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メモ:ポータルサイト「三国志ワーズ」構想
アクセス集計は今のところ2007年9月中旬まで進んでいて、順調にいけば8月上旬で2007年分で終わり、そこからデータ解析に移る予定。集計している感じではトピックはいっぱいあるが、現代の三国創作とそれを支える社会の本質に迫り得るものが一つでもあるかどうかはまだ疑問が残る。
これが何のための作業かというと、下記、関連記事にある通り。
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三国志学会 第四回大会(2009年9月5日龍谷大学)
アクセス集計が当初の予測を超え時間がかかっているため、並行して発表原稿や発表資料を作成していった方が効率的だと思うようになる。その意欲を高めるためにこの記事を書く。表題に「メモ1」とあるものの、2以降があるかどうかは不明。
二ヶ月ほど前に発表原稿へも当日配るレジュメへも転用できるような原稿を書こうと思い立ち、まずは導入部分を書いていくもどうもしっくり来ない。まず、いきなりアクセス集計の説明から入ることを考えたが、大会全体の調和を考えると、とても良い案とは思えない。そこで思い付くまま、『三国志』とどう関係していくかか、陳寿『三国志』から始まって蘇軾『志林』一巻「懷古 塗巷小兒聽説三國語」の、
王彭嘗云:「塗巷中小兒薄劣、其家所厭苦、輒與錢、令聚坐聽説古話。至説三國事、聞劉玄德敗、顰蹙有出涕者;聞曹操敗、即喜唱快。以是知君子小人之澤、百世不斬。」彭、愷之子、為武吏、頗知文章、余嘗為作哀辭、字大年。
や湖南文山『通俗三国志』等も挟みつつ、古いのから順に説明していって現代に至るという構成だった。荒く一通り書き上げ読み上げてみると、どうも冗長のような気がした。なおかつ他にも作業があったので、それを棚上げしたまま放置していた。
最近、再開しようと思い、書いた分を読み返してみて、実際、会場で声に出すところを想像すると、ある批判めいたフレーズを思い浮かべる。それは「釈迦に説法」というもの。報告者の中で唯一の素人が初っぱなの発表で何、分かり切ったことを言ってんだ、と声なき言葉が聞こえてくるようだった。確かに学際色の強い該当学会だけに、聴衆への確認の意味もあって、そういったよく知られた事項を言うのは必要だろうけど、その文はあまりにも報告と関連性が薄く冗長だった。聴衆はどういった層か想定しつつ作文する必要があると思い、そういうことを含め、知人に告げると、「中文の学部生ぐらいを想定すれば良いんじゃない」とアドバイスをもらう。
それに対し妙に納得し、加えて、何か参考になるものは家の中を探してみる。そうすると目に付いたのは2005年7月31日に開催された「三国志シンポジウム」(第一回目)の「インターネットにおける三国志の世界」というご報告の予稿だ。
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2005年7月31日「三国志シンポジウム」雑感2
「三国志シンポジウム」はオープンキャンパスの一環だ。そのため、聴衆は大学を見に来ている高校生と、シンポジウムの対象者となる一般の三国志ファンとで構成されている。その点、該当学会大会と大きく違うところだけど、それでも発表者の立場という点で参考になるところがいくつかあった。あと、予稿には、聴衆にとって馴染みのあるネット用語や、反面、『三国志集解』とか三国志ファンを惹き付けるワードが散りばめられている点が印象深かった。
以上のような経緯を踏まえ、導入部分を「情報伝達」という切り口で書き直したのが、下記文となる。最後の段落は、後に続くであろう「集計方法」「集計結果と考察」「結言」などの内容に対しより即した文へと変えるつもり。
序言
陳寿『三国志』及び裴松之注には、事象の記録以外にも、経緯が明記された上で上行文、下達文、私信等の文書の書写がある。後世の史書や目録等に散見されるように、『三国志』及び注それ自体は時代と場所を大きく隔ててもなお伝達され続けており、そこに記載のある事象や文書等の情報も引用や論述といった形で、断片的に伝達されている。同様に、広義の三国時代を対象とした伝世文献史料と、簡牘、磚石、明器等の同時代の出土史料にある情報についても伝達されており、これらの三国時代を対象とした情報に含まれる事項を当報告では「三国由来事項」とする。
そういった三国由来事項は、雑劇、小説、絵画等の作品の題材に用いられる場合がある。それら作品の特性上、創作に際し三国由来事項が断片化する以外にも添削や創出などの変容を伴うものの、母体となる作品は伝達の新たな中継点として機能し、結果的に、より多くの人々への三国由来事項の浸透を支持する。
以上のような情報伝達は、内容と経路共に記録に残ることがある。現代日本においての三国由来事項の伝達についても記録されることがあり、インターネット上に限定すれば、それらに加え情報の受信者がどのような三国由来事項を求めているか、言い換えれば何に関心を向けているかについても知ることができると期待される。
そこで、2005年3月から2007年12月までの期間において、インターネット上に存在し三国由来事項を多く含んだ特定のウェブサイトへのアクセスを定点観測した。当報告では、その観測結果を集計し、現代日本において三国由来事項がどのように変容し浸透しているかを探る。
※次記事
メモ2:「アクセス集計に見られる現代日本における三国志由来事項の変容と浸透」
※追記
アニメ蒼天航路×KOEI
※追記
「三国志 読書感想文」or「三国志を読んで」
※追記
鋼鉄三国志 歌劇舞台~深紅の魂よみがえりしとき(2008年9月17日)
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