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【791】三国志を取り巻く現状を憂う(長いです) ジョージ真壁 2004/3/30(火) 3:38 マニアック!

【845】『週刊ビジュアル三国志』を読んで思う ジョージ真壁 2004/4/10(土) 17:56 感想
┗ 【848】Re:『週刊ビジュアル三国志』を読んで思う 伊比 学 2004/4/11(日) 3:21 ひと言
┗ 【851】ビジュアルの話と理想の三国志作品 ジョージ真壁 2004/4/13(火) 3:06 感謝♪

【845】『週刊ビジュアル三国志』を読んで思う
感想  ジョージ真壁  - 2004/4/10(土) 17:56 -

引用なし
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     どうも、真壁です。


  今回は、最近話題(?)の雑誌、『週刊ビジュアル三国志』について、私の
感想を書かせて頂こうと思います。

  『週刊ビジュアル三国志』については、既にスレッドが立てられていますが、
内容の主旨からすると、こちらに載せるのが適当かと思いますので、こちらで、
述べさせていただくことにしました。
 どうぞ、よろしくお願い申し上げます。


『週刊ビジュアル三国志』の創刊号は購入し、第二号は立ち読みしました。


『週刊ビジュアル三国志』。この表紙の迫力はさすがです。ビジュアルの、ビジュ
アルたる所以が感じられます。この表紙だけでも、コレクションする価値があり
そうです。


 中身。現地の写真。これも圧巻。漫画の絵や小説・史書の記述からだけでは、
漠然とした想像しかできませんが、実際の写真を見ると、「こんなとこで戦って
いたのか」と、想像が膨らみます。これも、「ビジュアル」と銘打つ本ならではの、
素晴らしい企画だと思います。


 三国志漫画。これはいただけない。漫画という企画自体は大アリでしょうが、
この漫画にはいくつかの不満があります。「この内容で、この絵柄」。それが
不満です。内容は、まるっきり『演義系』です。それは構わないのですが、絵は
普通の漫画風。この組み合わせが、「どうかな?」と首を傾げざるをえません。
なぜなら、普通の漫画風で、内容が演義系ならば、すでに横山光輝が、最高峰の
ものを描いています。なぜ改めて、焼き直し以下のものを作る必要があるのか。
それに、『ビジュアル三国志』なのに、この絵柄はいかがなものか。どうせなら、
その宣言通り、「ビジュアル系三国志漫画」を読ませて欲しかった。例えば、
男っぽくいくなら、『北斗の拳』の原哲夫のような画風の漫画。女性風でいくなら、
『覇王伝説タケル』の島崎譲のような画風の漫画で。しかるに、この漫画からは、
そういった「ビジュアル」のプライドや、テーマが感じられない。少なくとも、
この漫画を目当てで、この本を買う人はいないのではなかろうか? 私は、
エンタメ系三国志本を買うときに思うことが多いことの一つに、「出版社は、
イラストを軽くみていないか?」ということがあります。「この人、三国志を
まったく知らないのではないか?」というような、『歴史系』でも『文学系』でも
『娯楽系』でもないテキトーなイラストが、三国志の記事とともに載っている
ことが非常に多い。「イラストが魅力的だったら、もっとたくさんの人が買うのに」
と、三国志の普及のために、残念に思わずにはいられません。テキトーなイラストを
載せるぐらいだったら、別冊宝島の『戦国武将最強列伝』のように、もうコーエーの
ゲームのキャラクター写真を載せた方がナンボか良い。イラストを見て、買うか
買わないか、最後の決断をする人は決して少なくないはずです。話はそれましたが、
この漫画は残念です。どうせなら、漫画もビジュアルにしてほしかったし、もしこの
絵柄にこだわるならば、内容は『歴史系』にすべきだったように思えます。
そうすれば、目新しいものなので、わざわざ買って読むだけの価値が出てくる。
「この内容で、この絵柄」は、もう必要ないでしょう。残念です。その残念な漫画が、
この本の内容の半分を占めているのが、ますますもって残念です。

