※関連記事
扶助会構想
上記リンク先の記事にあるように、2008年5月末に、USHISUKEさん(※下記サイト参照)と話し込んでいて、それらの中の一つにセミナーや勉強会などのイベントの話があった。
・三国志漂流
http://3594h.blog95.fc2.com/
※関連記事
「三国志漂流」活動再開&引越し
その日からちょうど一年経とうとしているんだけど、下記リンク先の記事にあるように、USHISUKEさんの方はそういったイベントを具現化しつつある。一年前は何も無かったわけだから、そこから考えると、そこまでの形にするその行動力に感心することしきりだ。
※関連記事
勝手に「三国志検定」おべんきょう会in東京(2009年6月20日)
このイベントの面白いところは、一見、「三国志検定」の受験者という限定したターゲットのように思えるが、実は『三国志』や『三国演義』を共通言語としてカジュアル層も含めた幅広い三国志ファン層を対象にしており、それでいて既存の商業作品が持つ知名度や人気に依存してしてしまうという構造を回避していることだろう(※まぁ少なくとも「三国志検定」のに依存している形ではあるがが)。
片や清岡の方には構想はあるものの、そういったイベントを具現化しようとする動きはなく、実現する行動力もないんだけど、冒頭の関連記事のように構想を記事に残しておくだけでも時間が経てば今回の記事のように興味深いことも記せると思い、以下、構想の話に徹する。需要性はなさそうだけど(あと実現させる行動力はなさそうだけど)、そういったことは無視し、清岡がやりたいこと優先で。加えて、この記事自体の有意性を高めるために「三国志ニュース」の各関連記事へのリンク集という意味合いも併せる。
セミナーや勉強会の類のテーマはこの記事のタイトルにもなっているように、「三国創作」、つまり『三国志』を題材とした創作ということにする。それはビジュアルも含んだもの。ビジュアル面で『三国志』を題材するというと、人によっては『三国演義』の挿絵を想像するだろうし、場合によってはそのイメージの元が創作由来のものだと気付かない方も大勢いるだろう。単軸モデルやら多軸モデルやらの話ではないが(※下記記事参照)、原点、つまり立脚点を複数取るとより複雑になるため、ここでは『三国志』だけもしくは『三国志』が対象とする時代だけを基準とする。とはいっても原点が複数に渡ること自体は興味あることだけど、それについてはまた別の機会に何か書きたいと思う。
※参照記事
単軸モデルから多軸モデルへ(あるいはピラミッドモデルからすり鉢モデルへ)
画像に関し同様に、時代が降る『三才圖會』(三才図会)という本と『新訂三禮圖』(新定三礼図)についても扱わない。
※参照記事
メモ:三才圖會と三禮圖
一言、「三国創作」といっても、その対象が広大なため、イメージを掴みにくいだろう。実際、セミナーや勉強会を開く場合、単に「三国創作」をテーマにするといっても曖昧で参加しづらいだろうから、回毎により絞ったテーマが設定されると考えられる。以下、論を展開しやすいように、第一回のテーマが「冠」であるということで話を進める。
会の目的は、誰かが講義することで参加者の能力を伸ばすというより、参加者全員により共通認識を築くことが第一であろう。というのも経験上、現在流通している『三国志』を題材とした商業作品で、『三国志』と同時代の史料を参考にしているものはほとんどなく、それより後の時代の創作から取材しているものが多い。それらにより参加者のイメージが少なからず無意識にも影響を受けていると想定でき、さらに言えば参加者一人一人が持つイメージ(この場合、冠なんだけど)が全て微妙に違っているということもありうる話だ。そのため、まずしっかりと史料に立脚した上で、会を進める必要がある。そのことは各人が持つ固定されたイメージを払拭することを意味し、困難さが予想されるが、重要であるため、それ自体を会の目的にするのが自然であろう。こう書くと参加するには敷居が高いように思えるが、これは主催や出演側の問題に留め、参加者にはストレスにならないように努めたい。
それでどのような史料(この場合、冠に関する史料だけど)を用意するかというと、まずは伝世文献史料として『獨斷』、『続漢書』輿服志や『晋書』輿服志が挙げられる。これは中華書局のものからでも『後漢書集解』からでも台湾中央研究院の漢籍電子文獻からでも用意できる。
※参照リンク
・輿服って何!? (※「三国志ファンのためのサポート掲示板」内記事)
http://cte.main.jp/c-board.cgi?cmd=ntr;tree=2024
・貂蝉冠と恵文冠 (※「三国志ファンのためのサポート掲示板」内記事)
http://cte.main.jp/c-board.cgi?cmd=ntr;tree=3031
※参照記事
古典籍総合データベース(早稲田大学図書館)
初心者向けメモ:『三国志』攻略法1
『後漢書』朱儁伝の冒頭
「台灣中央研究院漢籍電子文獻」リニューアル?
