限定すると、(大戦で)昭師が流行りらしい・笑)

2007年2月17日「濁流を清めるは清流なり」観劇


  • 2007年2月19日(月) 23:46 JST
  • 投稿者:
    清岡美津夫
  • 閲覧数
    3,844
ショー 今回の会場となった東京芸術劇場を前からみたところ。広々としたデザイン。 曹操、袁紹や清流派を描いた舞台「三国志列伝 濁流を清めるは清流なり」が東京芸術劇場小ホール2(池袋)で2007年の2月15日19:00開演分、16日14:00開演分、19:00開演分、17日14:00開演分、19:00開演分、18日15:00開演分の計6回上演された。その中で17日14時の分を観劇してきた。

・2007年2月15日-18日 濁流を清めるは清流なり
http://cte.main.jp/newsch/article.php/472

・三国志プロジェクト
http://www.geocities.jp/sangokushiproject/
※2月20日より二つの公演パンフレットが公開されている

ミクシィ内三国志プロジェクトのコミュニティ
http://mixi.jp/view_community.pl?id=506185
稽古日記は劇を見終わった後でも面白い

 当日は前の晩からの夜行バスで新宿につきバーガーショップで朝食をとりつつ、「三国志烈伝 破龍」4巻を読んだり、代々木公園駅近くでやっていた会田誠さんの展覧会「DOUBLE FANTASY」(GALLERY at lammfrommを見に行ったり、二重橋駅近くの丸の内カフェでくつろいだりと作品に触れる感性の準備運動をしていた。
 13時過ぎに着くよう会場となる東京芸術劇場へ向かう。去年も同じ池袋の劇場だったけど、やはり善し悪しや相性はともかく規模が全然違うようで外見も違っているね(と思ったので、外から撮った写真を並べてみる)。

・2006年2月19日「長江の流れは緩やかに見えて」観劇
http://cte.main.jp/newsch/article.php/290

 東京芸術劇場前に待ち合わせていたKJさんを見つけたので、声をかけてみる。どうやらまだみんな来てないようなので、先にトイレを探しに地下一階(地上へは吹き抜け)に行ってみると、そこでSILVAさんに声をかけられる。清岡とは一昨年の忘年会で会った間柄。1階にKJさんがいらっしゃる旨を言って、三人集合。そうすると三人とは初対面の玄鳳さんから声をかけてくれる。その場でみなで自己紹介。げんりゅうさんと同期とのことなので元々、知り合いの知り合いって間柄のようだ。さらにいうと清岡とは2005年の夏に三国志城でニアミスをしているようで(笑)
 東京芸術劇場に劇場が四つあって、今回は地下一階の小ホール2で行われる。地下からもアクセスできるので、とりあえず四人は地下の会場前で他の人を待つことに。そうすると、13時半前にUSHISUKEさんが登場。池袋に来て、前回の会場と間違えかけたとのこと(笑)
 もう一人の如月雪さんは少し遅れて来られるとのことなので、受付を済ませる。前回同様、勢力ごとに役名と役者名が書かれているパンフレット(一枚)および役者さんの他の演劇情報のチラシ群を手渡される。KJさんが清岡とUSHISUKEさんのチケットを予めまとめて買って下さったので、その三人は三席連続している。受付で前回の演劇「長江の流れは緩やかに見えて」のDVDが売られていたので、KJさんと清岡は購入していた。2500円。通販もあり。詳しくは「三国志プロジェクト」へ。早くも今回の演劇もDVD化されるようで先行予約の申込用紙が置いてあった。
 会場の小ホール2への扉はまだ閉ざされていて、しばしお祝いの花が置いてある待合室で待つ。すでに多くの観客がそこへ募っている。しばらくするとホールへの扉の向こうから何やら気合いの入ったかけ声が聞こえてくる。「実はもう劇が始まっていたり」とか冗談を言っていると、扉が開き開場となる(つまり開場・開演に際し気合いを入れていた声だったってことね)
 会場の東京芸術劇場小ホール2は300人は公式サイトによると座席数300席であり、どうやらパターンAっていう座席配置だったようで、G列(前から7列目)まではほぼ傾斜無しの平らで、それ以降最後の14例目まで緩やかな傾斜となっている。前回の池袋シアターグリーンのBIG TREE THEATER(元の呼称、メインホール)は座席数167席ながら、かなり傾斜があってどの席からもステージが見やすくなっていた。一長一短だね。ほぼ倍近い座席数のアップとは規模が大きくなっていて単純に嬉しく思ってしまう。我々が行ったときは土曜の昼間だというのに9割方席が埋まっていたし。
 ステージは前回と同じく上下二段配置。奥が二階建てになっていて、二階でもその下の一階でも人が居てお芝居ができるようになっている。今回はそれら二階と一階を結ぶ移動式雛壇階段や満月を照明のスポットで表現するスクリーンは無くなったものの、ステージの幕が下りる場所より手前側にスペースがあって、場面転換などにその場所をうまくつかって表現されていた。幕が下りた状態でその場所でお芝居をしたり、幕が上がった状態で、手前の場所と奥の場所、あるいは下の場所と上の場所を別場面同時進行させたり、片方を静止させ(照明を落とし)もう片方を動かしたり。私がとても面白いと感じたのは、下の場所と上の場所で別アングル同場面同時進行させたこと。下の場所は現在のシーンと回想シーンが混在で、上の場所では回想シーンオンリー。一つのステージに時空や視点をリアルで混在させるのは、演劇ならではの表現で素晴らしいね(マンガだと二つ以上のコマをうまくコントロールさせるんだろうけど)。音楽も素晴らしかった。SEがベタだったのは気になったけど。

