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2009年12月の雑記
2009.11.09.
<<2009年11月の雑記


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   このページは日記コンテンツです。本サイトでは全然、ジャンル違いなので注意です。


12/09   12月のネタ放出

11月14日
NHK経済ワイドvision e』の特集「広がるクラウドコンピューティング」を見て、日記でクラウドのことをメモとして書こうと思ったら、先に別のサイトで書いてしまったという珍しいパターン。

>>リンク:「Google 日本語入力」関連


11月28日
ベルリンの壁崩壊20周年のドキュメンタリー。

>>世界のドキュメンタリー

>>あの日 わたしは壁を越えた (再) <シリーズ ベルリンの壁崩壊20年 第3週 変わりゆく東欧>

何より元・東ドイツ市民の中年男性が、黒地に白抜きの文字で「わかりません」と明朝体横書きで書かれたTシャツを着ていたのが衝撃的だった。


12月2日
昭和TV

>>懐かしくも、新しい。 昭和TV|無料映像 GyaO![ギャオ]

全日本プロレス THE BEST」は月初の更新なんだけど、今月、下記のような文字が見えた

  全日本プロレス THE BEST 大仁田厚&田上明 VSド ス・カラス&秋山準

何かの間違いだろうと思いつつ、リング上で「大仁田厚」と「秋山準」とに接点が有ったのかと色めきつつ、見てみると、普通に「大仁田厚VSドス・カラス」のシングルマッチでしかも編集されとても短くなっていて、「田上明」も「秋山準」も影も形も出ていなかった。やはり何かの間違い(笑)


12月9日
前述の「無料映像 GyaO![ギャオ]」を見て回ったりすることは、普段、ないんで、そこから知ったんではなくて、下記、作者のブログから知った。

>>岡田斗司夫のゼネラル・プロダクツ
>>GyaOジョッキー更新されてます&ブログリンク予告

何かというと、「岡田斗司夫のひとり夜話」(動画)のアーカイブが公開されているという。1本約1時間あって、それが21本あるそうな。試しに第一回を見た。

>>岡田斗司夫のひとり夜話【GyaOジョッキー】

第一回(2007/6/25)冒頭でガンダム芸人についてコメントがあるので、該当者はそこだけでも見ておくように(笑)
あと残り14分のところで「みやむー」の話がでてくるぞ。

ラジオとしても聴いていけるようなので、ラジオ代わりに公開終了まで出来るだけ視聴していきたいところ。


12/13   京都国際マンガミュージアムへ。初日

<<12月の予定
↑予定通り、「京都国際マンガミュージアム」へ連続公開研究会「マンガと学術研究」に行ってくる。

>>京都国際マンガミュージアム

>>連続公開研究会「マンガと学術研究」【第3回】| 京都国際マンガミュージアム

   事前に概要を見ると、研究会の形式が「ラウンドテーブル」(円卓会議)になっていたんで、素人参加の場違い感が出るんじゃないかとおそれていたんだけど、大丈夫だった。普通の学会発表と同じく報告者と聴講者とが別々の場で向かい合った形だった。大半が発表者とコメンテータとの質疑応答みたいな形式になっていて、途中から聴講者側からの質問が入るようになり、最後の一時間が聴講者側からの質問中心になっていた。
   休憩無しの二時間半もの長丁場で、私のような素人としては途中で飽きるかな、と思っていたけど、意外と、Limited animation、アニメやアニメーションの違い、レイヤー等、聞き馴染みのある専門用語ばかりだったので、すんなり聴講できたし、どの話題にも興味が途切れることはなかった。
   研究会について今でもいろんなことが頭へ断片的にわいてきて、それを纏まった形で文にするのは無理そうなので一番、印象に残ったことだけ書くと、一度、資料として会場のスクリーンに『天空の城ラピュタ』の冒頭のシータが空から落ちてくるシーンと、終わりの方のラピュタ到着後の上から下を見下ろすシーンが流された。前者は上から下を見るカメラアングルなので、見た目上、シータの姿が小さくなり、遠ざかる、つまり落ちている表現がされている。ところが報告者が北米の小学校で日本のアニメの上映会をしたとき、その冒頭のシーンについて「(『不思議の国のアリス』みたいに)なぜシータが小さくなるの?」という質問が結構、多かったそうな。つまりその小学生にとってアニメにおける落ちていく表現が読みとれなかったということだ。物心付いたころからアニメに親しんだものとしてはこういうことは見落としがちなんだけど、アニメにも確かに「文法」というものがあるようだね。他のメディアと同じく、「文法」に慣れておかないと、受容できないものなのだと。


