今回も多少、前置きが長い。
・京都国際マンガミュージアム
http://www.kyotomm.jp/
・国際学術会議「世界のコミックスとコミックスの世界」| 京都国際マンガミュージアム
http://www.kyotomm.jp/event/study/isc01.php
上記リンク先にあるように2009年12月18日から20日まで京都国際マンガミュージアムにて国際学術会議「世界のコミックスとコミックスの世界」が開催された。知っている分で、関連する登壇者のブログ記事へのリンクを下記に列挙する。
・夏目房之介の「で?」
http://blogs.itmedia.co.jp/natsume/
・京都国際シンポ終了 (※上記ブログ記事)
http://blogs.itmedia.co.jp/natsume/2009/12/post-03e7.html
※追記
・国際シンポ12月18日ワークショップへのコメント (※上記ブログ記事)
http://blogs.itmedia.co.jp/natsume/2009/12/post-f0c9.html
※追記
・2009.12.18 グルンステン氏の発表後の質疑 (※上記ブログ記事)
http://blogs.itmedia.co.jp/natsume/2009/12/20091218-a376.html
・小田切博の「キャラクターのランドスケープ」
http://wiredvision.jp/blog/odagiri/
・「マンガの国際学術会議」が日本で開かれる意義 (※上記ブログ記事)
http://wiredvision.jp/blog/odagiri/200911/200911241400.html
・間抜けな話 (※上記ブログ記事)
http://wiredvision.jp/blog/odagiri/200912/200912221500.html
それで清岡は下記リンク先の日記にあるようにその国際学術会議に関連する研究会にも気軽に一般聴講していた。ネームプレート型の国際学術会議の共通チケットが事前申込で1000円で売っていて、それが右の写真となる。ちゃんと京都精華大学の名前が英語で書かれてある。ちなみに最終日にこのネームプレートは返す。それから国際学術会議について、どの発表も示唆に富んでいて、いろんなヒントを貰っていた。
・京都国際マンガミュージアムへ。初日
http://cte.main.jp/sunshi/2009/1209.html#13
※新規関連記事
メモ:学習漫画のドラマトゥルク(2020年7月5日日本マンガ学会オンライン研究発表会2日目)
このサイトは「三国志ニュース」な訳なんだけど、この国際学術会議は無関係だと思い、これで記事にすることもないだろうと思っていたが、関連することで一つ気になることがあった。
それは国際学術会議三日目の総合討論の場。17時20分頃の話。観客席に明治大学の藤本由香里准教授がいらっしゃって、歴史漫画における少年漫画と少女漫画との違いについてコメントされていた。
・藤本由香里 (honeyhoney13) on Twitter
http://twitter.com/honeyhoney13
それで慌ててメモを取ってみた。それが以下。
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たまたま私はこの間、歴史を扱ったマンガを、少年マンガと少女マンガを比べるという仕事をいたしまして、少年マンガはある特定の出来事や実在の人物に関するエピソードを割と忠実に取り上げる傾向があるのに対して、少女マンガの場合にはむしろオリジナルのキャラクターを作って、ある時代背景は描くんだけども、オリジナルなキャラクターによって感情移入を非常に強くすることによって、その時代に興味を抱かせるというようなところが大きいと言うことが判りました。そうした感情移入とかキャラクターの狙いというのもマンガ研究にとっては、やはり国際的に、それから、読むときの主人公との距離感の問題なんですが、それも比較していくと非常に面白いのではないかと思います。
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この発言中の仕事というのは、軽くネットで検索をかけてみると、下記のサイトの「公開講演会・シンポジウム」のお知らせページに書かれてある、2009年12月13日13時から17時に日本学術会議講堂にて行われた「歴史教育とジェンダー―教科書からサブカルチャーまで」という公開シンポジウムで「「女たちは歴史が嫌い」か?~少女マンガの歴史ものを中心に」というご講演だということがわかる。
・日本学術会議
http://www.scj.go.jp/
・歴史教育とジェンダー―教科書からサブカルチャーまで (※PDFファイル)
http://www.scj.go.jp/ja/event/pdf/83-s-1-1.pdf
※2012年7月4日リンク追記
・CiNii 論文 - 「女たちは歴史が嫌い」か? : ─少女マンガの歴史ものを中心に