 話を戻し、KJさん、清岡、USHISUKEさんの三人は連続の席なので、左の通路から一緒に向かう。USHISUKEさんがD列の13番でKJさんが14番、そして清岡はD列の15番、左の通路から右へ入ると7番、8番と数字が大きくなっていく。その15番目はちょうど右の通路から二つ目の席だった。それだったら、右の通路から来れば良かった、と思っていたら、右の通路からD列の16番の席に入る人影が。それは見知ったSILVAさんだった。つまり別々にチケットを購入したのに、三人とSILVAさんは連続した席になっていた。さすがに玄鳳さんは連続にならなかったけど、それでも同じ列でUSHISUKEさんの四つ先の席ですごいなぁ、と行っていた矢先に、如月雪さんがやってきて、USHISUKEさんのとなりの席(D列14番)にすわった。三人が別々にチケットを購入したのに、連続する席になるだなんてすごい偶然! それで如月さんと初対面となる玄鳳さんとが自己紹介し合っていて、その後、皆、着席する。というわけで、左から玄鳳さん、二つ飛んで、如月さん、USHISUKEさん、KJさん、清岡、SILVAさんという並びで。始まるまでパンフレットを見ながら、あれこれ談笑。

 今回も前回同様、DVD化されるとのことなので、ネタバレは避け、DVDを買ってから楽しめるように途中までレポを書くことにする。

 14時前に突然、音楽が鳴り響き、呉子卿役の福地慎太郎さんと他、役者さん四人(「良です。たっちゃんです、マサミです。亮一です」とそれぞれ自己紹介)が登場し、前説が始まる。やっぱり三国志というと知らない人にとって難しいもの・取っつきにくいものという印象があるせいで、前回と同じくわかりやすい解説の前説(三国志講座)をするとのこと。まず観客にチラシの裏をとりだして貰い、そこに書かれたタイトルとあおり文句を読み上げる。あおり文句を言うのに登場した役者さんは佐藤修幸さん。関西弁でいうところの「しゅっとしてはって」格好いい人なので、このときから劇が始まるまで清岡もSILVAさんもこの人が曹操役と思っていたけど実は何[禺頁](字、伯求)役の人。読み上げるときはなぜかそれ以外の役者さんたちがステージ狭しとアクション! これが大迫力で目を惹きつける。(だけど激動の時代というイメージを伝える以外の意味はないだろうね・笑) そして再び何度も同じ事をやって、わかりにくい単語がでるとアクションをストップさせ、説明していくってスタイル。まず辞書を読み上げるようにきっちりした説明をし、その後にわかりやすくで説明する。まず「清流派」。これを時事問題と絡め演技で説明していた(賞味期限がどうのこうの言っていたけど、一応、企業名を伏せていたが・笑)。次は「宦官」。これはサッカーのトルシエ監督とその通訳ダバディーで例え、宦官の権力の構造を説明していた。「党錮の禁」。まず今回の演劇で清流派は白い帯など白っぽいものを身につけていて、逆に濁流派は黒い帯など黒っぽいものを身につけている説明をした後で「党錮の禁」の説明。