12/15   12月の手づくり市

12月5日

>>NHK 追跡!AtoZ - 毎週土曜 午後10時放送 [総合テレビ]

NHK 追跡!AtoZ』の「アキバアイドルを輸出せよ」の回を見て、タイトルのアイドルとは「AKB48」なんだけど、そこでフォーマット・ビジネスが紹介されていた。
つまり、アイドルのソフトを売るんじゃなくて、そのアイドルのフォーマットを売るって形。その番組によると、何もアイドルから始まった訳ではなく、例えば輸入で『ミリオネア』、輸出で『料理の鉄人』等、テレビ番組のフォーマットの売買が先んじているそうな。フォーマット化することのメリットとして模倣を防げるとのこと。なるほど。かつて、国境を越えてのコピー番組が多数あったわけだし、単にコピーされてイヤだ、というだけに留まらずそれを利益に替えてしまう発想が面白いね。
テレビ番組やアイドルに限らずここらへんのフォーマットの売買というのはいろいろ応用が利きそうだ。ネットでのやり方とか。


2009年12月14日

<<12月のネタ放出 (※2009年12月9日の日記)
↑ここの続き。結局、『GyaOジョッキー』を一日一本のペースで見ている。

>>岡田斗司夫のひとり夜話【GyaOジョッキー】

『岡田斗司夫のひとり夜話 2008/1/7』。ネットは多次情報(どう思っているか)の宝庫。そのため、ネット全体がジャンク情報ばかりだと思われるそうな。なるほど。こういった情報では、より一次情報にアクセスする能力が問われるとのことで、それには大いに首肯するところだ。
2008年4月分。NHKはプロデューサーの趣味で作るってのが番組作りのスタートになるそうなんだけど、『BS熱中夜話』のテーマ三国志ができたのも納得できるところ。


12月15日
そして毎月15日はやはり京都知恩寺の手づくり市。

>>手づくり市「ホームページ」

いつもの習慣で、「京都ベイクドチーズケーキドットコム」のチーズケーキを買いに行く。

>>京都ベイクドチーズケーキドットコム

ところがいつもの場所に行っても、その店舗が無く、場所が変わったのかと思って、しばし彷徨って見るも、見あたらない。後で上記のサイトで確認したんだけど、出店していないようだね。理由を上記公式サイトから下記へ引用
━引用開始━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実はコープこうべ(神戸生協)さまのご注文で、当初1,500個ほどの予測が4,500個となり、19日(土)までに全て製造…しなければなりません。(*_*;
お客様には大変ご不便をおかけし、スタッフ一同心よりお詫び申し上げます。m(__)m
(12/15知恩寺さん手づくり市も今回は出店できませんのでご了承願います。)
━引用終了━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

その関係で時間に余裕ができ、新規開拓をしていた。そうすると目立つオレンジ(店のシンボルカラーに合わせているっぽい)のテントを見かけ、その店頭(サイド)には雑誌で紹介された記事が切り抜きで出されていて、尚かつ適度に客が居て、覗ける雰囲気があったので、引き寄せられる。

>>手づくりシフォンケーキ dimple(ディンプル)

それが上記のサイトにある「dimple(ディンプル)」って滋賀県堅田のお店。
アールグレイのラスクを試食できたし、何かその自己演出に納得したのか、バナナのシフォンケーキとキャラメルのラスクを購入。
サイトで前面に出している、柔らかいシフォンケーキもさることながら、そのラスクも適度な甘みでとても美味しかった。


