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「後漢代の四川省に製鉄所、「蜀」建国の理由に迫る発見か」(読売新聞)


  • 2007年10月27日(土) 22:59 JST
  • 投稿者:
    清岡美津夫
  • 閲覧数
    1,754
新聞  今日の読売新聞の夕刊に「後漢代の四川省に製鉄所、「蜀」建国の理由に迫る発見か」という記事。これはネットにもあるのでそちらを参照のこと。

・YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/
※ここの「社会」→「文化」。2007年10月27日付け

 これを論拠にネットで騒ぐ三国志ファン(蜀ファン)が出てきそうなので、一応、釘を刺しておくけど、読売新聞の記事のタイトルは古石山遺跡(中国・四川省、成都市蒲江県)の調査に携わった考古学者の「可能性がある」という発言を承けてのことだろうね。劉備の考えに関して多分、文献との対応がとれないんでリップサービス以上の意味が出るとは思えないんだけど(鉄だけで劉備が動くとは考えにくい)。
 一応、『三国志』蜀書で「鐵」(鉄)で検索かけると、「較鹽鐵之利」と塩とセットで出てくるし、そこに劉備の意志は見えない。
(※塩と鉄は漢代では専売で、塩官、鉄官があって別に劉備のオリジナルではない)

 益州は元々、鉄がでるところで、『続漢書』郡国志に出ている分だけでも蜀郡臨[工β]縣、越[崔/冏]郡臺登縣、越[崔/冏]郡會無縣、益州郡[シ眞]池縣、永昌郡不韋縣に「出鐵」(鉄が出る)と記述がたくさんあるのに、今回の発見に対して今さら「建国の理由」の方へ価値を見出すのも変な話に思えるんだけど(専門外だからわからんが別のところに新聞がとりあげるべき価値があると思うんだけど)。時代が蜀漢以前の後漢で「建国の理由」の物的証拠というわけでもないし。


<参照>銅はどこ?
http://cte.main.jp/newsch/article.php/190

三国創作のための『儀礼』メモ


  • 2007年10月26日(金) 21:24 JST
  • 投稿者:
    清岡美津夫
  • 閲覧数
    13,186
歴史 『儀礼I 別冊図』の中身 以前、三国創作における冠などかぶりものに関して「最低限、進賢冠と武冠が描かれていればリアリティが増すのかなぁ」と強引な説を書いてみた(下記リンク先)。

・メモ:「中国服飾史上における河西回廊の魏晋壁画墓・画像磚墓」
http://cte.main.jp/newsch/article.php/641

 それで今度は建物について強引なことを書く。最低限、「堂」が描かれていたらリアリティが出るのかなあ、と思っている。
 「堂」とは建物の部分の名称で、地面より高い位置にある台で、その三方が「室」など他の建物の部位に繋がっているのに対し、その南面には壁がなく開けている(逆に「北堂」は北側が開けている)。南側から堂の上にアクセスするには南面の東と西にある階段を使う。つまり階段を使って地面から堂の上へ昇る。また「殿」は『説文』に「堂の高大なる者なり」とあり基本的に堂と同じ構造なんだろう。堂の子孫だろうなと思えるものが今でも神社仏閣(それに舞台も?)に見られる。
 こういった堂は後漢時代あたりの明器によく見られる題材となっている。

