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メモ:日本の「三国志演義」翻案作品における作画資料としての「三国演義連環画」(2017年6月24日)
前の記事にあるように、2017年6月24日土曜日に新潟で開催された日本マンガ学会第17回大会にて清岡は研究報告をしたわけなんだけど、それ以降、マンガ学関連の催事に参加する機会が多かった。無論、三国に関係ない。
・日本マンガ学会
http://www.jsscc.net/
・日本マンガ学会第17回大会 プログラム - 日本マンガ学会
http://www.jsscc.net/convention/17
上記の日本マンガ学会公式サイトで知ったのだけど、まず次の土曜日である2017年7月2日に京都国際マンガミュージアムにて13時開始の日本マンガ学会少女マンガ誌部会2017年度第1回研究会に参加した。具体的では同所で開催の山岸凉子展「光-てらす-」にてギャラリートークを伺うことで、その日は朝、歯医者に行って、四条烏丸の金券ショップで翌日の切符をかって、12時半に京都国際マンガミュージアムに到達して、30分で「日出処の天子」を1巻分は読んでいた。
・京都国際マンガミュージアム
https://www.kyotomm.jp/
・山岸凉子展「光-てらす-」
https://www.kyotomm.jp/event/exh_yamagishiryoko/
・少女マンガ誌部会2017年度第1回研究会
http://www.jsscc.net/study-group/shojyo/2017-1
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同日開催のイベントに参加できるよう、気を利かせてくださったようで、少女マンガ誌部会2017年度第1回研究会はコンパクトに30分で終わり、それでもあれこれ貴重はお話を伺うことができた。作家の転機が印象に残った。
そのイベントとは同所の1階のホールにて14時開催の『なまくら刀』公開100周年記念祭だ。事前に開催を知っていたが、時間がかぶると思い参加をあきらめていたんで、結果的に嬉しい誤算だった。
・『なまくら刀』公開100周年記念祭
https://www.kyotomm.jp/event/eve_namakuragatana/
まず表題のアニメ『なまくら刀』を手回しと弁士と生演奏とで鑑賞し、他にも貴重な古いアニメを見てそこから休憩を挟み講演にを聴くという流れ。デジタル化する際みつかった撮影者の指が映るフィルムの1コマの話とか興味深い話ばかりだった。
次の日の7月2日日曜日は研究報告の資料集めで大変お世話になったお礼に神戸長田のCha-ngokushi(ちゃんごくし) に向かい、そこでくつろぐ。ちゃんとレジュメをお渡しできたし。
・Cha-ngokushi (Changokushi) on Twitter
https://twitter.com/Changokushi
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真・三國無双 15th Anniversary キャラクター設定画集(2016年8月3日)
三国に関係あるトピックがなかなかないんで飛ばし気味に次の土日、7月8日土曜日に移るのだけど、その日は例によって、前日から移動しており昼に少しだけ国会図書館に行った後、東池袋でジャクリーヌ・ベルント先生が講師での講演「マンガがこれからも自由であるために」を拝聴する。
・マンガがこれからも自由であるために
http://www.kokuchpro.com/event/0b70d5dbd916e74ce16ee05a460795d6/
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メモ:知られざる中国〈連環画 (れんかんが) 〉 ~これも「マンガ」?~ (2015年5月24日30日)
翌日の日曜日は移動に当て、早くも次の土日の記述に移るのだけど、やはり前日移動で、専修大学神田キャンパスにて7月15日土曜日開催のの日本マンガ学会海外マンガ交流部会第10回大会公開研究会に参加する。
・日本マンガ学会
http://www.jsscc.net/
・日本マンガ学会海外マンガ交流部会第10回大会公開研究会
http://www.jsscc.net/study-group/foreign/20170715
この土曜も二週間前の土曜も日本マンガ学会の部会関連だし、いやその前に三週間前の土日に日本マンガ学会第17回大会があって、当然、頻繁に上記の日本マンガ学会のサイトを見て、他にも興味があっていけそうな学術催事も見ていたのだけど、その流れで、月一のペースで開催されてあるジェンダー・セクシュアリティ部会例会の今、課題図書にあがっているのが吉光正絵、池田太臣、西原麻里/編著『ポスト〈カワイイ〉の文化社会学』(ミネルヴァ書房2017年4月20日発行)だった。
・ミネルヴァ書房 ―人文・法経・教育・心理・福祉などを刊行する出版社
http://www.minervashobo.co.jp/
・ポスト〈カワイイ〉の文化社会学 - ミネルヴァ書房 ―人文・法経・教育・心理・福祉などを刊行する出版社
http://www.minervashobo.co.jp/book/b278708.html
「文化社会学」ときて自分の興味のあることにつながりそうであれば、読んでおこうと思い、いつもの図書館で借りてくる。ちなみに「文化社会学」の棚ではなく「ジェンダー学」の棚に置かれていた。前述のとおり、毎週どこかに出かけていたので、読書する時間はたっぷりあったので。
ここでようやく記事の表題のことにつながる。この書籍は言ってみれば書籍の表題のテーマに沿った論文集であり、それらの中の一つ、pp.171-198に、須川亜紀子「第6章 歴女と歴史コンテンツツーリズム ――日本史を旅する女性たちと“ポップ”スピリチュアリズム――」があった。須川亜紀子さんといえば、そのご著作の『少女と魔法──ガールヒーローはいかに受容されたのか』(NTT出版2013年4月30日)の印象が強い。インタビューという調査手法はこういう風に研究へ活用されるのか、と。
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メモ:2015年、2つの研究テーマ