12/17   京都国際マンガミュージアムへ。二日目

<<12月の予定  (※2009年11月26日の日記)
↑予定通り、「京都国際マンガミュージアム」へ連続公開研究会「マンガと学術研究」に行ってくる。二日目

>>京都国際マンガミュージアム

>>連続公開研究会「マンガと学術研究」【第4回】| 京都国際マンガミュージアム

   二日目ともなると場所や雰囲気が判っているんで、すんなり会場へ足を入れる。第3回に比べ平日なんで人が少ない印象があった。会場となった研究室は、他の部屋と同じく、小学校の教室を改造していて、廊下に面する出入り口が北側にあって、南北に長い部屋だ。前回は斜めに使っていたが、今回は西の壁際をスクリーンを含め発表者側にし、横に会場を使っている。
   今回も   研究会について今でもいろんなことが頭へ断片的にわいてきて、それを纏まった形で文にするのは無理そうなので印象に残ったことだけ断片的に書く。
スクリーンに映し出された発表資料に「1:The myth of an opposition between sociology and aesthetics.」となっていて配付資料の和訳では「社会学と美学が対極をなす、という固定観念」と書かれていた。もっと一般的に言い換えると、ものそのもの(美学)に着目するか、そのものの周辺(社会学)に着目するかってことで、それが対極をなすって固定観念があるという。ここらへん卑近に適応可能で、歴史そのものに着目するか、その歴史が現代日本にどう受容されているか(例、コミュニケーションツール、娯楽等)に着目するかというのに通じ、個人的に心中、大いに楽しんでいた。
   あとブルデューによる<フィールド>の理論。図としては、縦軸に時間を取り、横軸のプラス方向に「経済」、マイナス方向に「文化(象徴)」をとり(相対的)、その平面にあるジャンルの事象を入れていくわけだけど、発表を聞いていると、経済的成功の上に文化的評価が与えられる日本のマンガをそういった横軸の観念に入れられるのかな、と疑問に思っていた。そこらへん質疑応答できっちりツッコミが入っていて、発表にあった「大量生産」「限定生産」の概念や「同人誌」の概念、「インターネット」の問題などがが加わり、議論が発展していく訳なんだけど、そこで発言した一人一人の見解が見事に違いすぎていて、いろんな視点を知り得て楽しかった。尤も時間の関係上、議論が発散したままで終わってしまったのが残念だけど。ともかく発表者の言い分だと結果ではなくプロセスを見るのが大事だとのことで、それだと<フィールド>の図に当てはめられるのかな。
   それから、私がこの研究会を知ったきっかけとなったWIRED BLOGでご執筆されている小田切さんが会場の最後尾にいらっしゃって、質疑応答の時に司会のベルント教授にアメリカンコミックスの専門家としての意見を求められていた。規模は違えどアメリカと日本の同人誌市場は共通するということと、発表にあった世代分けに一部疑問を呈していたことだっけ。

   それで続いて、1階   多目的映像ホールで行われるオープニング記念対談「日本女性マンガ・アメリカ女性コミックスの転換期としての70年代」を一般聴講するため移動。

>>「コミックスを描く女性たち―アメリカの女性アーティストたちの100年」展 | 京都国際マンガミュージアム

   さすが平日とあって観衆60人ぐらいだった印象が。表題通り、竹宮先生とロビンス先生の対談なわけなんだけど、ロビンス先生には話す際には日本人通訳、聞く際には欧米人通訳の計二人がついていてびびった(…とそれは誤解で、日本語→英語と英語→日本語にそれぞれ翻訳がついていたわけだけど)。それはともかくこの対談について、アメリカ女性コミックの歴史の長さにまず驚く。一昔前に、女性はコミックを読まない売れないという出版側の判断の影響で、その歴史は衰退状態だったそうだが、近年、日本の女性コミックの輸入により再び活性化されたそうな。印象に残ったのは、スーパーヒーローものが流行って(訳上、マッチョな男が殴り合うとか何とかの表現)、女性コミックが駆逐されたこと。あと竹宮先生のおっしゃった「コミケ」について、日本人通訳が訳に困っていたのを承けて欧米通訳が「underground comics」と訳してしまってしばしそれで流れてしまうって場面もあった。後でfanzine辺りに訂正されていた。