 その後、四人の役者が諸葛亮、劉備、張飛、関羽を演じ(というかコント・笑)、劉備が書簡を読んで理解するまで早い・遅いで、演出上の都合について解説されていた。つまりリアルに表現しようと思えば読むまで間があるけど、演出上、不自然に早くなることもあるよって話。ここらへんも特典映像としてきっとDVDに収録されるかな。
 最後に携帯電話の電源を切ってください等のお願い。五分後に本編が始まるそうな。

 銅鑼のような音がなってスタート。清流派の陳蕃と何[禺頁]が十常侍を明日、殲滅しようと話し合っている中、張奐の軍がなだれ込んできて、いきなり迫力のアクションシーン。ここで陳蕃が討ち取られる(ちなみに陳蕃役の塚本健一さんは夏侯惇の師匠、韓純役との二役)。何[禺頁]が逃亡。
 張奐(字、然 明)といえば段紀明と皇甫威明とあわせて「涼州三明」(『後漢書皇甫張段列伝』より)と言われたほどの名将。あと漫画の『蒼天航路』で三国志ファンの間で有名になった人だ。清岡は清流派に対立するまま終わらないと予想していた。張奐役は鈴木賢太郎さん。黒い衣装に茶髪。ヒゲがダンディーでかっこいい。
 あと、この何[禺頁]のことを清岡は全然、知らなかったんだけど、後で見てみると、『三国志魏書武帝紀』の初めの方に「惟梁國橋玄・南陽何[禺頁]異焉」と出てくる人だね。他にもあるけどそれは後でまとめて。
 その後、張奐に指示した十常侍の張譲登場。大多和愛子さんという女性の方が演じている。なるほど、宦官だから男性的じゃなくなっているのを逆手にとって女性に演じさせるとは思い切ったことをしている、と感心した。それから真・三國無双シリーズの司馬懿を連想させるような衣装!(といっても共通するのはスマートな感じと黒羽扇だけか)。もう見た目だけでもいきなりキャラ立ちしまくっているし、悪の魅力が出ている。後で確認すると前回、反物屋主人を演じていた人だ。そう考えるとそのギャップが面白い。
 関係ないが、「張常侍是我公、趙常侍是我母。」(『後漢書宦者列傳』より)と皇帝に言われるほど権力が強い張譲と趙忠のお二人で、私はどちらかというともう一方の趙忠(趙常侍)派だったけど、こういう張譲だったらこれも良いね!
 こういう事件があったもんだから宦官たちは騒然となり、官軍はその警護にあたる。そこで曹騰(字、季興)登場。こちらも宦官なんで肱岡敬子さんという女性の方が演じている。はじめおばあちゃんかと思った。ちなみに曹操と音が紛らわしいので呼び名を字の季興で統一しているとのこと。また、前回、胡玉艶という男勝りの海賊役をしていた人でこちらもそのギャップが面白い。曹騰を護衛しにきたのは淳于瓊。金子俊彦さんが演じている。こちらもヒゲの人物で黒の衣装。
 ここで張譲側のその他の登場人物。張奐軍の部下として、才(田辺聖尚さん)、昌(一石よしふみさん)、班(和田亮一さん)、張譲の部下として珍平(望月祐治さん)、珍淋(濱田龍司さん)、珍休(佐々木高史さん)の三兄弟。それから謎の人物として影真(NAO-Gさん)。この影真は途中まで何もしゃべらず本当に謎な人物だったけど、途中、物語を大きく動かすことに(ネタバレだけど、オリジナルキャラなので、実は正体が○○とかはない)。背が高く細身で役柄に合っている。

