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▼ジョージ真壁さん:
歴史か『三国志演義』かと言う問題は、文章を発表する側の意識が、そこまで考えていないと思います。と言うより「この文章を見て読者がどう考えるか」などと言うことは、あまり意識に無いと思います。
出版社から「こういうコンセプトでお願いします」と言われて、「はいはい」と書いているのが現状だろうと思います。
正史やその他の歴史書に依拠してその内容の範囲以内で書き表すのが「歴史(正史)系」で、『三国志演義』に依拠してその範囲以内で書き表すのが「文学(演義)系」だろうと思いますが、現状ではこれ以外のゲームとか漫画とか映画とかテレビドラマとか有ります。
これらの中で、正史とも異なり『三国志演義』とも異なり、架空の人物の活躍や、架空の出来事が登場するのが「娯楽(歴史小説)系」だろうと思います。歴史小説と言うのは出だしと終わりが歴史事実に合っていれば、その過程は如何荒唐無稽の面白い話でもかまいません。そのフイクションの部分を如何面白くするかがエンターテーメントだろうとおもいます。
例えば、「真田十勇士」は娯楽の歴史小説で、如何彼等が活躍しても家康は殺せないのです。殺したら歴史小説ではなく単なるフイクション小説です。殺さないと言うのが歴史のノンフイクションで、架空の登場人物の活躍がフイクションで、これが上手くかみ合った小説が娯楽性の強い歴史小説だろうとおもいます。
実は、日本ではこれだけ三国志のフアンが多いのですが、実際中国語圏の世界では、三国志が映画化されたのは、今までに2回ほどだと思います。個別の曹操とか華陀とか諸葛亮孔明については数本有りますが、三国志自体は極めて少ないです。
これは、正史の内容と『三国志演義』の内容が近い、つまり歴史と小説が近い内容であるため、エンターテーメントにしづらいと言うことだろうと思います。因って『封神演義』とか『隋唐志演義(ムーランの話です)』とか『楊家将演義』とかの方が、はるかに多く映像化されエンターテーメントとしてもてはやされています。
と言うような訳で現在日本には、歴史系・小説系・娯楽系の三種類が存在し、依拠したものの名称を明白にしないまま、それぞれが勝手に正史に依拠とか演義に依拠とか言っているのが現状ではないのかと思います。
純粋に学問的に追究しないならば、どちらであれエンターテーメントとして優れて面白いものが一番愉しいように思います。
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