12/18   肌色率の高い幽助、蔵馬、飛影

   ホントは「京都国際マンガミュージアムへ。三日目」というタイトルだけど、より内容を表したタイトルへ変更。

<<12月の予定  (※2009年11月26日の日記)
↑予定通り、「京都国際マンガミュージアム」へ国際学術会議「世界のコミックスとコミックスの世界」。

>>京都国際マンガミュージアム

>>国際学術会議「世界のコミックスとコミックスの世界」| 京都国際マンガミュージアム

   というわけで三日目で、上記国際学術会議の初日となる。
   一番印象に残ったのがオタク文化の一例として挙げられていた、スクリーン右上四分の一を占めていた『幽☆遊☆白書』の二次創作での左から肌色率の高い幽助蔵馬飛影のカラー絵が映し出されていて、左の一番目と二番目が801的に繋がっている絵だった。それそのものにインパクトはあまり感じられなかったが、それが学術報告の場で行われたということにインパクトを感じ、それは前後関係のことを一瞬、忘れてしまうほどだった。数ヶ月前にサブカル無関係な学術発表の場で「女体化」とか「ギャルゲー」とかの文字をスクリーンに写し出しした私もまだまだだなぁ、と。下記参照。

>>三国志学会第四回大会ノート1

   んで、そこに至るまで少し遡り、順序よく説明すると、それは開会式の前の「新世代ワークショップ」というセクションだった。二番目の発表が「グローバルな『マンガ研究』は一体何を対象とするのか?ファン・アート研究の視点から」というタイトルで、ハリーポッターの二次創作を題材に、日本の二次創作が影響を受けているといった話で、アマチュア(同人誌・二次創作)とプロ(商業)という分裂は法律的な分裂の意味しかないという話が印象に残った。あと細かいところだと、PCを使ってスクリーンに映し出す発表形式なんだけど、その使用ソフトが一枚の資料をズームイン/アウトや視点移動等のカメラワークで見せる仕組みという面白いものだったので、何のソフトを使っているのか気になった。カメラワークは予め覚えさせるものなのか、それともその場で操作したのか。あと質疑応答で、前日と同じく最後尾に座る小田切さんが、来月5日刊行のご著作『キャラクターとは何か』(ちくま新書)をさらりと触れた後、法律上での行為としての二次的著作物と物としての二次創作の相違や、同人誌=二次創作でないというご指摘が入っていたのを覚えている。その発表自体は特に肌色率の高い資料は使われなかったわけなんだけど、イヤな予感はしていた。
   それは次の「『おたく』の社会的生態とマンガ研究の必然な関係について」というご発表。『涼宮ハルヒの憂鬱』を例に「オリジナル」「二次創作「工口」」「二次創作「ネタ」」の絵の例を出していて、三番目の絵に戦中ドイツの第一政党のスローガンを入れ涼宮ハルヒにそれっぽい服装をさせたもので、ここらへんさすがに質疑応答でドイツ出身のベルント教授からツッコミが入っていた。二番目の絵でイヤな予感が増幅された流れで冒頭で説明した肌色率の高い絵が映し出されていた(ちなみにその左半分はロリータ・コンプレックスの絵)。まさにホップ、ステップ、ジャンプでショックを与えられた感じだった(笑)。あと発表者の紹介に「腐男子をカミングアウトした」とされていたのも印象に残った。それで発表で、日本では性的描写が検閲の対象にならない、と言い切っていたが、さすがにここもツッコミが入って、今、私のメモを見ると、「GHQ/PTA」と並んで書かれている(笑)。ちなみに発表者は、『THE OTAKU ENCYCLOPEDIA』の作者とのこと。まだ日本語訳されていない。
   この他、まぁ初日、二日目と同じくいろいろ得るところが多かったんだけど、書き出していくと収集がつかず時間ばかり浪費する感じなので、あとは自分的メモを残すと、メディアミックスは海外では「トランスメディア」と言われていることと「ジャンル」の定義は「読みの手続き(reading protocol)」とされること。