※参照(と言ってもほとんど関連性はないが)
・中国古代の暮らしと夢
http://cte.main.jp/newsch/article.php/317

 それで何で「堂」かというと、多くの日常的な活動の舞台となっているからだ。

 少々、遠回りになるが、以下、ここに至るまでの説明。
 当時の社会風俗を知ろうと思えば、墓から出土された明器や畫像石・畫像磚に描かれたものを参照・適合にしながら、文献を読み解いていけば良いんだろう。こっちは三国志ファンなもんだから、当時の文献で真っ先に思い付くのが『三国志』や『漢書』『後漢書』などの史書になっちゃうんだけど、それはあくまでも歴史のトピックスが書かれていて日常的なことが書かれることは希になる。強いて言えば『後漢書』の志の部分かな、禮儀志や輿服志があるし。そこで史書以外で社会風俗がよく書かれている当時の文献は何かと行き着いたのがいわゆる三礼。三礼とは経典の『周礼』『儀礼』『礼記』のことで、『三国志』中にも数例その単語が見られ、有名どころでは『後漢書』盧植伝で「作尚書章句・三禮解詁。」とあり盧植が三礼の解詁を作ったことが書かれている(『字通』CD-ROM版によると「解詁」→「訓詁」で「字義の古今を解く。」とのこと)。このうち、ごく簡単に書くと(※というか私の理解が乏しいので簡単にしか書けない)、『周礼』は制度について書かれてあり、『儀礼』は礼に関する行動が細かく書かれてあり、『礼記』は『周礼』と『儀礼』との両方の性格を併せ持っているとのこと(自転車で喩えるとロードレーサーとMTBとの両方の性格を持つクロスバイクといったところか。悪く言えばどっちつかずとも言うが)。
 三礼のうち、当時の社会風俗を具体的に浮き彫りにしているのは『儀礼』だろう。もっとも経典なので教科書的で礼として理想化されてそうだが、それを差し引いてもよく当時の様子をよく残していると思っている。そういう考えで『儀礼』の訳註を探し大手書店に行ったものの見つからない。書店の検索端末で「儀礼」と検索すると、普通名詞の「儀礼」を持つタイトルが並んだため、『儀礼』が見つかりにくい。ようやく『儀礼』が見つかったものの在庫無し。仕方ないので、『礼記』の訳註(明治書院の新釈漢文大系シリーズ、原文、書き下し、通釈、語釈)に目を通すと、冠婚葬祭の個々の人の行動は元より、宴会や食事の様子まで書かれていて、これでも目的の多くは達せられると思い、暇があれば目を通していた。そこには具体的に細かく書かれているんだけど、冒頭で書いた堂をはじめ、稽首、答拜、揖やら簟やら馴染みのない単語が出てくる。もちろんこれらは語釈に解説があるもののどうもイメージとしては想像しにくい。これを三国志ファンにもわかりやすく喩えると『三国志』蜀書[广龍]統伝の注に引く『襄陽記』に「孔明毎至其家、獨拜牀下、徳公初不令止」とあっても孔明がしていた「獨拜」がどんなものか「牀下」がどんなところなのかそれぞれの単語を知った上でさらに全体像を掴むことに似ている。

<参照>「牀」 三国志の筑摩訳本を読む
http://cte.main.jp/newsch/article.php/221

 まぁ『三国志』自体もそうだけど、「どうせだったら『ヴィジュアル礼記』なんかあったら便利だなあ」と思っていた。

 そんなおり、図書館で見かけたのが池田末利/訳註『儀礼』(東海大学古典叢書)。『礼記』より『儀礼』の訳註を探していたことをすっかり忘れていたんだけど、試しに全四巻のうち一巻、つまり『儀礼I』を借りることにする。箱入りのハードカバーで同じ箱には『儀礼I 別冊図』として訳註とは別の冊子があり、そこには折り込みで45枚の図がある。どんな図かというと建物の平面図(ほとんど堂が描かれてある)があり、それぞれには『儀礼』の本文に対応した人物の配置や人物の行動が描き込まれている。それが右上の写真(少々分かりにくいが、図があってそこに文字があれこれ書き込まれているという雰囲気だけでも)。立体ではないにせよ、まさしくヴィジュアルなのだ。
 それで『儀礼I』の冒頭にある「自序」を読むと、こういった「空間的に再構成」することは『儀礼』を理解するために必要と考えられているようで、その例として「台湾の孔徳成氏等の儀礼グループでは十六ミリの映画を使用していると聞く」(※本来は旧字体で書かれているが表示の都合上、書き替える、以下、同じ)やら「さらに、焦循は十七篇のうち喪服・士喪・既夕・士虞礼を除く十三編については「習礼格(※「すごろく」とルビ)」を作って習うことを述べている。則ち、朝廟や庠に門・階・堂などを記入した紙の奕秤(※二字合わせて「ばん」とルビ)を作って、それぞれ人物・器物、それに揖・拝などの行動を示す棋(※「こま」とルビ)を木か石で種別に作り(後略)」やらが出ている。部外者だから無責任にここらへんはお人形ごっこを連想し、笑ってしまうんだけど。器物図は聶崇義/撰『新定三禮圖』に拠っているとのことなので、『中国社会風俗史』同様、畫像磚石・俑などの出土史料に基づいている訳ではないので注意が必要かな。
 さて『儀礼』に目を通し新たな発見が楽しみだ(その前に『礼記』に目を通し終えたいところだけど・汗)

 こういうふうに堂は当時の日常生活で重要な場所なんだけど、三国創作において堂を描いたのは良いが、堂上で「踞する」描写をしてしまってはリアリティが台無しになってしまうのでそこらへんは注意が必要となる。