 次は、記事。『三国志 戦略クロニクル』。漫画は演義のことをやっているのに、
この記事は正史のことをやっていて、統一性のなさが気になりますが、ちゃんと注釈
がついているし、中身が良いので気になりません。「中原を疾駆する漢の騎兵」の図は、
とても参考になりました。…が、第二号では、記事の中身が演義の話に変ってしまって
いました。「え、えーっ!」っていう話です。連載として、内容を統一する気すら
ないというのが残念です。一体、何がしたいのか。次のページの記事「三国志人物
列伝」では、また内容が歴史系に戻り、もはや何がなんだかわかりません。


 で、読み終わって最初の印象は、「中身がえらい薄いなあ」ということでした。
出版社は違うのですが、似たような主旨と名前の『週刊ビジュアル日本の歴史』の
方が、よりブ厚く、内容も比較的ギッシリと詰まっています。『週刊ビジュアル
日本の歴史』では、ページの上半分だけが漫画で、下半分にはビッシリと記事と
写真を載せており、読後の充実感は圧倒的にこちらが上です。『週刊ビジュアル
三国志』では、60ページ程の内容のうち、1ページをまるまる使用した、
価値を見出せない漫画がなんと33ページ。これでは、勝負になりません。
これが同じ価格というのも、納得のいかない話です。

 『週刊ビジュアル日本の歴史』では、桶狭間の戦い(1560年)〜大坂
夏の陣(1615年)の約55年を十冊分で。『週刊ビジュアル三国志』では、
黄巾の乱(184年)〜孔明の死(234年)の約50年を50冊分なので、
その分薄くなるのも当然かもしれませんが、そのようなこと以前に、内容を
充実させようという気構えが感じられません。毎週560円も払って、50週分
読もうという方は、相当三国志が好きな方だと思うのですが、そういう人が、
喜ぶ内容とは、到底思えません。かえすがえすも残念です。


  ということで、忌憚のない感想を述べさせていただきましたが、いかが
だったでしょうか。御意見、御感想、御指摘、あるいは、「私も見たが、私は
こう思った」等の話があれば、賜れれば幸いです。


                    ジョージ真壁

【848】Re:『週刊ビジュアル三国志』を読んで思う
ひと言  伊比 学 E-MAIL  - 2004/4/11(日) 3:21 -

引用なし
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   日本の三国志文化に興味がある人間として、ビジュアル三国志を全巻買おうかと思っている伊比です(すでに1,2巻を購入済み。ヒマ人ですね)。
今回は、真壁様の書き込みのうち、三国志漫画への意見に関して私見を述べさせていただきます。

真壁様は小・中学生時代に講談社の「世界の歴史」シリーズや、学研の「○○のひみつ」シリーズをお読みになられたことがございますでしょうか? 学校の図書室には間違いなく置いてある本です。シュガー佐藤氏は、それらの作画を広く手がけてきた人物です。石森プロの漫画家で、石森章太郎に最も作画が似ていたため、石森章太郎が亡くなられた後にマンガ日本経済入門の作画を行うなど、ほぼ実質的な後継者として扱われているようです。
私はシュガー佐藤と聞いた瞬間、学研の「○年の科学」に載っていたモアイくんを思い出したのですが…

さておき、石森プロは歴史漫画というジャンルで言えば、大御所中の大御所になります。その意味において、石森プロを起用したのは戦略的には失敗でもなんでもないと考えています。歴史漫画家としての知名度は横光以上だと思いますので。あとは今の読者層があの絵柄をどう受け取るかというだけの話。真壁様が良しとしたコーエーの絵柄を「けばけばしくて嫌い」という人もいるわけですから、絵柄についての議論は決着がつきかねるところだと思います。ただ、私としても「原作吉川英治+作画石森プロ」というのはあまりにも無難すぎる組み合わせで面白みに欠けると思っています。強いて挙げれば、この漫画をもっとも受け入れやすい世代は中年層でしょう。

あと、1つ気になったことが。真壁様はよく「歴史系の小説(或いは漫画)」と仰られていますが、理想の歴史系小説とはどのようなものなのでしょう。
オリジナルエピソードを全く含まないものでしょうか?
それとも、正史の記述に反すること以外なら何を書いても良いというスタンスでしょうか?