12/19   京都国際マンガミュージアムへ。四日目

   それまでは交通費をケチって自転車で行っていた訳だけど、終わってから知人と四条界隈をうろつく約束があるため、500円の市バス一日券を車内で購入しバスで行く。

<<12月の予定  (※2009年11月26日の日記)
↑予定通り、「京都国際マンガミュージアム」へ国際学術会議「世界のコミックスとコミックスの世界」二日目一般聴講へ。

>>京都国際マンガミュージアム

>>国際学術会議「世界のコミックスとコミックスの世界」| 京都国際マンガミュージアム

   バスの本数が少ないので、10時15分開始だけど、9時50分ぐらいに到着。まだ開館していなかったが、おかげでグランドで太極拳のようなものをされていた夏目先生を目撃できた。

   この日もどれも示唆に富む報告でそれについて纏める気はないので、印象に残ったものを少し書く。ちなみに前日より同時通訳機(レシーバーとイヤホン)が配布されている。報告について原稿が予め提出されているので、その日本語訳あるいは英語訳を読み上げ、それをレシーバーを通じ聴くことができるという仕組み。その反面、質疑応答では随時、通訳あるいは本人が訳していた。
   午前のセッションは「少女マンガ、女性コミックス~ジェンダーとジャンルをめぐって   」というので、やはり個人的には前日を引きずってか「反映/投影論から生産的フォーラムとしてのジャンルへ:ヤオイ考察からの提言」のご報告が印象に残った。白黒のマンガながらとても肌色率の高いマンガのページはともかく、さらっと「挿入する方」「される方」という直接的な言い回しで「攻め」「受け」を説明しているのが一番、印象に残り、普通に「誘い受け」とか「やんちゃ受け」という専門用語(?)が出ていた。要旨には「さまざまな性指向の女性たちの欲望やファンタジーと政治的、社会的現実が衝突する闘技場から生まれる表象であり、」という文があり、「闘技場」って辺り、中島梓/著『タナトスの子供たち』を連想するんだけど、そこらへん何らかの流れがあるんだろうかね。ともかく「ヤオイコミュニティ」の特徴が判りやすく説明されていた。一例で出ていたのがクリスタル文庫のある小説の後書きで報告者のことが書いてあって、それを読んだXさんがもしかして職場の同僚のことかもしれないと思ったらしいが、直接、報告者に確認せず、まずその小説の著者に確認したそうな。ここらへんの同好ではない者への強い警戒心は、「腐女子」の言葉で代表されるような社会認知の緩やかな増加と関連し(まぁ誤解と表裏だが)、近年では弱まる傾向にあるそうな。それにしても午後の夏目先生はこういう場では効果的な間と共にゆっくり話される方なんだけど、それとは好対照にこの報告者はきびきびと話される。原稿を読んでいるから早いのかと思ったらそうでもなく質疑応答での日本語でも英語でも早いテンポだった。
   昼休みは少し遠いが、早足で武将ダイニング「辛夷(こぶし)」。そんなコンセプチャルな料理店な割には京野菜を初め美味しい。もっとゆっくりした時にまた来たいものだ。

>>辛夷

   午後のセッションで一番印象に残ったのは報告ではなく質疑応答の一場面。観客席から英語で熱く語る小野先生に、司会席から日本語で適度にツッコミを入れるベルント教授、数分間、通訳が入らなかったそのやりとりが一旦、止まってから「むしろ日本のオーディエンスを置き去りにしている」と発表者席から指摘する小田切さん。内容と無関係に、そのシュールな光景に笑い声を噛み殺していた。それから誰が仰っていたか忘れたか、あるいは複数人の言説をごっちゃにしているのかだけど、海外から見れば、今、日本の大学が積極的に漫画家や評論家を教員にしているのがマンガ研究への理解に思われるかも知れないが、日本の少子化に伴っての入学者集めという経済的理由に過ぎないというのが印象に残った。言葉を選ばれていたけど、私だったら思わず「大学によりマンガが客寄せパンダに使われている」と表現してしまいそうだ。また大学の中のマンガは二種類あって、一方のマンガの描き方の授業が主流で、マンガ研究の授業はあまりなされていないそうな。