・メモ:踞牀
http://cte.main.jp/newsch/article.php/485

<2008年7月14日追記>

・池田末利/訳註『儀礼』(東海大学古典叢書)

巻の内訳

儀禮I
 士冠禮 士昏禮 士相見禮 郷飲酒禮 郷射禮

儀禮II
 燕禮 大射儀 聘禮 公食大夫禮 覲禮

儀禮III
 喪服

儀禮IV
 士喪禮 既夕禮 士虞禮

<追記終了>


※関連記事 佐原康夫/著『漢代都市機構の研究』(汲古叢書31 2002年)

※追記 メモ:東漢人多為舉主行喪制服

三国志大戦2 DVD 天将星(2007年10月25日発売)


  • 2007年10月25日(木) 18:19 JST
  • 投稿者:
    清岡美津夫
  • 閲覧数
    2,884
映像作品

 『ファミ通』を出しているところとして有名なエンターブレインだけど(ちなみに私はちょっと前までアスキーと思っていた・汗)、そこが出しているDVDにリアルタイムカード対戦の『三国志大戦2』のDVDがある。

・エンターブレイン
http://www.enterbrain.co.jp/

2006年11月16日に『三国志大戦2 DVD 将星演武』、2007年3月22日に『三国志大戦2 DVD 大将星』が発売したんだけど、それらの第三弾として2007年10月25日に『三国志大戦2 DVD 天将星』が発売されるとのこと。
内容は「ランキング上位君主による対戦、トーナメントなど、充実の対戦集を、ゲーム画面+手元画面のマルチ構成で収録」とのこと。

<『三国志大戦2』についての参照>
・横山三国志伝(2007年10月25日追加)
http://cte.main.jp/newsch/article.php/718

ちなみに同社からレーベルは違うが、2007年6月25日に1巻、2007年8月27日に2巻に続き2007年10月25日同日に『マジキュー4コマ 恋姫†無双 ~ドキッ★乙女だらけの三国志演義~』の3巻が発売される。『恋姫†無双』4コマの第3弾ってことで。

<参照>マジキュー4コマ 恋姫†無双
http://cte.main.jp/newsch/article.php/662
 

三国志ニュース2005前


  • 2007年10月24日(水) 12:23 JST
  • 投稿者:
    清岡美津夫
  • 閲覧数
    2,291
ネット  三国志ニュース3周年記念企画として、今まで三国志ニュースで取りあげてきた出来事を時系列で並べ直しピックアップしている。

・三国志ニュース3周年(10月22日)
http://cte.main.jp/newsch/article.php/717
<目次>記事一覧
http://cte.main.jp/newsch/article.php/772
<前回>三国志ニュース2004
http://cte.main.jp/newsch/article.php/717#a
<次回>三国志ニュース2005後
http://cte.main.jp/newsch/article.php/726

 今回はタイトル通り、2005年前期における三国志ジャンルの出来事の中から三国志ニュースで取りあげたものをリストアップしていく。次回は11月1日に「三国志ニュース2005後」の予定。
 「三国志ニュース2005前」は下記の「三国志重大ニュース2005」と被る部分がある。

・三国志重大ニュース2005
http://cte.main.jp/newsch/article.php/233

 何か2005年前期のリストについて洒落たコメントを書ければ良いんだけど、特に思い付かないな。三国志漫画界について言えば前年の三国志漫画連載ラッシュを承けて単行本が出たり連載終了が生じたり明暗を分けた中、三国志コミック専門誌が創刊したり、新聞がそれを三国志ブームとして取りあげたことがトピックかな。

