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どうも、真壁です。
御意見、どうもありがとうございましました。
興味深く読ませて頂きました。
シュガー佐藤氏が、講談社『世界の歴史』や学研『○○のひみつ』などの
シリーズの作画を手がけていたことは、私も存じ上げておりました。シュガー
佐藤氏や「よこたとくお」氏の名前は、子供の頃に学習系の漫画を愛読していた
私にとっても、非常に懐かしいものであります。シュガー佐藤というペンネーム
が、「砂糖佐藤(さとうさとう)」というシャレだったことに気付いた時、私は
少し大人に近付いた気がしたものです。
なるほど。歴史漫画の大御所という意味での起用なら理解できます。しかし、
伊比さんもおっしゃられているように、「原作吉川英治+作画石森プロ」の
組み合わせは、やはり無難すぎる気がします。この漫画が、『週刊ビジュアル
日本の歴史』のように、ページの上半分の扱いだったなら、私も不満は
なかったかと思います。歴史の流れ、三国志という話の流れを掴んでもらう
という意図の漫画ならば、こういう無難な絵柄の方が、かえって変な先入観を
抱かずにすむので、助かります。ですが、『週刊ビジュアル三国志』では、
この漫画が、まるまる1ページを使い、内容の半分以上を費やしたメイン
ディッシュです。メインディッシュがかくも無難で退屈では、毎週購入する
のはちょっと辛い。内容の半分以上をこの漫画に裂くぐらいですから、
「ぜひ、この漫画を読んでほしい!」という意図があってしかるべきなん
ですが、残念ながら、まるで工夫が感じられず、「今時この漫画はないで
しょう」と思わざるを得ません。
ビジュアル系の漫画を採用するのが冒険なら、私としては、『週刊ビジュアル
日本の歴史』のように、この漫画は、参考程度のものにして、他の記事を
もっと充実させるべきだったと思っています。
ところで、コーエーの絵柄を「けばけばしくて嫌い」という方も、やはり
いらっしゃるんですねえ。光栄のゲームから三国志を知った私としては、
多少気にいらない部分はあったとしても、コーエーの絵柄こそが、三国志
イラストのスタンダードだったので、「これが普通」と思い込んでいました。
「けばけばしい」という意識がなかっただけに、御指摘は意外でした。
なるほど、何をもって良い絵柄とするかは、難しいところですね。
ただ、ヘンテコなイラストよりは、コーエーの絵柄の方が、ウケは
良いと思うのですが、いかがでしょう。
「理想の歴史系小説」についてですが、これは、ずっと書かせて頂こう
と思っていたのですが、なかなかハッキリとしたことを書くチャンスがなく、
あちこちのレスで小出しにするような形になってしまっていました。
また、じっくりと書かせて頂くことがあるかもしれませんが、今回もまた、
サラリと述べさせていただこうと思います。
そうですねえ、基本的には「史書の記述に反すること以外ならなんでも
良い」という感覚ですが、やはり大事なのは、「ちゃんと史書を読んで、
自分なりの解釈で書いている」というところがポイントですかねえ。
これまでは、演義を離れて、先入観を排して書いた三国志モノが、あまり
なかったですから、そういうものが読みたくてたまらないところです。
これまででは、せいぜい陳舜臣『秘本三国志』があったぐらいですか。
その『秘本三国志』も、『演義系』のファンにとっては、かなり驚きの展開
かと思いますが、まだまだ『演義』の感覚が抜けきれていない部分も
多いです。三好徹『三国志外伝』のようなスタンスで、史書の内容に
添ってはいるのだけれども、あくまでも小説(漫画)で、ところどころに
自分なりの想像・創造を加えている、という形が良いですね。それで
なおかつ、三国志の新しいスタンダードになれるような娯楽性があるのが
望ましい。『歴史系』=堅い、オモロない、という印象が一部にあるよう
ですが、実際のところは、、筑摩和訳の中だけでも、魅力のある話は
たくさんあります。今までの伝え手が、充分に表現してこなかった
この魅力を、いかに小説(漫画)の中に引き出してやれるかどうかが、
ポイントになると思います。かといって、ある小説はそんな感じでした
が、史書のエピソードを、何の工夫も加工もなく、ボンと小説に挿入すれば
良いというものではありません。想像と創造を加えて、興味深く面白い
内容にしてこそ、プロの小説(漫画)家というものです。幸い、史書には、
じっくり描けば面白そうな題材が、山ほどあります。その題材を、いかに
面白く、手に汗握る展開にするかが、腕の見せどころでしょう。
まったくのオリジナルをやるのも全然構わないんですが、やるなら、
「なぜ、そのオリジナルのシーンや展開が必要だったのか?」ということが
わかるようにしてもらいたいところです。オリジナルをやるなら、やはり
テーマが欲しいのです。そのオリジナルをやることによって、ある人物の
深みが増したり、時代背景がより理解できたりするのなら、やっても
良いでしょう。しかし、よほど、その人物・時代に惚れ込み、その人物・
時代を想像してオリジナルを作らないと、かえって、とってつけたような
話になり、その人物・時代の魅力を損なうことになるでしょう。
ファンサービスのつもりで、まったく脈絡のないところで、孔明や
趙雲を出す人もいますが、私としては、不快に感じる場合が多い。それは
なぜなら、そうすることによって、かえって彼らの魅力を損なう場合が
あるからです。テキトーに思い付いたエピソードでお茶を濁せば、本来
魅力的でしかるべき人物が、下らない人物と化すのは、当然のことと
思います。そんなことをするくらいなら、史書の魅力的なエピソードを
持ってきて描いてくれた方が、断然良いでしょう。ファンサービスで
やるなら、その人物に本当に惚れ込み、その場に適切かどうか?その
人物の魅力を存分に発揮させているかどうか?をしっかり判断してから
やってもらいたいところです。
私見ですが、作家さんには、まずは、オリジナルを作ることを考える
より、史書『三国志』の素材の良さを引き出すことを考えてもらいたい
ところです。
三国志の創作料理はもう飽きた。一度、三国志の懐石料理が一回食べて
みたいのです。いじりすぎた、化学調味料まじりの創作料理は巷にあふ
れています。素材の良さを十全に引き出した懐石料理を食べてみたい。
とりあえず、こんな感じです。
これはあくまでも、『歴史系』の理想を考えた場合ですので、すべてが
こうでなくてはならないと思っているわけではありません。しかし、
『三国志』と銘打つものは数あれど、実際の史書を読んで書いた、
本来なら『三国志』界の柱となるべき作品がまるでないというのは、
やはり淋しいところです。
ぜひ、このようなスタンスの傑作が出てくることを願います。
ということで、今回は、いかがだったでしょうか?
「理想の三国志小説」の話は、皆様にちゃんと理解して頂けるように
書けたかどうか、少し(かなり)自信がありません。「いや、今までの
アンタのすべての文章が、理解できんよ」という方もいらっしゃるかも
しれませんが、御容赦下さい。また、御意見、御感想、御指摘等、頂戴
できましたら幸いです。
ジョージ真壁
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