まんがのソムリエ(2014年5月31日発行)

※関連記事 第27回下鴨納涼古本まつり(京都古書研究会2014年8月11日-16日)

 上記関連記事で触れた伊藤昌亮『フラッシュモブズ 儀礼と運動の交わるところ』(NTT出版2011年2月25日発売)を粗方、読んで(やはり2ちゃんねる吉野屋オフの件が面白く感じてしまう)、延長を含めた(第2期)貸出期間4週間が過ぎようとしていたため、返す。

・フラッシュモブズ 儀礼と運動の交わるところ|書籍出版|NTT出版
http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100002116

 しかし、これから先、依然、旅の予定があったため、旅のお供にすぐさま何か借りねばならぬと思い立って、いつも見るマンガ評論・研究の棚にあったのが今回の記事で取り上げる中野晴行『マンガのソムリエ』(小学館クリエイティブ2014年5月31日発行)だ。

・まんがのソムリエ | コミック関連本 | 趣味 | 書籍 | 小学館
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784778035099
※これによると発売は5月26日になっている。


 というのもこの著者はマンガ研究に流通といった外在的分析の切り口を持ち込んだことで有名な『マンガ産業論』(筑摩書房2004年7月)の著者で、「三国志ニュース」でもざっと検索すると下記のような記事が引っかかる。

※関連記事
 私的メモ3:三国志関連初心者向け
 メモ:漫画学のススメ(2000年1月20日)
 メモ:コミックマーケット82 3日目(2012年8月12日)

 しかし、研究書の『マンガ産業論』と違い、この『マンガのソムリエ』はそのp.4によるとメールマガジン『マンガのソムリエ』『マンガのシクミ』で連載されていたのを収録されたもので、マンガ100作品をコラムで紹介するといった、肩肘張らない内容だ。そのため、『マンガ産業論』のようなのを期待していた清岡は、借りるのを躊躇したが、紹介されるマンガ作品に横山光輝『三国志』や王欣太『蒼天航路』の文字を見かけたので、「三国志ニュースの」のネタに借りることにした。

 それらの作品は「第4章 まんがで歴史が好きになっちゃまずいか?」48番目(pp.170-172)と49番目(pp.173-175)と続けて掲載されている。まぁ、内容については三国志ファンにとっては既視感を覚える書き方なんだけど、メルマガのタイトルからいって多分、マンガ好きを対象としているので、そこは過不足ない適度な内容なのだろう。

※関連記事
 メモ:企画展 生誕80周年記念 横山光輝(2014年10月4日)
 贈りもの 安野モヨコ・永井豪・井上雄彦・王欣太(2012年11月22日)

 ざっと紹介されるタイトルだけ見ると、三国ものはこれだけかと思っていたが、不意に「三国志」が引き合いに出されたりする。例えば、pp.197-199の57番目の山田芳裕『へうげもの』では人気のある歴史上の人物で触れられるし、pp.85-87の21番目の田村由美『BASARA』では冒頭で「私は平和主義者であるが、『三国志』や『太王四神記』のような戦記物を読んだり見たりするのは好きである。」と書かれてある。

 そのため、他にも三国ものがないかよく見ると、「第2章 まんがだから描ける壮大なドラマがあるのだ」でのpp.109-111の29番目の藤原カムイ×寺島優『雷火』があった。これは下記関連記事にあるように、京都国際マンガミュージアムにて三月さんから教えて貰ったのだけど、邪馬台国を舞台としたマンガだ。

※関連記事 三国志学会(西)勝手にスピンオフ図書館見学ツアー(2012年9月9日)

 結局、清岡はそれ以降、そのマンガをよんでないのだけど、この書籍では概要が書かれてあって、どういった歴史上の人物が登場人物として出てくるかわかる。ちなみにp.110には「むしろ、古代日本を舞台にしたファンタジーコミックとみたほうが無理がない。」と説明されている。それで、壱与は当然として張政もでてくるんだ、と驚いたり。

※関連記事 まんが日本史#2「幻の邪馬台国~女王卑弥呼~」(2012年5月18日)

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 そしてその次のpp.112-114の30番目のかわぐちかいじ『太陽の黙示録』だった。下記関連記事で触れたように(当時の)近未来日本を舞台とし『三国志演義』をモチーフとしたマンガ作品で、『三国志演義』での登場人物を名も人物描写もモデルにした人物が出てくるそうな。ちなみにこの書籍によると、諸葛亮は葛城亮として出てくるとのこと。

※関連記事 太陽の黙示録

 あと三国とは関係ないが(横山光輝『三国志』研究とは結構関係あるが)、第4章のpp.203-205の59番目の手塚治虫『ブッダ』のところに、p.203「もともとは、『火の鳥』を連載していた月刊誌「COM」の休刊を受けて、「希望の友」編集部か」p.204「ら「うちで『火の鳥』の続編を」という打診を受けた手塚が、子ども向け雑誌に『火の鳥』をそのままは難しい、と考え、同じようなテーマでまったく別のお話を構想したのが『ブッダ』のはじまりである。」と書かれてある。何だか同社の『水滸伝』依頼時の、姉妹紙である『希望ライフ』に忍者ものを、と横山先生に依頼した話を連想したよ。

※追記 編訳 中国歴史文献学史述要(2014年5月10日発行)

※追記 メモ:2015年、2つの研究テーマ

※新規関連記事 雷火(1987年5月12日-1997年8月26日)
http://cte.main.jp/newsch/article.php/3295