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『三国志画伝』における『通俗三国志』の理解(2007年3月)


  • 2015年3月18日(水) 23:40 JST
  • 投稿者:
    清岡美津夫
  • 閲覧数
    1,469
研究 ・京都府立図書館
http://www.library.pref.kyoto.jp/

 上記の京都府立図書館の端末で「通俗三国志」と検索して見かけたこと。

国際日本文学研究集会会議録 (人間文化研究機構国文学研究資料館): 2007|書誌詳細|国立国会図書館サーチ
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I018387850-00

 (CiNiiで引っかからなかったもので)上記の書籍、人間文化研究機構国文学研究資料館/編集『国際日本文学研究集会会議録 第30回』(ISSN:03877280、2007年3月)が検索結果としてピックアップされ、目次部分を見ると、梁蘊嫻「『三国志画伝』における『通俗三国志』の理解 ─挿絵を手掛かりとして─」があり、早速借りてみる。pp.29-44にあった。どうやら2006年のタイトルにもなった国際シンポジウムの議事録らしいのだけど、普通に論文形式だね。でも普通の論文と違って末尾に「討論要旨」がある。
 この著者の論文は下記関連記事にあるように「三国志ニュース」で過去、三度記事として取り上げている。

※関連記事
 メモ:江戸文学における『三国志演義』の受容 (東京大学2010年10月28日)
 模倣と創造『絵本三国志』における『三国志演義』遺香堂本の受容(2012年12月)
 中国古典文学と挿画文化(2014年2月)

 そのときの印象から、この論文の主旨も、葛飾載斗二世/画『絵本通俗三国志』が有名すぎて『三国志演義』の挿絵は日本で独自発達したように思われがちだが、実は中国のを参考にしたのがある、といったものだと思っていた。ところがそういう主旨ではなく重田貞一(十返舎一九の本名)/作、歌川国安/画『三国志画伝』が「先行作である都賀大陸の『絵本三国志』の挿絵に倣っている」(p.30)とのことだ。後述するように場面場面で丁寧に両者を比較されている…いや、横山光輝『三国志』と『三国演義連環画』(上海人民美術出版社1956-1964年)を比較する際に、そういった細やかな表現をせずに類似点を挙げていただけなので見習いたいと思ったので。またそういった先行作だけでなく、三国に関係のない『朝鮮人来朝行列記』(十返舎一九序、喜多川歌麿画)や事典『唐土訓蒙図彙』を参照する様が書かれていた。

※関連記事 日本における三国志の挿絵本(1979年3月31日)

 というわけで下記に目次をまとめてみる。

p.29 一、はじめに
p.30 二、『絵本三国志』からの影響
p.30 1.「夏侯惇勇戦」の場面
p.31 2.「張飛張秀を捻殺す」の場面
p.32 3.「太史慈勇戦」の場面
p.32 4.「張遼関羽を解く」の場面
p.33 三、当代に見られた異国風風俗の利用
p.34 1.卓袱料理
p.35 2.朝鮮通信使行列
p.37 四、『唐土訓蒙図彙』からの取材─戦争場面に活用
p.38 1.軍船
p.39 2.雲梯
p.40 五、地図の挿入
p.38 1.「鄴城の位置関係図」(五編、十八ウ~十九)
p.41 2.「三口赤壁地理略図」(七編、二十八ウ~二十四オ)
p.43 六、地図の挿入


 府立図書館には書庫にあって、京都にお越しの際は見ていくのもいいかもね。

※追記 リンク:歌舞伎の世界における関羽の受容(2011年3月31日)

※新規関連記事 メモ2:江戸文学における『三国志演義』の受容 (東京大学2010年10月28日)

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