検索ネタの第四弾。過去3つの記事は以下の通り。
・三国志 地図
http://cte.main.jp/newsch/article.php/242
・二宮事件
http://cte.main.jp/newsch/article.php/184
・三国志 服装
http://cte.main.jp/newsch/article.php/258
それで今回は「捜神記 書き下し」とか「捜神記 訳」などの検索ワードについて。以前、以下のような記事を書いてからというもの、頻繁に干宝(干寶)の「捜神記(搜神記)」関係の検索ワードが出てくるようになった。
・捜神記の日本語訳
http://cte.main.jp/newsch/article.php/225
初めは上記「二宮事件」のように(あるいは某チャンネルで話題に出てきた等)一過性のものかと思ったがどうもそうでもない。期間や地域性が見えてこない。あるいは「三国志 地図」や「三国志 服装」のように元々、厚い「ファン」層があって個々の興味の発展の結果、長い期間でよく検索されるとも考えられるけど、どうも理由としてはいまひとつ。
いろんなところから長期間、検索される理由がわからないな、と知人に告げたところ、返ってきた推測は「(高校や大学の)授業で使われているから」というもの。私自身、漢文の授業は受けたことがないので、「捜神記」が授業の題材に使われているのに実感がわかず、いまいち納得できなかった。ネットで検索する必要性があるのか、と。
そんなときに見かけたのが下記のリンク先、關尾史郎先生のブログの記事と「OKWave」の質問のところだ。
・關尾史郎先生のブログ
http://sekio516.exblog.jp/
・購入(05/12/05)
http://sekio516.exblog.jp/2090894
・「OKWave」
http://okwave.jp/
・赤壁の戦いについてなんですが・・・
http://okwave.jp/kotaeru.php3?q=1498244
前者のブログの記事はもちろん教える側の記述。後漢書の完訳本が発売されたというだけで、文献購読のテキストに後漢書を使わないということは、それだけ教わる側(ここでは大学の2、3年)の中で訳本に頼り切ってしまう人が多いということだろうか。
後者の掲示板の質問は教わる側の記述。漢文のテストで「赤壁の戦い」がテスト範囲になったというだけでテスト前日に掲示板で質問するだなんて特例だろうけど、どうも漢文関連のテストや課題についてネットに頼ることの氷山の一角だと思えてならない。それに「赤壁の戦い」が一塊りだけの漢文として存在すると教わる側が認識している節がある時点で、その教える側の教え方を疑ってしまう。
※「赤壁の戦い」についての一応の参照リンク
http://cte.main.jp/newsch/article.php/195
どうも検索ワードで「捜神記」関連が多いのは「授業で使われているから」、という推測を信じられるようになった、もっと言えば授業や講義で出た課題をネットで気軽に検索するだけですませてしまうのかもしれないな、と先の知人に告げたら、ほらみたことか、とばかりに言い返されたが、もう一つ面白い事例を聞くことができた。ある漢籍についての課題(書き下しと訳等)が出た直後に、その知人の知人が図書館でその漢籍の訳本を見つけすぐ借りたと自慢げに言っていた、とのこと。もし私がその場に居合わせたら素人の立場ながら「それだったらその専門の学生なのに、訳本の出ていない漢籍は読めないことになる」と反射的に突っ込むと思うけど。あと知人は、そんな理由で図書館から借りていたら別の理由で借りたがっている他の人が借りられない、と述べていた。確かに。
ちなみに「捜神記」の訳本は発売されているし、以下のようにこれから刊行される本にもあるぐらいだ。
http://cte.main.jp/newsch/article.php/243
やっている本人としては図書館で訳本を探し出し課題やテストにあたるのは(短期的な視野では)楽なことなんだろうけど、ネットでつないで検索するだけだなんてさらに楽な方法で課程をおえた気になるもんだな……と、これは全く見当違いな邪推かもしれない。もしかすると自らの解答を他の解答と比較し、よりよいものにしようとする努力の跡が検索ワードに現れているかもしれない。
あと大学じゃなく高校の漢文授業に関して、興味深いやりとりがあったので、以下に紹介しておく。
・漢文について
http://okwave.jp/kotaeru.php3?q=1808005
これがより専門性の高い大学になると端から講義を受けなければ良い、ということになるのかな??