12/20   京都国際マンガミュージアムへ。最終日

   この日は移動が多い予定なので、500円の市バス一日券を車内で購入しバスで行く。

>>ハイパー市バスダイヤ-京都市交通局

   この日は10時開始の全国高校駅伝競走大会であり、そのコースとこの日の私の移動コースとで交差する部分があって、時間通りに行けない懸念があったが、前日と同じく10時前に到着するように出発したので、朝は大丈夫だった。

<<12月の予定  (※2009年11月26日の日記)
↑予定通り、「京都国際マンガミュージアム」へ国際学術会議「世界のコミックスとコミックスの世界」三日目一般聴講へ。

>>京都国際マンガミュージアム

>>国際学術会議「世界のコミックスとコミックスの世界」| 京都国際マンガミュージアム

   やはりこの日もグランドで太極拳のようなものをされていた夏目先生を目撃できた(※追記。夏目先生のブログによると八卦掌だそうな)。

   午前中は「セッション3:マンガと社会」ということで、その中で一番印象に残ったのは「生活の鏡、時代の産物   シンガポールとマレーシアにおけるコミックスと歴史の関係をめぐって」かな。反植民カートゥーンとか日本占領下など歴史的な話から、最近の話題としてtroy chin/著『Loti』と『あずまんが大王』の絵が並べられていて、どれぐらい影響を受けているか判りやすく示されていた。

>>drearyweary | online playground of troy chin

   午前のセッションは12:22に終わったんだけど、私はすぐ会場を出て、烏丸御池の西南のバス停へ向かう。バス停に12:27到着で、12:29発市バス15系統に乗り、西ノ京円町へ。ここでも全国高校駅伝競走大会の影響を懸念していた。予め調べてみると、コースとしては女子の部が12:30スタートで、ちょうど西大路丸太町で交差する。時間的に通り過ぎた後だと知っていて、実際、その交差点付近では、タクシーで移動する人やどこかに走り去るジャージ姿の集団を見ることができた。また近くの飲食店では人が溢れており、それを尻目に目的地の花園大学拈花(ねんげ)館202教室に向かう。漢字文献情報処理研究会第十二回大会を一般聴講するためだ。道中、「国際学術会議『世界のコミックスとコミックスの世界』と漢字文献情報処理研究会第十二回大会をハシゴするなんて私だけ」と変な自負で心中、盛り上がっていた。