2005.『世界古典文学全集24 三国志』再版
2005.01.01.『千客万来』7話
2005.01.28.『コミック三国志マガジン』創刊
2005.01.28.『覇-LORD-』第1集発売
2005.02.02.『千客万来』第8話「急展開!」
2005.02.16.コーエー、グラフィックデザイナーを急募
2005.02.24.『真・三國無双4』発売
2005.02.27.「天に星、地に花、人には愛を。」(三国志系オンリー同人誌即売会)
2005.03.01.『千客万来』 第9話&第10話 曹操登場
2005.03.01.「双璧大祭 2nd」
2005.03.05.『人民中国』 2005年3月号 赤壁古戦場レポート
2005.03.09.「策の日祭り」
2005.03.09.『その時歴史が動いた』で三国志
2005.03.10.『三国志X』(PS2)
2005.03.14.海洋堂製のNHK人形劇「三国志」フィギュア発売
2005.03.15.『三国志大戦』稼働開始
2005.03.21.朝香祥/著『散華』『千里を駆ける』同人誌展示即売
2005.03.23.漫画界で「三国志」ブーム(朝日新聞)
2005.03.24.『真・三國無双アドバンス』(GBA版)
2005.03.27.佐々木泉/著『天舞』同人誌展示即売
2005.03.27.『三国志漫画劉備くん』休載
2005.03.28.別冊宝島1133『三国志 僕たちの英雄伝説』
2005.03.28.『コミック三国志マガジン』2号
2005.03.29.『開運なんでも鑑定団』で孔明の武器登場
2005.04.13.『中国新聞』で三国志コラム
2005.04.20.『覇王の剣』連載終了
2005.04.21.「キャラクタービジネスから見た三国志」
2005.04.26.『三国志大戦 必勝戦術講義』
2005.04.28.『三国誌略』配信開始
2005.05.04.「第2回三顧会」
2005.05.10.「世界の書籍展」で三国志
2005.05.17.佐竹美保「三国志の世界」原画展
2005.05.21.諸葛亮の生誕1824周年 故郷・山東に宗祠が落成
2005.05.28.『コミック三国志マガジン』第3号 白眉最良号
2005.05.31.『コミック 三國志 トゥルーエピソード Vol.1』
2005.06.06.英傑群像開店3周年記念企画
2005.06.07.『三国志大戦』Ver1.003にバージョンアップ
2005.06.08.三国志onlyサークル会誌『KINGDOMS×REVOLUTION』3号発行
2005.06.21.「三国志大戦TBP」開設

横山三国志伝(2007年10月25日追加)


  • 2007年10月23日(火) 12:11 JST
  • 投稿者:
    清岡美津夫
  • 閲覧数
    3,532
ゲーム

アーケードゲームの『三国志大戦2』(SEGA)は名前に隠喩されているように人間対人間の「対戦」(タイセン)がメインなんだけど、それ以外に対コンピュータとして1人用モードの群雄伝(言ってみればストーリーモード)がある。その群雄伝で10月6日に南蛮伝が加わったことを以前、伝えたが、公式サイトの10月22日の発表によると今度の2007年10月25日に「横山三国志伝」が加わるとのこと。
昔の多くの三国志関連の創作がそうであるように、紛らわしいことに自作に対して陳寿の歴史書と同名の「三国志」と名付けるため、三国志ファンの間では例えば「吉川三国志」「北方三国志」「宮城谷三国志」「コーエー三國志」と、「三国志」に作者名や制作側の名を冠することで区別していたんだけど、ここでの「横山三国志伝」の「横山三国志」とは横山光輝/著『三国志』(漫画)のこと。ちなみに他には「横光三国志」や「横山光輝三国志」(これはアニメやニンテンドーDSのゲームのタイトルだね)という呼び方もある。
こういった既存の創作を群雄伝(シナリオ)に出すのは初めてのことだけど、既にゲーム内で使用するカードとしては「横山三国志」を始めいろんな作品が使われている(そういったカードをレジェンドカード(LE)と呼ばれる)。そのため三国志大戦ユーザーにも「横山三国志伝」をすんなり受け入れられるどころか、「横山三国志」に馴染みのある層に対しても良いアピールになるのかな、と想像される。

・三国志大戦2公式サイト
http://www.sangokushi-taisen.com/

<関連>
・2007年10月6日三国志大戦2追加シナリオ(南蛮伝)
http://cte.main.jp/newsch/article.php/710
・2007年5月31日「三国志大戦2」Ver.2.11にバージョンアップ
http://cte.main.jp/newsch/article.php/615
・2006年9月5日「三国志大戦2」Ver.2.01にバージョンアップ
http://cte.main.jp/newsch/article.php/411
・2006年5月24日 三国志大戦2稼働&公式サイトリニューアル
http://cte.main.jp/newsch/article.php/343

※『三国志大戦』関連記事
・2005年3月15日「三国志大戦」稼働開始
http://cte.main.jp/newsch/article.php/91
・2006年5月24日 三国志大戦2稼働&公式サイトリニューアル
http://cte.main.jp/newsch/article.php/343
・『三国志大戦3』稼働開始(2007年12月13日)
http://cte.main.jp/newsch/article.php/760

・『横山光輝 三国志』(シミュレーションRPG、2007年8月1日)
http://cte.main.jp/newsch/article.php/765