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中国古代の暮らしと夢


  • 2006年4月10日(月) 01:04 JST
  • 投稿者:
    清岡美津夫
  • 閲覧数
    3,442
展覧会  ブログ「小芙蓉城」を見ていると、何やら気になる展覧会が愛知県陶磁資料館でやっていることを知る(下記リンク先参照)。後漢時代(つまり三国志の時代に通じる)の明器や俑(共に陶器の類)の展覧会だそうな。

・小芙蓉城
http://furong.mabinogion.net/
・記事『「陶器が語る来世の理想郷 中国古代の暮らしと夢-建築・人・動物」観覧記』
http://furong.mabinogion.net/archives/2006/03/post_303.html

 巡回にしていないかな、とそこの記事を頼りに調べる。なるほど8月に山口県の萩だったら三国志城の第五回三顧会との合わせ技で行けるかな、とかあれこれ考えてさらにネットを徘徊していたら、愛知県陶磁資料館の次は京都の細見美術館でその展覧会があることを知る。

・細見美術館
http://www.emuseum.or.jp/
特別展「陶器が語る来世の理想郷 中国古代の暮らしと夢─建築・人・動物」
2006年4月7日金曜日~5月28日日曜日

 でさっそく4月9日日曜日に行くことに。細見美術館は平安神宮の近くにある美術館。平安神宮近くの美術館といえば、京都市美術館と京都国立近代美術館なんだけど、まだ美術館があるんだな、と軽く驚く。
 白川の桜をみつつ、細見美術館へ到着。地下まで吹き抜けがある面白い建物。どうもその美術館は披露宴の会場としても使っているようで、展覧会に行く前に用を足そうと思っていてうろちょろしていたら止められてしまった。披露宴に呼ばれる方としてはそういった部外者のことに気をとられることがなさそうなので良い会場なのかな。
 それで展覧会の方もユニークでチケット(入場券)ではなくてシール。洋服の見えるところに貼るそうな。
 そして初めの自動ドアが開いてはいったところでまず目に付いたのが、チラシにもでかでかと載っている「水[木射](池中の望楼)」の明器。と思ったら、水[木射]は一つだけってわけじゃなくいろんな種類が何個かあるようだ。そこで気になったのが、作品を解説するプレートにおいて時代区分がおおざっぱだってこと。何世紀とかはなく「後漢」のみって場合ばかり。それに関連してか、どこどこの墓からでてきた、とかはなくやたら「個人蔵」が多いってこと。それに気付き、あまり時代考証とか考えずに今回は形を楽しもう、なんて思っていた。
 水[木射]で印象に残ったことは、そこにいる人がそれぞれ弩(いしゆみ)をかまえているんだけど、人によって弩の肩や弦の形が違う場合があり、つまり矢を放つ前なのか放った後なのかが違うってことだ。あとプレートの解説には「斗[木共]」(角度とか)が何回も登場するせいか「斗[木共]」図入りで説明がある。
 水[木射]の明器の後は後漢の楼閣や住居の明器が並ぶ。楼閣の明器のほとんどはちゃんと一階部分に中庭があって楼閣以外の残り三方が壁で囲まれているといったセオリー通り。それから格子窓(出窓)が表現されているのが印象的。格子窓の格子って結構、単純な幾何学模様なんだと感心していた。
 住居の明器は南方の建物で高床になっているって説明があって、確かに特徴のある形をしてたんだけど、それ以外は「漢代の文物」どおりで面白く感じた。門の両脇には闕が立っていて、門をくぐると廷(中庭)があり、令甓裓(煉瓦を敷いた道)の上を歩き廷を横切り、階を上がり堂に到る、という明器の形をしている。あと「漢代の文物」に載っていた囷(円筒状の蔵)の明器もいくつか展示されていて、現代に残る囷も写真で展示されていた。
<4月24日追記>
よくよく思い出してみると、囷って三国志ファン(というか呉ファン)にはおなじみの魯粛の蔵エピソードのまさしく蔵そのものの名称。
以下のように、三国志呉書魯粛伝に見られる。

肅家有兩囷米、各三千斛、肅乃指一囷與周瑜、瑜益知其奇也、遂相親結、定僑・札之分。

<追記終了>
 その後、一旦、吹き抜けの所へ出て階段を降りて次のフロアへ。そこで印象に残ったのが厠の明器。ちゃんと汚物処理用の豚の俑がいるし。いやかなり写実的だ(「漢代の文物」に載っていた圂の明器も展示されていた)。それから農作業をする建物の明器があったんだけど、その中に頬杖をついて腰掛けてすわる人が表現されていたけど、これって本当に後漢時代なのかな、と疑問に思った(腰掛けて座っているし)
 また一旦、吹き抜けの所へ出て階段を降りて次のフロアへ。そこで印象に残ったのは、楽器を使う「楽人」三体、それから踊る「舞人」一体の俑。不思議なことに全員、赤い[巾責]の上に武冠をかぶっていたこと。こういうのは士人のたしなみ?なんて想像していた。それと包丁をつかう俑。ディフォルメがきついけど、当時の包丁の持ち方や、その時の机(まな板がわり)の位置関係などがはっきりと表現されているし。あとは机の明器(同行者は孫権のエピソードを引き合いに出していたけど)、それと耳杯。後者は第四回三顧会の酒杯作りのネタ元として参考にしたいところ。

※追記 メモ:飯田市川本喜八郎人形美術館(2016年4月2日訪問)

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  • 中国古代の暮らしと夢
  • 投稿者:曹徳  2006年4月10日(月) 12:28 JST
貴重な情報ありがとうございます。
行きます。
たぶん。
5月28日までらしいですから若葉の頃にでも行こうかな。
  • 中国古代の暮らしと夢
  • 投稿者:清岡美津夫  2006年4月10日(月) 12:43 JST
こんにちわ。
人気のある展覧会と違って、空いているときを狙って行ってみたり混んでいることを覚悟して行ったりしなくても良いんで、そういう意味ではおすすめですよ。
昨日は周りの目を気にせずじっくり見ることができました。
ちゃんと休憩用の椅子も適所に用意されていましたし。