 陳蕃が粛正された大混乱の中、場面は遊女屋のところへ移る。ここで宮内利士郎さん演じる人物登場。赤っぽい派手な衣装の上、前がはだけ胸元だしていたし、頭のてっぺんで髪の毛くくっているし、なんかノリが軽いし、遊女屋通いがデフォルトだし、はじめホント誰だかわからなかったんだけど、遊女の何人かが呼んだから誰だかわかった。それは曹操だった。つまり、「太祖少機警、有權數、而任侠放蕩、不治行業、故世人未之奇也」(『三国志魏書武帝紀』より)の「放蕩」のところや、「太祖少好飛鷹走狗、游蕩無度」(『三国志魏書武帝紀』の注に引く『曹瞞傳』より)の「游蕩無度」を強調した演出なんだ(劇を見る直前に清岡は『三国志烈伝 破龍』という少女漫画の曹操を見ていたせいか余計にすごく驚いた・笑)。宮内利士郎さんは前回、胡玉一家の胡岱(孫堅のライバル)を演じた人。前回はヒゲを蓄えはちまき巻いて格好良かったので、その人が曹操を演じているとは劇が終わって皆で話すまで全然、気付かなかった。キャラクターも違うし。同じなのは胸元がはだけているぐらい(笑)。しかしこの曹操、演劇が進むに連れてどんどんかっこよくなるから、放蕩三昧なキャラはまさしく演出の妙だったんだよな。ついでに遊女屋の登場人物は主人の麗蘭(Lindaさん)、姉妹+弟がそれぞれ桜蓮(笠原久未さん)、春蓮(大橋麻美さん)、雲珪(福代千鶴さん)。あと桃梨(三上裕子さん)。ここで桜蓮、春蓮がこの物語のヒロインとなる。二人とも美人さん。姉と妹で性格の違いが面白い(あなたはどっち派?ってな感じで)

 その後、張譲側のシーンの後、何[禺頁]側のシーンがある。ここで何[禺頁]と袁紹が会う。袁紹役に蜂須賀智隆さん。この役者さんは前回、主役の孫堅を演じており、後で気付いたんだけど、前回が孫堅と胡岱との敵対関係だったのが、今回は曹操と袁紹の関係(敵対か友好かとかは見てのお楽しみ)が物語の骨格となっている。ダブル主役。袁紹は曹操とは対照的に青っぽい服装で、髪の毛が前回、金髪だったけど、今回は青っぽく短め。知的で大人びたかっこよさがある(ここらへんも前回の役とギャップがあって面白い)。劇中では生い立ちの葛藤や恋物語などいろんな見所がある。偶然だろうけど、腰から青綬が垂れていたので郡太守格かね。(ちなみに後で出てくる張[しんにょうに貌]と曹操(胸元見えないバージョン)は赤綬、橋玄は紫綬(だっけ?) といっても模様とか長さがあるから一概に官位は決められないけど。というか党錮の禁だから…)

