前々から話に聞いていて、
サポ板でも何回か出ている『中国社会風俗史』が欲しくなり、お馴染みサイト「日本の古本屋」で検索すると、あじろ書林中川店という古書店に置いてあることがわかり2006年12月9日に買いに行く。
・日本の古本屋
http://www.kosho.or.jp/
・あじろ書林中川店
http://ikaino.com/
※追記
第34回 秋の古本まつり(京都古書研究会)
※追記
第30回 春の古書大即売会(京都古書研究会2012年5月1日-5日)
※追記
第36回 秋の古本まつり(京都古書研究会2012年10月31日-11月4日)
その古書店は大阪駅前第3ビルの地下にあり、そこを目指し、大阪駅近くの地下をひたすら歩く。平日はよくわからないんだけど休日の大阪駅前第1~第4ビルの地上部分は店がほとんど開いていないのに対し、地下は奇妙ににぎわっていて、来るたびに変なカルチャーショックをうける。私にとってはすごく独特な雰囲気に思える。第3ビルの地下一階で目的の店が見つからず、その場でノートパソコンを開いて確認。ちゃんと電波がとどくようで、目的地はどうやら地下二階にあることがわかる。
それでお店の人に聴くまでもなく、東洋文庫用の棚があったんで、『中国社会風俗史』が二冊ならんでいた。それぞれ1500円強。定価を見ると、それぞれ550円と600円。
あれ、プレミアついているのかな、と思い、一旦、店の外の廊下に出て平凡社のサイトで定価を調べる。
・平凡社
http://www.heibonsha.co.jp/
・東洋文庫
http://www.heibonsha.co.jp/catalogue/exec/frame.cgi?page=series.toyo/
そうすると「定価:2835円」を見かけたし、品切れとのことなので、安心し古書で購入する。
東洋文庫 151
『中国社会風俗史』
尚秉和/著・秋田成明/訳
その日からだらだらと読んでいたんだけど、さっきようやく一通り目を通す。内容はいろんな中国古代の社会風俗に関すること(下記目次参照)を項目ごとにそれぞれエピソードを文献から引用しつつ紹介していき、当時の様子を浮き彫りにしている。紹介されたエピソードはそれぞれ番号が振られていてどこからの引用かがちゃんと明記されているので、ちゃんと確認できて良い。深く知ろうと思えば、それを手がかりにどんどん手繰れるのだ。
『三国志』に載っているエピソードや三国時代のエピソード、例えば『世説新語』に載っているものなど、意外と多く載っているし、載っていなくとも三国時代あたりの社会風俗を知ろうと思えば、漢代や晋代のことを読めば推測の助けになる。ただ挿図の少ない本で、あってもとくに畫像磚石・俑などの出土史料に基づいている様子がないので注意が必要となる。
それほど一通り眺めた感じで深くは読んでいないが、おそらく必要に応じて、後からたぐることになると思う。例えばネット上で「曹丕はおはじきが好き」とか見かけると、「ソースは何?」と気になると、『中国社会風俗史』の「第三十四章 各種の遊戯」の「(二)弾棊」を見ると、魏の文帝が弾棊に優れていたという旨の文章をみかけ、さらに引用元(『世説新語』巧藝)を辿ることができ、近いことを知ることができる。
彈棋始自魏宮内、用妝奩戲。文帝於此戲特妙、用手巾角拂之、無不中。有客自云能、帝使為之。客箸葛巾角、低頭拂棋、妙踰於帝。
ちなみに巻末にある解説(秋田成明/著)によると、この『中国社会風俗史』は民国27年(西暦1938年)4月に発行された尚秉和/著『歴代社会風俗事物考』四十四巻のうち三十六巻を訳したものとのこと。残り八巻が気になるところだね。
○目次
第一章 冠髪
一 冠
二 美髪・化粧
第二章 衣服
一 周代
二 漢代
三 魏晉、六朝以後
四 佩帯品
五 女性の服装
第三章 履物
第四章 飲食
一 昔の料理法
二 食事礼法
三 食器および食料品
四 酒
第五章 住居
第六章 坐席
第七章 廁
第八章 昔の家庭生活
第九章 燈火
第十章 火・水・木の利用
第十一章 周代の車馬
第十二章 漢代以後の車馬
第十三章 城郭
第十四章 都市の道路
第十五章 商業
第十六章 祭祀
第十七章 祝日
第十八章 迷信・禁忌
第十九章 医療・追儺
第二十章 学校
第二十一章 文具
第二十二章 結婚
第二十三章 喪礼
第二十四章 葬儀
第二十五章 墳墓
第二十六章 敬礼
第二十七章 訴訟と刑罰
第二十八章 官吏の生活
第二十九章 平民の任官制度
第三十章 賦役と戸籍
一 租税
二 夫役
三 戸籍
第三十一章 奴婢の売買
第三十二章 旅行
第三十三章 軍事
第三十四章 各種の遊戯
第三十五章 社会雑事
第三十六章 芸妓
※追記
第37回 秋の古本まつり(京都古書研究会2013年10月31日-11月4日)
※追記
第27回下鴨納涼古本まつり(京都古書研究会2014年8月11日-16日)
※追記
メモ:CafeBar曹操(広島県広島市中区流川町)
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群龍在天の中根です。
この本は掛け値なしの名著ですね。著者の尚氏は易学の方で有名な方ですが、博覧強記としかいいようが無い人です。ネットも無い時代にここまで資料を調べたのは驚嘆に値しますし、類書も殆どありません。
なお、この訳本の原著「歴代社会風俗事物考」は中国の出版物として今でも新刊が出ておりますので、省略部分にご興味があれば歴代社会風俗事物考でぐぐって見てください。購入できると思います。
この本の書かれた時期の古さに買うのに躊躇していましたし、どんな本かを調べるのも怠っていたんですが、ある人に薦められて探し出し読んで上記のように購入いたしました。
まだ一通りしか読んでいないですが、これから先、何かとページを手繰りそうです。おっしゃるとおり名著ですね。
原著情報、ありがとうございます。まだ訳本の方をあまり読んだ気がしないので、馴染んだら、省略部分を是非、読みたいと思います。