>>漢字文献情報処理研究会   ホームページ

   今、花園大学のサイトのキャンパスマップにも未だ書かれてあるんだけど、拈花館は2009年2月に完成したばかりの新校舎で、かなり綺麗なところだった。まぁ、その前に小学校の校舎を改造した京都国際マンガミュージアムに居たわけだからそういった印象を受けるのも当然だったのかもしれない。ともかく13時前に到着し、教室内の入口近くにある受付で参加費を払い、京都国際マンガミュージアムで共通チケットとなるネームプレートを見せ、領収書を書いて貰い、前の方の席へ座る。国際学術会議では机が無く、多くの人がメモ帳に書き留めていたが、こちらは教室とあって、机が備え付けられており、多くの人がパソコンを開いており、なかなか午前の国際学術会議と対照的な光景だった。
   事前に見ていたタイトルから、それほど興味を持てない発表かもしれない覚悟していたが、そんなことなくどれも興味深いものだった。聞いてみないと判らないものだね。初めの報告では、ア行のカタカナ「e」と、や行のひらがな「ye」に関するもの。どうやら文字コードの国際会議でそれらの文字を追加する提案が出されたという。現行のカタカナの「エ」は実はヤ行の「ye」から来る文字なので、本来のア行の「e」を追加するというんだけど、もちろんそんな文字は今、使われていない文字だから、どう決着が付くのかというのが物語を見るようで面白かった。ちなみにカタカナ「e」は起源となる「衣」の三画分で、「ウ」や「ラ」に字形が似たもの。また、ひらがな「ye」は「江」から来る文字で「に」を続けて書いたような文字。次の報告はHSK常用単語の学習者向け単語帳を作るという要求から、ではどうやって単語やその例文を選んでいくか、という発想から来た研究。北京大学の中国語語料庫から中国語例文を抽出し、品詞ごとなどで最適化するそうな。私自身は英文作りに詰まったとき、一つのフォルダにその専門の論文PDFを集め、作りたい英文に関連する単語をそのフォルダ内で検索し、いろんな英文のパターンをピックアップし、それらを例文として使っていたものだから、こういう方法はとてもスマートに思えるし、むしろ外国語を学習するときに欲しかったと羨ましく感じる。あと本質的に、言葉を話すとき、自らの脳にあるデータベースにアクセスし参照するようなことの繰り返しだと考えているので、それをまず多くのネイティブの人に起因するデータベースでまず肩代わりさせるという意味でも可能性のある素晴らしい発想だと思う。最後の報告はIDS(Ideographic Description Sequence)に関して。IDSを知り得ただけでもお得感があった。IDSは漢字の構造を示す記号ね。15時終了。そこから休憩を挟んで次は企画討論会だった訳なんだけど、国際学術会議「世界のコミックスとコミックスの世界」の総合討論会と天秤に掛けた場合、ベルント教授の率直で面白みの伴う魅力的な司会が重みを増したので、京都国際マンガミュージアムに戻ることにする。でも企画討論会「Windows 7時代の“電脳中国学”と“人文系情報処理テキスト”」に関するレジュメ、というより『電脳中国学III(仮)』の編集に関するレジュメが三種類ぐらい配布されてあったんだけど、それを読むと、教育現場のことも含めこちらもとても興味の持てるところだったので、かなり後ろ髪引かれる思いだった。
   食べる暇ないと思い、朝、近くのモスで朝のセットと黒胡椒チキンを食べていたんだけど、保険に何か食べておきたいと思い、円町駅前のパン屋に寄る。万札と株主優待券以外は142円しか持ち合わせていないため、税別で130円という予算でパンを選ぶ。西ノ京円町のバス停と15:19発市バス(15系統)内でパンを食べる。15:40ぐらいに京都国際マンガミュージアムに到着し、当初は現在のワークショップが終わる16:15まで会場のホールに入るのを待っておこうと思ったが、知的誘惑に抵抗できず、途中から入る。
   『はだしのゲン』中心のワークショップで、印象に残ったのは川口准教授のおっしゃっていたインターネット上での話。それこそ工口もあるような『はだしのゲン』のパロディーがあって、それはストーリーに捕らわれない細部の読みと言え、(『はだしのゲン』を読んだ子供に植え付けられた)トラウマの解除を意味する一例ではないか、というもの。
   休憩を挟み総合討論会。村上知彦さんによる昨晩や数年前のプレ漫画学会を振り返ってのコメントや明治大学の藤本由香里准教授による歴史マンガにおける少年マンガと少女マンガの違いのコメントが印象に残った。そこで司会から告知があったんだが、この国際学術会議の第二回はすでに決定されてあって、2010年9月にドイツのケルンで開催されるという。そうだとすると私は聴講できなさそうで残念なんだけど、日本以外のところで開催されるのはマンガの国際学術会議としては意義深くむしろ賞賛すべきことだろう。18時前に終了。

   私が乗るバスは京都国際マンガミュージアム前から18:29発なんだけど、30分以上時間があり、また閉館してしまったので、寒空の暗い中、烏丸御池から河原町御池のバス亭まで歩くことにした。それでも頭の中でいろんな考えが誘発されており、何だか愉快で暖かい想いを抱き御池通りを歩いていた。




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