※関連記事
まんが劇画ゼミ 7巻(1980年2月25日)
上記関連記事で時間の関係上、チェックできなかった分を地元の図書館で確認する。それらは、国立国会図書館で未だデジタル・イメージ化されてない潮出版社の月刊『潮』の号だ。
・国立国会図書館サーチ(NDL Search)
http://iss.ndl.go.jp/
・潮出版社 USIO
http://www.usio.co.jp/
元々は下記のNII論文情報ナビゲーター「CiNii」にて論文タイトル「横山光輝」で知った記事だ。
なにかというと下記リンク先にも情報がある、月刊『潮』で2010年11月号(2010年10月5日発行)所収の横山光輝『三国志』(マンガ)の記事だ。
・みなもと 太郎 小日向 えり「横山光輝「三国志」の魅力に迫る。」(『潮』Vol.621 (201011) pp.120-121 潮出版社 )
http://ci.nii.ac.jp/naid/40017285925
これだとまるで共著のようになっているが別々の記事で各人2ページ(共に見開き)だ。興味深かったのはpp.120-121 みなもと太郎「横山光輝「三国志」の魅力に迫る」の冒頭の部分になる。ちなみにこのタイトルの直前(縦書きなので右)に「横山光輝「三国志」検定に君も挑戦しないか!」という煽り文があり、つまり下記関連記事にあるように、当時全社挙げて盛り上げていた流れの一環で執筆依頼された記事なんだろうね(そして今回紹介する記事をそこで少し触れている)。
※関連記事
横山光輝「三国志」検定(2010年11月7日)
話を戻し、みなもと太郎先生はマンガ『ホモホモ7』で一世を風靡した漫画家さんで、歴史漫画『風雲児たち』を執筆されており、下記のファンサイトを見ると、(かねがねお噂は耳にしていたが)今もその外伝をコミケで発表されているそうな。
・「風雲児たち」長屋
http://www.fuunji.net/
※追記
企画展 生誕80周年記念 横山光輝(2014年10月1日-18日)
今回紹介する記事の冒頭では「昭和四十年代」のマンガ界の話で、「凝りに凝った構図や、ひねったストーリーをもつ新しいスタイルの漫画」が注目され古い作家が淘汰される中、横山先生も消える危険があったが、『水滸伝』『三国志』(※共に小説や史書と同名だがここでは横山先生自身のマンガ作品名を指す)を執筆され成功したという文の流れで、下記に引用するようなことを、みなもと先生はお書きになられている。
P.120
━引用開始━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
この事実は長いこと漫画評論家を困らせた。漫画界の地殻変動にも全く動じず、しかもこれまで通りの少年漫画のノリで人気が落ちなかったからだ。なので、評論家たちは、横山漫画の魅力について「子どもにもわかりやすいエンターテインメント性」などと言ってお茶を濁すのが精いっぱいだった。
━引用終了━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
事実はともあれ評論家たちへの批判という形をとりながらも、横山先生への痛快な賛美になっているのが面白い。
それからpp.122-123に小日向えり「「横山三国志」を読み歴史にはまった。」がある。
・小日向えりオフィシャルブログ「歴ドル小日向えりがゆく」Powered by Ameba
http://ameblo.jp/erikohinata/
そこから下記に引用するように三国志ブランド「赤兎馬」に言及しているあたりに、義理堅さを感じてしまった。
P.122
━引用開始━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
三国志を知ったきっかけも、ある時たまたま見つけた赤兎馬(三国志をコンセプトにしたファッションブランド)の張飛Tシャツがかっこよかったからなんです。
━引用終了━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
・三国志的世界「赤兎馬」 Tシャツ・グッズ
http://www.sekitoba.com/
あとmixiコミュ「女の子だけど三国志好き」に言及。
・[mixi] 女の子だけど三国志好き
http://mixi.jp/view_community.pl?id=3635616
※mixi会員でないと見れない…使い古された注釈だが。
それと別の号で三国とあまり関係ないが、個人的には興味深い記事があったのでメモ。月刊『潮』2010年2月号(2010年1月5日発行)所収の四方田犬彦「日本の「漫画」への感謝(2)横山光輝--驚きの平衡感覚。」。下記の引用を見て貰うと判るように「横山三国志」が『三国演義連環画』に取材した根幹みたいなのが表れているようなので何かと参考になるので(さらにそれを「横山三国志」と同じ出版社の出すこの雑誌で掲載しているという点も興味深い)。
・四方田 犬彦「日本の「漫画」への感謝(2)横山光輝--驚きの平衡感覚。」(『潮』Vol.612 (201002) pp.236-243 潮出版社 )
http://ci.nii.ac.jp/naid/40017285925