【851】ビジュアルの話と理想の三国志作品
感謝♪  ジョージ真壁  - 2004/4/13(火) 3:06 -

引用なし
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    どうも、真壁です。
 御意見、どうもありがとうございましました。
 興味深く読ませて頂きました。


 シュガー佐藤氏が、講談社『世界の歴史』や学研『○○のひみつ』などの
シリーズの作画を手がけていたことは、私も存じ上げておりました。シュガー
佐藤氏や「よこたとくお」氏の名前は、子供の頃に学習系の漫画を愛読していた
私にとっても、非常に懐かしいものであります。シュガー佐藤というペンネーム
が、「砂糖佐藤(さとうさとう)」というシャレだったことに気付いた時、私は
少し大人に近付いた気がしたものです。


 なるほど。歴史漫画の大御所という意味での起用なら理解できます。しかし、
伊比さんもおっしゃられているように、「原作吉川英治+作画石森プロ」の
組み合わせは、やはり無難すぎる気がします。この漫画が、『週刊ビジュアル
日本の歴史』のように、ページの上半分の扱いだったなら、私も不満は
なかったかと思います。歴史の流れ、三国志という話の流れを掴んでもらう
という意図の漫画ならば、こういう無難な絵柄の方が、かえって変な先入観を
抱かずにすむので、助かります。ですが、『週刊ビジュアル三国志』では、
この漫画が、まるまる1ページを使い、内容の半分以上を費やしたメイン
ディッシュです。メインディッシュがかくも無難で退屈では、毎週購入する
のはちょっと辛い。内容の半分以上をこの漫画に裂くぐらいですから、
「ぜひ、この漫画を読んでほしい!」という意図があってしかるべきなん
ですが、残念ながら、まるで工夫が感じられず、「今時この漫画はないで
しょう」と思わざるを得ません。

 ビジュアル系の漫画を採用するのが冒険なら、私としては、『週刊ビジュアル
日本の歴史』のように、この漫画は、参考程度のものにして、他の記事を
もっと充実させるべきだったと思っています。


 ところで、コーエーの絵柄を「けばけばしくて嫌い」という方も、やはり
いらっしゃるんですねえ。光栄のゲームから三国志を知った私としては、
多少気にいらない部分はあったとしても、コーエーの絵柄こそが、三国志
イラストのスタンダードだったので、「これが普通」と思い込んでいました。
「けばけばしい」という意識がなかっただけに、御指摘は意外でした。
なるほど、何をもって良い絵柄とするかは、難しいところですね。

 ただ、ヘンテコなイラストよりは、コーエーの絵柄の方が、ウケは
良いと思うのですが、いかがでしょう。


「理想の歴史系小説」についてですが、これは、ずっと書かせて頂こう
と思っていたのですが、なかなかハッキリとしたことを書くチャンスがなく、
あちこちのレスで小出しにするような形になってしまっていました。
 また、じっくりと書かせて頂くことがあるかもしれませんが、今回もまた、
サラリと述べさせていただこうと思います。


