初放送ではないとは思うんだけど、2011年5月4日にCSで映画『腐女子彼女。』が放送されていた。この映画は2009年5月2日より公開とのこと。
・腐女子彼女。 : 角川映画
http://www.kadokawa-pictures.co.jp/official/fujoshi/
タイトルにあるぐらいだから、アニメ『海月姫』のように単なるオタク女子を「腐った女の子」と称すること(※原作は未確認)もないし、それらの層が好みそうな作品名、あるいは固有の作品を連想させるネタが出ていたり有名声優が出演していたが、さすがに商業作品とあってか「腐女子」の描写はリアル志向と言うより戯画(カルカチュア)化されている印象があった。
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三国志マニアまやや(アニメ『海月姫』2010年10月14日-)
それで映画の中盤辺りで、彼女が半身浴しながら勝手に彼氏所有の『三国志 壱』(作者名確認できず)を初めて読むというシーンがあった。劇中の彼女曰く「やっぱ孔明陸遜だよね~」だそうな。
まずはそれが何の書籍かと思って、それがアップになるシーンで一時停止して見てみると、ISBNが映っていたんでそれを検索すると、副島隆彦/著『堕ちよ!日本経済―アメリカの軛から脱するために』(祥伝社2000年8月)と言う書籍が出てきた。未確認だけど恐らく三国志とは無関係であるので、劇中の『三国志 壱』は架空の本なのだろう。
また「孔明陸遜」というカップリングについても気になった。言わずもがな孔明は諸葛亮の字(あざな)で蜀漢の国の人、それに対し陸遜は呉の国の人なので、いきなり越境カップリングか、と思い、何が「やっぱ」なのかと思った。確かアニメ『鋼鉄三国志』(2007年4月放送開始)では諸葛亮と陸遜が師弟関係なので、その影響か、とも思った。
※関連記事
2007年1月10日「鋼鉄三国志」公式サイトオープン
※追記
メモ:日中における『三国志』の受容と再創造の概況
そこから二ヶ月が経ち、以上のことをすっかり忘れていたんだけど、下記リンク先のように個人サイトの雑記を書いている際に、そういえば原作ではこの「孔明陸遜」のシーンは具体的な何かの三国作品になっているのだろうか、と気になった。
・架空というもの(※個人サイトの雑記)
http://cte.main.jp/sunshi/2011/0501.html#04
この映画の原作は下記にあるように2005年11月8日開設のぺんたぶさんによる個人ブログ「腐女子彼女。」だ。つまりこの著者の恋人が表題の「腐女子彼女。」という訳だ。その後、2006年12月8日にエンターブレインより単行本としてぺんたぶ/著『腐女子彼女。』(ISBN978-4757730595)が発売された。
・腐女子彼女。パート2
http://pentabutabu.blog35.fc2.com/
今、原作となるこのブログを見ると、「出版社の意向により、書籍収録分の過去ログを削除しました。」とのことなので、当然、「孔明陸遜」に当たるシーンがないと思い、下記のInternet Archiveを通じ最初のブログ記事順に見ていくことにする。
・Internet Archive: Digital Library of Free Books, Movies, Music & Wayback Machine
http://www.archive.org/
記事数が多いため長期戦になるのを覚悟していたが、あっさり12番目の記事で見かける。それが下記の記事。
・腐女子彼女。十二国記。 (※上記のサイト「Internet Archive」内)
http://web.archive.org/web/20060908131009/pentabutabu.blog35.fc2.com/blog-entry-12.html
映画の「孔明陸遜」のシーンとそっくりなエピソードではあるが、扱う作品は『三国志 壱』という架空のものではなく、実在する小説、小野不由美/著『十二国記』だ(講談社より刊行され、NHKでアニメ化もされた)。そして映画の「孔明陸遜」に対応するカップリングは「驍宗×泰麒」とのこと。『十二国記』を知らない人には「魚水」と説明しておけば良いんだろうか。
前述したように映画では実在の作品名も出てきているので、この辺り『十二国記』の著者の許諾が取れなかったと考えるのが自然なのかな。エピソードの内容が内容だけに。
余談だけど、アクセスログを見ると一時期「三国志 アニメ NHK」という検索語句が増えたことが何度かあったんだけど、下記関連記事のように、アニメ『三国演義』(現邦題『最強武将伝・三国演義』)がNHKで放送されるという報道がされたためと考えていた。でもその報道よりはるか前や最近でも結構、見かけていたので、もしかすると、今回の件から、アニメ『十二国記』やアニメ『彩雲国物語』を「三国志」と勘違いしたのかな、と思ってしまう。
※関連記事
アニメ『三国演義』2009年10月NHKで放送
※追記
精巧大型人形劇「三国志」~総集編~(2011年10月9日和歌山県田辺市)
※追記
ハッピー☆三国志 4巻(映画『BECK』内)
※追記
三国志(一) 桃園の巻(2013年2月1日)
※追記
軍師彼女(2013年4月9日)
※追記
真夜中のニャーゴ 諸葛亮(孔明)命日まつり(新暦基準)(2016年9月23日)
※新規関連記事
海月姫 まややのコミケ妄想(Kiss No.24 2012年12月10日)
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