<1月23日追記>
「捜神記 復活」で検索したら、高校の教科書で使われていることとある高校のカルキュラムにあることを確認した。やっぱりか。
ちなみに「新編古典講読(総合)」(株式会社明治書院)って教科書。
「漢文、書き下し、訳」とともに、復活、定伯売鬼、漢文を読むために、義犬冢、死友、十八史略、三国時代、十八史略解説、天下三分之計、髀肉の嘆をかこつ、赤壁之戦、赤壁の奇略、白帝城遺言、阿斗、出師之表、死諸葛走生仲達、泣いて馬謖を斬る、などのワードで検索されたらそういう可能性が高い(汗)。
※追記
リンク:学生の動向
※追記
中国英雄列伝を漢文で読んでみる(2009年5月18日)
※追記
「三国志 読書感想文」or「三国志を読んで」
※追記
三国志オンライン検定! 赤兎馬検定(2010年3月16日-5月末)
※追記
教科書本文データ集(全国漢文教育学会)
※追記
蒙求 ビギナーズ・クラシックス中国の古典(2010年12月25日)
※追記
早稲田大学の入試で『三国志』
※追記
『100万人の三國志』内三国志クイズイベントに於いてのネット検索行為の実態調査
※追記
中国小説史入門(2012年4月13日-6月22日)
<2009年8月5日追記>
同じqaネタとして、下記のようにブログ記事にリンク張っておく。
・枕流亭ブログ
http://d.hatena.ne.jp/nagaichi/
・中国皇帝たちの名称について
http://d.hatena.ne.jp/nagaichi/20090720/p2
※追記
『捜神記』研究(2015年1月)
※追記
メモ:第20回三顧会 前夜祭(2014年5月3日)
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「蒙求」にある「諸葛顧廬」や、「世説新語」の各エピソード、杜甫の「蜀相」などが高校の漢文教科書には掲載されているらしいとは聞いていたのですが、「捜神記」もそうなのですね。僕も恥ずかしながら、漢文の講義を受けた経験がありません(汗)
そう言えば以前友人が、漢文の教科書に陳寔が紹介されていたと話していましたよ。
なるほどなるほど、他にも教科書で取り上げられている引っかかりやすい書籍があるんですね。
うちのブログで紹介する漢籍を増やしたら、さらに検索ワードが増えるんでしょうか……喜んでいいものやら(汗)
漢文の授業を受けたことがないんで当然、漢文の課題やテストを受けたことがないので、そういうときはネットで調べる人もいるんだ、と妙に驚いてしまいました。
今手元に旺文社版の高校用漢文の教科書があるのですが、これは「世説新語」に一章を割いていますし、中見出しも「曹操」、「曹丕と曹植」、「竹林の七賢」とその他の四つですし、三国志率高いです。これらを紹介したらアクセスアップは必至ですよ(笑)
しかし「複た我が東阿を殺すことを得ず」と題された一文の注には疑問が(汗)「魏の文帝、弟任城王の驍壮なるを忌む」の「任城王」の説明に、「曹彰。曹操の第二子。文帝の弟。任城王に任ぜられた。(?~二二三)」の文字。劉氏との子である曹コウや曹シャクの立場は‥‥‥(汗)
下調べ杜撰な気がします。
世説新語はメジャーどころですね。
三国志にはなくて世説新語にあるエピソードはいっぱいあって面白いですね。
というか、それも高校から教科書に登場しているんですね。うらやましいです。
アクセスアップは良いんですが、それが管理人の意図するアクセスアップがどうかあやしいところですね(汗)
まぁ、教科書のそういったところはツッコミどころが意外とあるものですね(汗)
三国志サイトの一つのコンテンツで結構、見かけます。
ちなみに好い機会とこの話、自分のサイトで紹介しちゃいました。
しかしこのアーカイブのタイトル『「捜神記」で検索される訳』の『訳』は、何と読むんですか?『理由』という意味なのか、『翻訳文』という意味なのかで迷ってしまいます(汗)
あ、紹介ありがとうございます。後で見に行きますね。
タイトルにある「訳」はもちろん二重の意味です(笑)
もともとは「理由」にしようとおもってたら、その0.5秒後ぐらいに、二重の意味にできるな、と思って、そうしました。
僕が紹介したのは、「曹丕が曹彰を毒殺する」エピソードです。
あ、書いてから気付きました(汗) こちらこそすみません。