 さらに場面が変わって居酒屋「梅の花」(のれんでは「梅之花」)のシーン。ここに袁紹と何[禺頁]以外の奔走之会の面々がいるってところだ。奔走之会のメンバーに張[しんにょうに貌](字、孟卓)、伍瓊(字、徳瑜)、呉子卿、許攸(字、子遠)。全員、歴史書に名のある人物ながら清岡は詳しくないんで、ここらへんの人選の意味がわからなくて、ただマニアックな人選だな、ぐらいしか思わなかった。劇の途中で「もしかして西園八校尉?」なんて思ってSILVAさんや玄鳳さんに話をふってみたりした。劇が終わったすぐ後のオフ会でノートPCで見てみると、西園八校尉は曹操、袁紹、淳于瓊しか含まれていない。で、次の日ぐらいに気付いた。それは『三国志魏書袁紹伝』の注に引く『英雄記』で「又好游侠、與張孟卓・何伯求・呉子卿・許子遠・伍徳瑜等皆為奔走之友。」とそのままのやつがバッチリ載っているね。なるほど、この部分をうまくつかった設定なんだ、と納得。
 この居酒屋「梅の花」の女将を演じるのは深沢亜企さん。劇が終わってから前回のDVDについている出演者一覧を見て、気付いたんだけど前回、呉栄華(呉夫人のこと、ヒロイン)を演じていたんだね。ここらへんの演じ分けも面白いね。それから居酒屋「梅の花」の娘の弥也を演じているのは原田絵里さん。
 「梅の花」の借金の肩代わりをして助けているのが張[しんにょうに貌]ということもあり好意的で、「梅の花」は奔走之会への協力を惜しまない。ここでの奔走之会の会話により対立構造が明確になる。多くの清流派が張譲により捕らわれているとのこと。
 張[しんにょうに貌]を演じるのは小田竜世さん。オールバックで固めている髪型でとても見覚えがある。前回は呉元役で裏から手を回す渋い悪役をやっていて、今回は正義の側の役をやっていて奔走之会ではお兄さんな役どころ。こちらも格好いい。伍瓊は武闘派とパンフレットで説明(呉子卿と音が紛らわしいので「徳瑜」と劇中、呼ばれるとのこと)。後のシーンで武器に棒を携えている。無口キャラ(というか近くによくしゃべるキャラがいるから相対的なもの?)。本山裕記さんが演じている。後で知ったんだけど、前回、悪側に利用され戦っていた祖茂を演じていた人だ。はやくも伍瓊と弥也とに良い関係フラグが立っている。呉子卿はややお調子者なキャラ。パンフレットでは「奔走之会の急先鋒」とのこと。後のシーンでトンファーを携えている。前説で出てきていた福地慎太郎さんが演じる。最後に許攸。固めた前髪を額に数本垂らすクールキャラ。小林ともゆきさんが演じる。徳瑜、呉子卿、許攸は服装が似ているし、混同しないかな、と不安だったんだけど、みなキャラが立っていたし、パンフレットにも分かりやすくキャッチが書かれていたし、それは全然、大丈夫だった。
 この酒屋のシーンは前面で奔走之会と「梅の花」二人により話が進んで行くんだけど、奥に一人で酒を飲む人物がエキストラのように居る。前回、見ていた清岡にはそれが気になってしかたなかった。というのもその一人で酒を飲んでいる役を演じている人は山下裕士さん。前回、孫鍾と朱儁の威厳のある渋くかっこいい中年を演じていた人なので目がそちらへ行ってしまう。それであわててパンフレットを見てしまい、今回は橋玄を演じているとのこと。史書では『三国志魏書武帝紀』の初めの方で「惟梁國橋玄・南陽何[禺頁]異焉。玄謂太祖曰:『天下將亂、非命世之才不能濟也、能安之者、其在君乎!』」と曹操を評価した人物ね。劇中では前回と違いアクションシーンに加わらなかったものの、威厳があり舞台で存在感がありこの役も面白い。
 この後、世界観をいろいろみせるようなセリフ回しがあったあと(袁紹が登場→退場)、夏侯惇・夏侯淵の兄弟(のような関係)が酒を飲みに登場。夏侯惇を演じるのは今日平さん。金髪で髪をオールバックに固めている。やはりこの時期だから夏侯惇の隻眼シンボルはない。夏侯淵を演じるのは林田耕明さん。誠実な弟キャラ。後で知ったんだけど、前回はあのとぼけた黄蓋を演じて存在感を魅せていた人だ。すごい演じ分け。ここで宦官の季興の孫である曹操の親戚ということで夏侯惇・夏侯淵も濁流派呼ばわりされ、それが火種となり大乱闘となる。(つまりアクションシーンで観客を魅了する。この結末はDVDで)
 ちなみに夏侯惇は曹操を嫌っているという初期設定。