ビジュアル的(画像的)な史料はそういった伝世文献はなく出土史料となる。もちろん本物は用意できるわけはなく、京都大学人文科学研究所所蔵の石刻拓本資料をネット経由で参考にしたり、林巳奈夫『漢代の文物』や孫機『漢代物質文化資料図説』に記載されるスケッチを参考にする。
※参照記事
石刻拓本資料(京都大学人文科学研究所所蔵)
1976年 林 巳奈夫/編「漢代の文物」
孫機/著「漢代物質文化資料図説」
これらの画像の解釈には下記の関連記事で挙げられているような文献や論文が参考となる。それらは清岡の知っている分なので、参加者から参考になりそうな文献を会へ持ってきてもらうのも手だろう。但し、同時代の史料に基づかない文献は端から除外する。
※参照記事
一梁?メモ
メモ:武冠のあみあみ
メモ:「中国服飾史上における河西回廊の魏晋壁画墓・画像磚墓」
「魏晋南北朝時代における冠服制度と礼制の変容」ノート
こうやって会で必要であり当日に用意できる資料は集まるわけだけども、それらを元にどうやって会を進めていくかになる。当時の冠に詳しく、それでいて集客効果の見込める有名な人を講師として招聘すれば良いんだろうけど、それら二点の条件を満たす人は思い付かない。集客効果を考えなければ、冠の基本的な説明ができる人、言い換えれば参加者の立脚点を設定できる人であれば、冒頭で講演する講師として充分であろう。あるいは実際、三国創作を生業にしている方を講師として招聘し、現場の話や体験談を伺うというのも面白そうだ。
それに加え、タイトルに「三国創作」とあるのだから、講義的な進め方以外にも演習的な進め方を取り入れても良いかもしれない。例えば、会場で様々な史料を提示し、そこから参加者が各人なりの冠の絵をその場で描いてみて、判らない箇所があればその都度、議題として挙げ、皆で知恵を出し合う、つまり共通認識を形成していけば良いのだろう。参加者が文筆系の人であれば、その形態を文章で表現するのだろうし、そもそも冠自体やその各部の名称は現在と当時とに差異があるので、その示し合わせも必要だろう。あるいは、粘土等でその場で立体に起こすのも良いかもしれない。
ここらへんの演習的要素を含めた進行は情報処理関連のセミナーが参考になるだろう。清岡自身はそういったセミナーに参加したことがないので、よく解らないが、例えば下記のような「三国志ニュース」で使用しているCMSのGeeklogのセミナー等を参考にしたいところ。
・Geeklog日本公式サイト Geeklog Japanese [携帯対応]
http://www.geeklog.jp/
・2009.5.23 Geeklogセミナーin大阪開催
http://www.geeklog.jp/article.php/seminar20090523
冒頭に掲げた「勝手に「三国志検定」おべんきょう会in東京」や上記の「Geeklogセミナーin大阪開催」もそうなんだけど、参加費は500円ぐらいに設定しておけば、会場代との釣り合いがとれそうだね。収入の方が上回りそうであれば、何か賞品をつけた企画をやれば良いかも知れない…とテーマがテーマなだけに、参加者が充分に募っているところは想像できないが。
あとカジュアル層も引き込めるような要素を盛り込んで行きたいところだね。
こういった会も突き詰めていけば、結局は史的正確性と文や絵の魅力との競合関係になりそうな予感だけどね。
※追記
三國志物語(1940)、少年三国志(1955)、羽石光志/絵
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