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神戸大学の入試国語でハイブリッド孫権(2019年2月25日)


  • 2019年3月 2日(土) 14:55 JST
  • 投稿者:
    清岡美津夫
  • 閲覧数
    13,963
教育機関 ※前の記事 メモ:日本の三国志マンガにおける表象考察(上) 横山光輝の『三国志』(2018年8月30日)

 下記関連記事にあるように、大学入試に三国関連がないか、チェックする季節となってきた。次は京都大学の入試で三国ネタ、と思ったら、そんな都合よくあるわけなく、仕方なく同日の神戸大学の入試にかえる、ネタがあったので。下記の読売新聞の大学入試速報を通じたもの。

※関連記事 大学入試センター試験で三国志関連2019(2019年1月19日)

・大学入試 : 読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/nyushi

・神戸大学
http://www.kobe-u.ac.jp/

※三年後記事 神戸大学の入試国語で西晋(2023年2月25日)

 具体的には、国語の三のところで、冒頭から呉下の阿蒙の漢文が出される。その末には「『資治通鑑』をもとに『江表伝』により改変」と出典が書かれている。それに付随する問いは四つ。単語四つの書き下し、文の現代語訳、「独」に注目させての文の現代語訳、字数制限の説明問題とそれぞれある。 それで『資治通鑑』からどこの文か以下、抜き出す。

・『資治通鑑』巻六十六漢紀五十八
初、權謂呂蒙曰:「卿今當塗掌事、不可不學。」蒙辞以軍中多務。權曰:「孤豈欲卿治經為博士邪!但當渉獵、見往事耳。卿言多務、孰若孤!孤常讀書、自以為大有所益。」蒙乃始就學。及魯肅過尋陽、與蒙論議、大驚曰:「卿今者才略、非復呉下阿蒙!」蒙曰:「士別三日、即更刮目相待、大兄何見事之晚乎!」

 しかし問題文の方では「光武」や「孟徳」などの単語がみえるのにここではないってことがそこが『江表伝』部分かと思い、そこを探す、以下。

・『三国志』巻五十四呉書呂蒙注所引「江表伝」
初、權謂蒙及蔣欽曰:「卿今並當塗掌事、宜學問以自開益。」蒙曰:「在軍中常苦多務、恐不容復讀書。」權曰:「孤豈欲卿治經為博士邪?但當令渉獵見往事耳。卿言多務孰若孤、孤少時歷詩・書・禮記・左傳・國語、惟不讀易。至統事以來、省三史・諸家兵書、自以為大有所益。如卿二人、意性朗悟、學必得之、寧當不為乎?宜急讀孫子・六韜・左傳・國語及三史。孔子言『終日不食、終夜不寢以思、無益、不如學也』。光武當兵馬之務、手不釋卷。孟德亦自謂老而好學。卿何獨不自勉勖邪?」蒙始就學、篤志不倦、其所覽見、舊儒不勝。後魯肅上代周瑜、過蒙言議、常欲受屈。肅拊蒙背曰:「吾謂大弟但有武略耳、至於今者、學識英博、非復呉下阿蒙。」蒙曰:「士別三日、即更刮目相待。大兄今論、何一稱穰侯乎。兄今代公瑾、既難為繼、且與關羽為鄰。斯人長而好學、讀左傳略皆上口、梗亮有雄氣、然性頗自負、好陵人。今與為對、當有單複以(卿)〔鄉〕待之。」。

 単純に前半部分が「江表伝」で後半が『資治通鑑』かと思ったら、今度は問題文にある「江表伝」の「卿言多務孰若孤、孤少時歷詩・書・禮記・左傳・國語、惟不讀易。」が見えない。結構、混ぜているんだなと。以下、順に出典表記を添えて問題文を再現してみる。

『資治通鑑』 初、權謂呂蒙曰:

「江表伝」 「卿今並當塗掌事、宜學問以自開益。」

『資治通鑑』 蒙辞以軍中多務。權曰:「孤豈欲卿治經為博士邪!但當渉獵、見往事耳。卿言多務、孰若孤!孤常讀書、自以為大有所益。

「江表伝」 孔子言『終日不食、終夜不寢以思、無益、不如學也』。光武當兵馬之務、手不釋卷。孟德亦自謂老而好學。卿何獨不自勉勖邪?」

『資治通鑑』 蒙乃始就學。

「江表伝」 後

『資治通鑑』 魯肅過尋陽、與蒙論議、大驚曰:

「江表伝」 「吾謂大弟但有武略耳、至於今者、學識英博、非復呉下阿蒙。」

『資治通鑑』 蒙曰:「士別三日、即更刮目相待、大兄何見事之晚乎!」

 ただ単に興味本位でやってみたら、意外と面白いことになってんね。前半は『資治通鑑』と「江表伝」のキマイラ孫権だし、後半はあたかも「江表伝」の魯粛と『資治通鑑』の呂蒙が書籍の壁を越え会話しているみたいだし。これぞまさに神の所業、いや神戸大学入試の所業か、サブカル的リミックスっていうか。

※新規関連記事 リンク:うっかり「YouTuber名」で大学の先生にメールしてしまったら……(ねとらぼ2022年2月3日)


 それで話を日記パートにして、2019年2月25日月曜日の入試の日は5時に起床。それで季節柄すっかり日の落ちた19時に京都大学の吉田南構内の北の門のところに到着。構内に入ったとところに、下記関連記事にあるように、毎年、京都大学の入試の日に、まるで受験生を和ませるかのように、非公認の折田先生像が立てられるのが恒例となっている。

※関連記事 京都大学の入試日本史世界史で三国志関連2018

 ところが写真の看板以外、何もない。一瞬、日を間違えたと思ったけど、とりあえずその看板を撮影して退却。とりあえずSNS等で確認したけど、どうやら14時ぐらいに撤去されたようだね(汗) 「平成」を掲げた小渕さんというメモリアルな折田先生像だったので肉眼で見ておきたかった。詳しい顛末や画像はいつもの下記のサイトで。来年は朝に行こうと決心したのだった。

・折田先生を讃える会
https://sites.google.com/site/freedomorita/

※新規関連記事 京都大学の入試日本史で邪馬台国関連2022(2月25日)

※次の記事 メモ:臥龍梅(2019年3月2日清見寺参拝)

※次記事 関西学院大学の入試で倭人関連2019

※新規関連記事 マンガ三国志(1998年6月20日発行)

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