※前記事
メモ:鎧 and リンク:東アジアにおける武器・武具の比較研究
※参照記事
1976年 林 巳奈夫/編「漢代の文物」
上記参照記事の「2011年4月7日リンク追記」にあるように、アクセスログを見ると2011年4月7日22:45:28に「林巳奈夫氏の「漢代の飲食」(東方学報)」という検索語句(タイトル以外で敬称や助詞を入れているあたり初々しい感じが)が見えたんで、CiNii(国立情報学研究所提供サービス)で検索してみる。
そうすると林 巳奈夫「漢代の飮食」(『東方學報』48巻、京都大学人文科学研究所1975年12月10日)が京都大学学術情報リポジトリ(KURENAI)で無料公開されているのに気付く。三国時代やその前後の直接的な飲食の史料は少ないため、その前代に当たる漢代関連の論文は貴重となる。余談だけど冒頭で書いたような情報のリーチの仕方が多々あるので、やはり検索語句の共有化は有益かと。
・京都大学人文科学研究所
http://www.zinbun.kyoto-u.ac.jp/
・Kyoto University Research Information Repository: ホーム
http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/
・Kyoto University Research Information Repository: 漢代の飮食
http://hdl.handle.net/2433/66533
それは98ページの論文で、下記のような目次になる。
2 一 穀類
2 (1) 種類
11 (2) 調理
23 二 肉類
23 (1) 種類
29 (2) 加工、調理
55 三 野菜、香辛料
58 四 調味料
63 五 果物、ナッツ
63 (1) 種類
66 (2) 加工
67 六 飲物、酒
67 (1) 飲物
71 (2) 酒
80 七 結び
81 附録 『儀禮』に用ゐられる家畜の肉の名稱
87 注
92 挿圖出所目録
92 引用文獻目録
94 漢代飮食關係語彙索引(五〇音順)
この論文は、その冒頭に書いているように、元々、翌年発行された林 巳奈夫/編『漢代の文物』(京都大學人文科學研究所1976年12月15日発行、新版は1996年)の一章として書き始められたものだという。だけど、遺物・画像等の文物が関係するところが少なく、また一章として分量も少ないため、別に発表されたものだそうな。言われてみれば、『漢代の文物』のように当時、それが何と呼ばれたか(正確には何という文字で記されたか)から入り、論を展開している。
以下、雑感めいたもの(というより自分向けのメモ)を箇条書きにしてみる。
・P.14。『釈名』釈飲食に「餱、候也、候人飢者、以食之也」とあって、餱は客が来た時に腹が減っているといけないということで出す麦飯だそうな。
・P.17に下記参照記事にあるように『三国志』巻二十二魏書盧毓伝の「名如畫地作餅」(→畫餅)でお馴染みの餅の説明あり。『釈名』釈飲食に「餅、并也、溲麪使合并也」とあって、麪は麦の粉だそうで、それをこね、合并させたものだそうな。
※参照記事
「絵に描いた餅」の元祖?
・その詳細がP.21にあり、餅の種類があれこれ記されている。胡餅とか蒸餅とか湯餅とか
・P.23に長沙馬王堆一号墓から出土したリストにあるとし、「犬」は成犬、「狗」がかたい毛の生える前の仔犬だそうな。
・P.28に肉の部位の名称あり。
・P.41によると膾は今のなますじゃなくて刺身だそうな。
・「犬と狗」みたくP.46.によると豕と豚と使い分けられているそうな
・P.58から「四 調味料」ということで詳しく書かれている。醤とか
・P.66に加工した桃である「桃諸」が出てくる。
・P.67よりの「六 飲物、酒」でいきなり酒について出てくる。あと出土物から、水もしかるべき身分の人は飲むとのこと。
・P.72以降に『周礼』酒正の「辨三酒之物、一曰事酒、二曰昔酒」、三曰淸酒」に出てくるそれぞれの酒の説明あり。
・P.74。『礼記』月令 仲夏条に「是月也、天子飮酎、用禮樂」の鄭玄注に「酎之言醇也、謂重釀之酒也、春酒至此始成」とあり、つまり「酎」は(米を足し)醸すのを重ねる醇(こいさけ)だそうで、よく何の論拠も示されずにあの時代の酒は薄いって言われて常々疑問に思っていたが、反例としてこれを言えばいいだね。
※次記事
リンク:「趙岐『孟子章句』の特徴」
※追記
第二回 三国志ナイト(2012年2月15日水曜日)
※追記
ヨメウラ三国志(2013年7月2日)
※追記
レポ2:九州三国志忘年会(2013年12月29日)
※追記
十大三国志ニュース2015
※追記
范陽の盧氏について――盧植・盧毓と漢魏交代期の政治と文化――(2016年6月)
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