 さらに夏侯惇と夏侯淵の師匠として韓純(前述のように塚本健一さん演じる)、その妹として韓寧沙(奥村友美さん)。韓純はどもりどもりキャラ。単にアクセントとしてこういうキャラ設定なのかな、と思ったけどばっちり伏線となってくる。韓純の名前はオリジナルだけど、夏侯惇の師匠という設定なので、えぇ、三国志ファンにお馴染みのあのエピソードが出てくる。韓純の元、武術に励む韓寧沙はアクション(動と静)がバッチリ決まっていてかっこいい。

 今回は前回より歴史上のエピソードを多く取り入れられている。自然な形で出てくるんで、知っている人はニヤリとし、知らない人はなかなか面白い創作とおもったら歴史上の話だったと二度楽しめる(ちなみに何[禺頁]の仇討ちエピソードは後漢書何[禺頁]伝参照)。歴史的には数十年の幅のある出来事を劇中では数日の出来事ととしてコンパクトにうまくまとめられている。個人的には曹操と袁紹との対照的な人物造形がどう変化しどう物語が進んでいくか、という視点で演劇を楽しんでいた。ときどき笑いどころ、泣きどころや恋の話、それにアクションも入り、凄惨な歴史的事件を描くに際し過剰にシリアスになりがちなところを程良いバランスとなっている。前回はいろんなグループが出てきて群像をメインに描いている感じがしたが、今回はそれに比べ個々の人物をよりはっきりと描かれているような気がした。

※ついでながら花嫁エピソードのメモ

世説新語 假譎第二十七

魏武少時、嘗與袁紹好為游侠、觀人新婚、因潛入主人園中、夜叫呼云:「有偸兒賊!」青廬中人皆出觀、魏武乃入、抽刃劫新婦與紹還出、失道、墜枳棘中、紹不能得動、復大叫云:「偸兒在此!」紹遑迫自擲出、遂以倶免。


 さてお芝居に引きつけられっぱなしの満足のいく約2時間だったけど、惜しむべき終わりの時がきてしまう。最後は出演者が順に出てきて、挨拶。観客席から満場の拍手を捧げる。
 幕がおり客席の照明がつき、場内アナウンスで終わったことを知らされる。複数人で演劇を見に行くと、終わった後もあれこれ面白かった点や楽しかったシーンを言い合える余韻を味わえる。すぐとなりのSILVAさんに話したり、アンケートを書いているKJさんに話しかけたりしていた。

※他の人の感想等リンク集(リンク先はネタバレの可能性あり)