http://ci.nii.ac.jp/naid/130000450855
※ここのリンク先の「J-STAGE」から論文を閲覧できる。
話を戻し、感覚的にこの見解には賛同できる。と言っても清岡が三国漫画以外で少女漫画の歴史物を読んだっていったら、池田理代子/著『ベルサイユのばら』、渡辺多恵子/著『風光る』、諏訪緑/著『玄奘西域記』ぐらいなので、これほど当てにならない賛同もないんだけど。あとどこまで「歴史を扱ったマンガ」とすべきかって定義のこともあるだろうし。少女漫画の読者層を想定した場合、ともかく感情移入対象となるキャラの存在というのは、何か他にも適応可能な重要ヒントを頂いた気がしていた。
それで三国漫画にこの少年漫画に対する少女漫画の違いを考えてみる。と言っても私の知っている限りでは、少女漫画雑誌で連載していた三国漫画は『プリンセスGOLD』の滝口琳々/著『江東の暁』、『月刊flowers』の諏訪緑/著『諸葛孔明 時の地平線』、『プリンセスGOLD』の長池とも子/著『三国志烈伝 破龍』、『ミステリーボニータ』の青木朋/著『八卦の空』ぐらいしかないんだけど。あと漫画雑誌ではないが、『小説ジュネ』の白井恵理子/著『STOP劉備くん!』ってのもあった。
※関連記事
滝口琳々先生のサイト「華流」
2007年5月 2つの少女漫画連載終了
『ふしぎ道士伝 八卦の空』5巻完結(2008年11月14日)
メモ:『私説三国志 天の華・地の風』復刊
「三国志」を題材とした漫画は、歴史を扱った漫画というだけでなく後世の小説の『三国演義』を扱った漫画という可能性が含まれているが、ここでは歴史や小説の区別は棚上げし「歴史・古典の」「ある特定の出来事や実在の人物に関するエピソードを割と忠実に取り上げ」られていることに視点を定めてみる。
そうすると、少年漫画に比べれば確かに「忠実」に力点が置かれているわけではなさそうだが、「オリジナルなキャラクターによって感情移入を非常に強くすること」というのは外れてきそうだ。前述した三国漫画は実在の人物中心に話が進む。但し、「オリジナルなキャラクター」的な要素が主役にも脇役にも散りばめられており、ここらへんが「感情移入」の対象として作用するかどうか考察の余地はありそうだ。
<12月29日追記>
新宿の戦国居酒屋がNHKの番組『COOL JAPAN 発掘!かっこいいニッポン』で取材されていて、そこに集まる若い女性の会話が出ていた。それは石田三成が目の前に現れたら、自分の合うかどうかという他愛のないものなんだけど、それに件のヒントが潜んでいるように感じた。加えて、さらに絞った取材では人物のヴィジュアルを現代受けしそうな風にしたゲーム(『戦国無双』)から石田三成が好きになったそうな。
「感情移入」というと、どうも私は一人称的なものしか想像が及ばなかったが、二人称的な感情移入もあり得て、むしろキャラクタービジネスではそちらがメインだと気付く。
前述した少女マンガの典型例としては、おそらく実在の人物やエピソードであると制約が多く一人称的または二人称的「感情移入」点を出しにくいと考えられた結果、オリジナルなキャラクターが多くなったのではないかな、と思う。逆に前述のゲームであれば、ヴィジュアルの部分や設定など、オリジナルな要素を多く入れて「感情移入」点を増やした結果なんだろうね。
※追記
三国志女子会in大阪(2012年8月25日)
<リンク追記>
・花郁郁たる高陽里
http://gaoyangli.blog79.fc2.com/
・今年を振り返って(ちょっぴり書き直し&書き足し) (※上記ブログ記事)
http://gaoyangli.blog79.fc2.com/blog-entry-195.html
※清岡コメント。まず読み手側と書き手側という前提に違いがあり、その他、いろいろ個人的には共感できないところが多いけど、参照できるところはしたいところ。
※次記事
メモ:大半の三国創作と二次創作の相似点
※追記
十大三国志ニュース2010 中編
※追記
三国志ジョーカー 第2巻(2011年4月15日)
※追記
議事録:三国創作における視覚的研究材についての情報交換会(仮題)(2012年7月5日)
※追記
京都で哲舟さんを囲む会(2013年2月5日)
※追記
ノート:横山光輝『三国志』に見られる連環画の再構築(2013年7月6日)
※追記
ノート:三国志学会シンポジウム(2013年9月21日)
※追記
メモ:2015年、2つの研究テーマ
※追記
1980年代日本における「三国志演義」翻案作品のファン層形成(2016年6月25日)
※新規関連記事
立間祥介訳 三国志演義(平凡社1962年、徳間書店1983年8月)
※新規関連記事
歴女と歴史コンテンツツーリズム(2017年4月20日)
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中国古代化学(2017年9月)
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