それでどこが三国志に関係するかというと、以下に引用する文に現れている。
p.171
━引用開始━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「歴女」という用語が生まれたきっかけは、二〇〇八年に中国の小説『三国志』原作の映画『レッドクリフ』が日本で公開された際、歴史好き女性アイドル(歴ドル)美甘子が宣伝イベントで起用されたことに端を発する(深沢 二〇〇九)。彼女たち歴ドル(ほかにも小日向えり、杏など)の登場で、それまでもっぱら中年男性の趣味領域と思われていた「歴史」の場に、若い女性が顕在化していった。
「歴女」という用語が初めて新聞に現れたのは、二〇〇九年三月三〇日(『朝日新聞』)である。以来流行となり、「歴女」は二〇〇九年の「ユーキャン新語・流行語大賞」のトップテン入りを果たした(受
━引用終了━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
p.172
━引用開始━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
賞者は杏)(自由国民社 二〇〇九)。同時期、「歴女」の一部として「仏像女子(または仏女)」という用語もメディアを賑わした。
━引用終了━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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呉宇森(ジョン・ウー)監督『レッドクリフ(RED CLIFF)』報道まとめ
新語・流行語“歴女”の杏「有り難き幸せ!」(SANSPO.COM)
脊髄反射的に「中国の小説『三国志』」という部分に「そんなものはない」とツッコミを入れてしまうのだけど(それは小説「三国志演義」なのか史書『三国志』なのか)、もしかすると引用元の記事にそうされているかもしれないと、p.196に挙げられている、下記ネット上の記事にアクセスしようとしたら、会員制の記事だった。いや、無料登録で読めるのだけど、それを確認するためだけに登録するのもばかばかしかったので。
・深沢真紀、二〇〇九、「深沢真紀の平成女子図鑑――歴女と和女子」『日経ビジネスオンライン』二〇〇九年五月二十二日
http://business.nikkeibp.co.jp/article/skillup/20090520/195263/
前述の引用部分では新聞が着目され「歴女」の言葉が紙上初めて現れたのは2009年3月30日とする。参考までに「三国志ニュース」内を見てみると、下記関連記事(三番目)によると、2009年2月22日放送の日テレTV番組『真相報道 バンキシャ!』で「レキジョ」(=歴女)が取材されている。
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2008年5月31日 赤兎馬Presents「三国志の宴3」開催
レッドクリフ公開記念イベント「三国志ナイト」(2008年10月27日)
歴ドル小日向えりの恋する三国志(2009年3月10日)
ここらへんの「歴女」の話は論文の冒頭部分であり、嫌な予感がしていた。というのも流行語大賞にノミネートするぐらいだから、ブームとして突発的に「歴女」なる人物が現れたという誤解のまま論を展開するのか、という予感だ。しかしそれは良い意味で裏切られ、それはあくまでも冒頭部分のフリでしかなく(つまり予感が良い意味で裏切られた)、下記にまとめた論文内の目次にあるように、「歴女」とマスコミが名づけるまでの歴史的流れに触れ論じられていた。個人的には『炎の蜃気楼』自体もその受容層も知らなかったのでとても有難い。文脈としてもケーススタディとしてもあれこれ参考になりそうだ。
p.171 1 歴史と女性ファン――趣味のクロスジェンダー化
p.171 「歴女」の登場
p.173 「歴女」の経済効果
p.174 2 旅と女性――メディア先導型ツーリズムからコンテンツツーリズム
p.174 一九七〇年代――ディスカバー・ジャパン・キャンペーンとアンノン族
p.175 一九八〇年代――NHK大河ドラマと日本テレビ「年末時代劇スペシャル」
p.176 一九九〇年代――『炎の蜃気楼』とミラージュツアー
p.181 二〇〇〇年代以降――『戦国BASARA』『薄桜鬼』を中心に
p.183 二〇〇〇年代以降――『戦国BASARA』『薄桜鬼』を中心に
p.187 3 「歴女」の目――既存の歴史観への異論と敗者への
p.183 「歴女」現象、パワースポットブームから見る集合的無意識
p.191 4 「歴女」の社会文化的意味とは
p.193 注
p.194 参考文献
言語化して消化できているわけではないが、ただ論文の軸となるスピリチュアルとの「歴女」現象との親和性は腑に落ちない。もっと俯瞰で見てそうなイメージがあるからかな?
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メモ:歴史漫画における少年漫画と少女漫画との違い
この書籍には三国と関係ないものの、そのほか興味深い論文があり、下記のようにメモが手元に残されていた。
p.11
『S Cawaii!』について
渋谷109との提携は、『Cawaii!』の広告収入が増えなかったために、渋谷109が一九九六年に全館リニューアルした時から記事広告掲載を始めたことに端を発している。
pp.83-108
第3章 女児とゲームの創造/想像的関わり――「女の子のためだけのゲーム雑誌」『ぴこぷり』に見る(秦 美香子)
どうやって購読させて行くか
p92『オシャレ魔女ラブandベリー』
『甲虫王者ムシキング』と対。セガ
pp.109-134
第4章 越境する夏フェス女子――音楽とインターネットをめぐるインテグラルなアクション(永田夏来)
誤用だけど多分in vivo「敷居の高い」夏フェス
p126の「サマソニとかニューアコースティックキャンプとか」は「知らなくても楽しめる」」とインタビューではなっている。
pp.233-262
オタク女子の「ホーム」
興味深いインタビュー
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