 そうですねえ、基本的には「史書の記述に反すること以外ならなんでも
良い」という感覚ですが、やはり大事なのは、「ちゃんと史書を読んで、
自分なりの解釈で書いている」というところがポイントですかねえ。
これまでは、演義を離れて、先入観を排して書いた三国志モノが、あまり
なかったですから、そういうものが読みたくてたまらないところです。
これまででは、せいぜい陳舜臣『秘本三国志』があったぐらいですか。
その『秘本三国志』も、『演義系』のファンにとっては、かなり驚きの展開
かと思いますが、まだまだ『演義』の感覚が抜けきれていない部分も
多いです。三好徹『三国志外伝』のようなスタンスで、史書の内容に
添ってはいるのだけれども、あくまでも小説(漫画)で、ところどころに
自分なりの想像・創造を加えている、という形が良いですね。それで
なおかつ、三国志の新しいスタンダードになれるような娯楽性があるのが
望ましい。『歴史系』=堅い、オモロない、という印象が一部にあるよう
ですが、実際のところは、、筑摩和訳の中だけでも、魅力のある話は
たくさんあります。今までの伝え手が、充分に表現してこなかった
この魅力を、いかに小説(漫画)の中に引き出してやれるかどうかが、
ポイントになると思います。かといって、ある小説はそんな感じでした
が、史書のエピソードを、何の工夫も加工もなく、ボンと小説に挿入すれば
良いというものではありません。想像と創造を加えて、興味深く面白い
内容にしてこそ、プロの小説(漫画)家というものです。幸い、史書には、
じっくり描けば面白そうな題材が、山ほどあります。その題材を、いかに
面白く、手に汗握る展開にするかが、腕の見せどころでしょう。

 まったくのオリジナルをやるのも全然構わないんですが、やるなら、
「なぜ、そのオリジナルのシーンや展開が必要だったのか?」ということが
わかるようにしてもらいたいところです。オリジナルをやるなら、やはり
テーマが欲しいのです。そのオリジナルをやることによって、ある人物の
深みが増したり、時代背景がより理解できたりするのなら、やっても
良いでしょう。しかし、よほど、その人物・時代に惚れ込み、その人物・
時代を想像してオリジナルを作らないと、かえって、とってつけたような
話になり、その人物・時代の魅力を損なうことになるでしょう。

 ファンサービスのつもりで、まったく脈絡のないところで、孔明や
趙雲を出す人もいますが、私としては、不快に感じる場合が多い。それは
なぜなら、そうすることによって、かえって彼らの魅力を損なう場合が
あるからです。テキトーに思い付いたエピソードでお茶を濁せば、本来
魅力的でしかるべき人物が、下らない人物と化すのは、当然のことと
思います。そんなことをするくらいなら、史書の魅力的なエピソードを
持ってきて描いてくれた方が、断然良いでしょう。ファンサービスで
やるなら、その人物に本当に惚れ込み、その場に適切かどうか?その
人物の魅力を存分に発揮させているかどうか?をしっかり判断してから
やってもらいたいところです。

 私見ですが、作家さんには、まずは、オリジナルを作ることを考える
より、史書『三国志』の素材の良さを引き出すことを考えてもらいたい
ところです。
 三国志の創作料理はもう飽きた。一度、三国志の懐石料理が一回食べて
みたいのです。いじりすぎた、化学調味料まじりの創作料理は巷にあふ
れています。素材の良さを十全に引き出した懐石料理を食べてみたい。


 とりあえず、こんな感じです。
 これはあくまでも、『歴史系』の理想を考えた場合ですので、すべてが
こうでなくてはならないと思っているわけではありません。しかし、
『三国志』と銘打つものは数あれど、実際の史書を読んで書いた、
本来なら『三国志』界の柱となるべき作品がまるでないというのは、
やはり淋しいところです。
 ぜひ、このようなスタンスの傑作が出てくることを願います。


 ということで、今回は、いかがだったでしょうか?
 「理想の三国志小説」の話は、皆様にちゃんと理解して頂けるように
書けたかどうか、少し(かなり)自信がありません。「いや、今までの
アンタのすべての文章が、理解できんよ」という方もいらっしゃるかも
しれませんが、御容赦下さい。また、御意見、御感想、御指摘等、頂戴
できましたら幸いです。


                    ジョージ真壁

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