※関連記事
議事録:三国創作における視覚的研究材についての情報交換会(仮題)(2012年7月5日)
P.239c
━引用開始━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今日の横山を吉川英治に比較する文章を読んだことがあるが、なるほど夥しい人物の挿話が際限なく登場する『三国志』を、けっして混乱することなく、平然と大長編漫画に仕立て上げてゆく平衡感覚には驚くべきものがある。『三国志』は拡大された『伊賀の影丸』にほかならない。
━引用終了━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
P.240b
━引用開始━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
この長編劇画は一九五九年から六二年にわたって執筆されている。『伊賀の影丸』が『サンデー』で連載開始となったのは一九六一年である。これでは横山が白土から主人公の名前どころか、忍者集団のトーナメント対決という物語構想そのものを、ちゃっかり拝借してしまったということになるのではないか。
ここで誤解がないように断っておくと、わたしはこの事実をもって横山光輝を非難しようとは微塵も考えていない。というのも忍者集団どうしのトーナメントという物語は、実は『忍者武芸帳』の全体が構想段階にあった五九年に、そもそも山田風太郎によって最初に試みられていたからである。
━引用終了━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
P.244
━引用開始━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
わたしがもし山田と白土、横山の間での類縁関係のことで何ごとかをいいうるとすれば、それは六〇年代前半の漫画の社会的地位の低さである。漫画は今日のように大学で研究すべき文化的アイテムなどではなく、芸術として認定されることもなかった。わずかに教育畑で児童への悪影響といった観点から言及がなされるに留まっていた。漫画化どしが人物の顔を盗用しようと、人気の大衆小説からプロットを拝借しようと、そのことで著作権を云々する者は存在しなかった。この傾向は相当後にまで続いており、人気漫画家が創造した主人公の顔が、別の漫画家によってそっくり真似られるという事態は、七〇年代にいたっても平然と行われていた。もしこれが小説かポピュラー音楽の分野であったら盗作問題として大騒ぎとなっただろうというような出来ごとが、こと漫画に関するかぎりはお咎めなしで通用していた。それはとりもなおあず当時の漫画が日本社会にあって、公認された文化の埒外に置かれ、貶められていたことを意味している。
━引用終了━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
あとついでに希望コミックスの「横山三国志」を気になる点をチェックしていて単行本3巻に「へえ/あれが/帝の使者の/督郵さまだ/そうだ」というセリフがあり、あからさまに郡の官職である「督郵」を人物名か何かと勘違いしている箇所を見付けたり、あと劉焉が戴いた冠が冕冠と確認したり(後に、2013年3月現在もWikipediaの上でこれについてツッコミがあったんだけど、そのツッコミ自体が、ツッコミ先の認識もツッコミ元の知識も二重に誤った認識に基づくものでずっと歯痒い気分だった…まぁ、それを編集できるのがWikipediaの良さなんだけどね)。
※関連記事
メモ:「後漢時代における刺史の「行政官化」再考」
・三国志 (横山光輝) - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/三国志_(横山光輝)
※参照リンク(上記のツッコミの話とは無関係)
・Re:中途半端にネタバレ (※「
三国志ファンのためのサポート掲示板」内書き込み)
http://cte.main.jp/c-board.cgi?cmd=one&no=3263
※追記
横山光輝『三国志』に見られる連環画の再構築 問題意識と目的 初稿
※追記。2013年09/22 (日) 12:53:42に「四方田 犬彦の 日本の「漫画」への感謝は出版されないのですか?」というネット・リテラシーの低い検索語句が見られる。検索サイトは人工知能でもなんでもないので、文章にする必要はなく、返って検索結果の範囲を狭めてしまうという前提が全く感じられない検索語句。
※追記
THE WORLD of THREE KINGDOMS 三国志会議(2014年3月13日)
※追記
日本の漫画への感謝(2013年11月20日)
※追記
レポ:7/26北九州 兀突骨で酒池肉林?! ラウンド1(2014年7月26日)
※追記
メモ:企画展 生誕80周年記念 横山光輝(2014年10月4日)
※新規関連記事
横山光輝『三国志』が大好き! (ケトルVOL.37 2017年6月14日)
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