・三国志プロジェクト見てきた!(思いて学ばざれば内記事)
http://d.hatena.ne.jp/mujin/20070216/p1

・サイト「中華庭園」
http://chinesegarden.jp/
※ここの2月17日付けの「日々の出来事」

・清濁入り交じり(オタオタブログ内記事)
http://dragonlady.jugem.jp/?eid=420


 その場での用がなくなり、六人で、その場を離れ、演劇のことについて語りながら、ホール前の観客待合室に行くと、そこに人だかりができていた。
 何かと思って、すぐ思い出したのが前回の池袋シアターグリーン前のこと。そうそう役者さんが出てきてくれていて、そこで出演者と観客がコミュニケーションをはかれる場となっていたんだ。
 今回もそうなっていて、すでに衣装を着替えて(ほとんどの方はジャージ)いろんなところでお客さんと話していた。前回、我々はお客さんの熱気に怖じ気づきすぐその場を立ち去ったんだけど、今回はそれら幾多の熱気をゆうに上回るぐらい感動し、そして興奮している如月“切り込み隊長”雪様がいらっしゃったので、「写真とってきてください」と一言二言焚き付けて、先陣をきって頂くことと相成った。
 だれが居るかと探していて、皆、思わず役名で「張奐、居た! 張奐、居た!」と言ってしまっていたり(汗) 普通に橋玄役の人が歩いていたり。
 それで我々がマークしたのが曹操役の宮内さん。如月隊長曰く「なんかジャージも(演劇での)曹操っぽい!」とのこと(笑)
 引っ張りだこの宮内さんと何とか話せる場を設けることができ、一緒に写真を撮りたいという旨を如月隊長が切り出す。そうすると、茶目っ気たっぷりに
宮内さん「あ! 衣装、持ってきて撮った方がいいですか?!」
というような冗談を気さくにおっしゃったら、
如月さん「ホントーですか?!」
と真に受けてしまう(笑) 隊長の背後から思わず「いやいやいや…ネタですよ、ネタ!」と突っ込みを入れてしまった。
 その日、3時間弱後にもう一回上演があるせいか、衣装にファブリーズをかけて干しているとのこと。清岡は内心、コスプレをする方がおっしゃっていたコスプレ衣装と同じやり方なので、実はコスプレの方の扱い方はプロ仕様?!なんて思っていた。
 その後、如月隊長は一緒に写真を撮るという任務を無事、遂行し、後は宮内さんから「あんまり練習する時間がなくて…」といったような貴重なお話をいただき、「来年もすごい楽しみ!」とか「かっこよかったです」とか口々に演劇の感想を言って、「お疲れさまです」「ありがとうございます」といってお辞儀をして別れる。

 さらにもう片方の主役の人を狙って「次、袁紹、行きましょ♪」と隊長を焚き付ける。「前回、孫堅役ですよ」とか言うと隊長はさらに興奮した様子。しかし袁紹役の蜂須賀さんもかなり人気で、全然、接する機会がなく、如月隊長を先頭に我々は蜂須賀さんに金魚の糞のように着いて回っていた(汗) 
(今、写真、見ると、右手に蜂須賀さん、ファンからの差し入れを紙袋で山のように持っていらっしゃる。手ぶらでのこのことやってきた我々って一体………汗。)
 ようやく話す機会を持てて、USHISUKEさんが去年も見に来たという旨をいうと、「あ、本当ですか? ありがとうございます!」とすごく誠実にお礼をしてくださってくっちが恐縮するぐらいだった。
 そして本題の写真。二回目ともなると如月隊長の手際が良い。それで蜂須賀さんと如月隊長が何やらお話していて、こっちに話が回ってきたので、ミーハー意識丸出しで、
清岡「以前、私のところへ書き込んでくださいましたよね……清岡です」
なんて口走っていた(汗) というと覚えてくださったような受け答えをしてくださる。それから皆、口々にお礼を言ってお辞儀して別れることに。

蜂須賀さん「またどっかで見かけたら声かけてください」

なんて別れ際におっしゃってくださる。

 オフ会等、後の予定が詰まっていたので、我々はその場を後にする。みんな、道中ずっと、「濁流を清めるは清流なり」の話をしていたなぁ。

 お次は新宿で「三国志ファンのための旧暦新年会2007」。


※関連記事
・2007年7月3日『濁流を清めるは清流なり』DVD発売
http://cte.main.jp/newsch/article.php/629

・2007年2月17日プレ「三国志ファンのための新年会2007」
http://cte.main.jp/newsch/article.php/516

※追記 Tシャツ三国志 ~人中に我あり~(2010年3月10日)

※追記 劇団EXILE W-IMPACT レッドクリフ(2011年8月8日-31日)

※追記 RE-INCARNATION(2012年2月10日-19日)

2007年2月16日「三国志烈伝 破龍」4巻発売


  • 2007年2月17日(土) 22:18 JST
  • 投稿者:
    清岡美津夫
  • 閲覧数
    2,355
マンガ 「プリンセスGOLD」で連載されている長池とも子先生/箸「三国志烈伝 破龍」4巻(プリンセス・コミックス 秋田書店)が2007年2月16日に発売された。

・長池とも子先生のサイト「三国茶屋」
http://homepage2.nifty.com/nagaiketomoko/

※過去の記事
・2006年7月14日「三国志烈伝 破龍」3巻発売
http://cte.main.jp/newsch/article.php/366
・2006年1月16日「三国志烈伝 破龍」2巻発売
http://cte.main.jp/newsch/article.php/272


 今回のラインナップは次のようになっている。

第十一話 官渡前夜 ('06年プリンセスGOLD7+8月特大号)
第十二話 小覇王・孫策 ('06年プリンセスGOLD9月号)
第十三話 官渡決戦 ('06年プリンセスGOLD11+12月特大号)
第十四話 三顧の礼 ('07年プリンセスGOLD1月号)

 話のタイトルを見て一見、登場人物がバラバラのように見えて、実は諸葛亮(字、孔明)中心で話が進んでいく。その関係で表紙にも裏表紙にも諸葛亮の絵となっている。
 以下、少々ネタバレ気味

 第十一話はタイトル通り曹操と袁紹との官渡の戦いが起こる前のエピソード。諸葛亮が戦を止めようとしていると、成り行きで曹操の配下に加わることとなる。この話は緊張感があってとても面白い。諸葛亮の魅力的な表情に注目
 第十二話は曹操が孫策との同盟を決意し、諸葛亮を折衝役として孫策の元へ行かせる。そのため、舞台は孫策の周りとなる。これも孫策が生き生きと描かれていて面白い。
 第十三話はそんな前の二つの話を受けてのこと。意外な展開と、その後の諸葛亮の行動に影響を与える曹操の存在感の大きさが見物。「諸葛孔明 時の地平線」の諸葛亮と曹操との関係と見比べるとさらに際だって面白いかも。
 第十四話は文字通り、三顧の礼。劉備が諸葛亮のところへ訪ねるあのエピソードね。そのため急に時間が飛ぶ。その間のエピソードは他の巻参照。やっぱりここでのアクセントは諸葛亮の妻、黄月英ね。すっかり諸葛亮の性格も前話とは変わっている。ここで前話の曹操によってできた葛藤が大きく話に響いてくる。ここらへんを三顧の礼と絡めると面白いね。

2007年3月6日 龍狼伝 連載再開


  • 2007年2月16日(金) 20:52 JST
  • 投稿者:
    清岡美津夫
  • 閲覧数
    2,598
マンガ

チェックし忘れ。2月6日に発売した「月刊少年マガジン」3月号の次号予告によると、2007年3月6日発売の「月刊少年マガジン」4月号に「龍狼伝」が載るとのこと。「月刊少年マガジン」2006年12月号で匈奴編完結したところで休載していたので、つまり2007年3月6日に連載再開ってことで。

・月刊少年マガジンWEB
http://www.gekkanmagazine.com/

・2006年11月6日 龍狼伝 匈奴編完結
http://cte.main.jp/newsch/article.php/457

<3月6日追記>
中原繚乱編スタート。西暦210年、周瑜登場らしいよ。

<10月15日追記>
『鉄拳チンミ』が一旦終了し、『新鉄拳チンミ』や『鉄拳チンミLegends』としてタイトルを替え新連載したのと同じように、『龍狼伝』も2006年11月6日で一旦、連載を終了し、『龍狼伝 中原繚乱編』として新連載が始まったんだね。遅ればせながら追記。
 

※追記 『龍狼伝 中原繚乱編』2巻(講談社 2008年1月17日)