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美術鑑賞メモ「スーラと新印象派」
021022
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展覧会名:スーラと新印象派   光と点描の画家たち
開催場所:京都国立近代美術館
開催期間:2002年9月10日〜10月20日
鑑賞日:10月20日


   南から京都の平安神宮に向かって歩くと、ちょうど大鳥居の手前で不思議な光景に出会う。
   通りの右側に少し古風な西洋建築、左側に現代的な西洋建築といった光景。(前者:>>参考写真、後者:上の写真)
   それぞれ何の建物かというと、「京都市美術館」と「京都国立近代美術館」。
   初めてみたとき、こんなところに二つも美術館を建ててどういうつもりだろう、と思ったけれど、それがどうしてなかなかのもの。毎回、二つの美術館とも私にとって興味深い企画展をやるのだ。
   だから、午前中、京都市美術館の企画展をみて、午後からは京都国立近代美術館の企画展をみよう、なんて美術展のハシゴをすることも多々ある。
   今回、行ったときも京都市美術館で「ピカソとエコール・ド・パリ   メトロポリタン美術館展」なんて、魅力的な展覧会が行われていたので、ハシゴをしようかな、と思うも、午後から用事が入っていたので、断念する。また次の機会。それに今回、行った展覧会がこの日で最終日だったということもある。

   というわけで、今回、みにいったのが「スーラと新印象派   光と点描の画家たち」展。前々から行きたいと思っていた展覧会だ。
   開館時間の9時半前にその美術館へ到着するはずだったんだけど、コンビニのチケット売りマシーン(仮名)と戯れていたら、9時33分に到着してしまう。
   たかが3分過ぎたぐらい、とお思いだろうけど、展覧会の最終日の人混みは油断ができない。
   展覧会の会場に足を踏み入れてみると、予想通り、結構、人が居た。もう、一つの絵にそれぞれ2、3人が見ている状態だ。まぁ、これぐらいだったら、まだゆったり鑑賞できるぐらい、と少し安心しながら、鑑賞のうつる。

   その題名から、今回の展覧会は、スーラの絵ばっかりで最後の方にちょっとだけ、新印象派の画家の絵があるのかな、と会場に足を入れる前は思っていたけれど、そうではないみたい。会場は新印象派の画家ごとに絵が分けられていて、絵の多さから、スーラはその一人といった印象を受ける。
   それに、この日まで知らなかったんだけど、スーラは32歳という若さでお亡くなりになったそうだ。「新印象派」なんて美術界の大きな流れをつくった人なんで、もっと長生きしたんだろうな、と勝手に思っていた。だから、とても驚く。
   それぞれの画家エリア内の絵の並びの理由はよくわからなかった。とにかく、制作年ごとではなさそうだ。だけど、それが返って、絵の制作年を注目するきっかけになる。それで、1890年ぐらいがこの手の絵を描く人のターニングポイントだったんだな、という印象を私は受けていた(単なる印象で、学術的な意味はまったくない)。

   白状すると、この展覧会に来るまで、新印象派に、「頭でっかちの理論ばかりを重視する学派」という偏見を抱いていた。○○美術館展などで垣間見る、新印象派の絵といえば、違う色の点が並んでいて、それらの色が目の中で混ざるといった理屈は面白いけど、純粋に絵としては楽しめないものだった。(どうにかして楽しもうとして、新印象派の絵画を、近くからみたときと遠くからみたときで、見た印象ががらりとかわるところに面白さを見いだしていた)
   だけど、今回の展覧会でその認識は一変した。多くのいろんな作品に触れていると、それぞれの作家が何を大事にして表現しているか理解できた気がし、色彩の妙に感動していた(それをひとつひとつ言葉で説明しろと言われても無理だけど・汗)。
   新印象派というと、「明るい風景画」をそれまで想像しがちだったけど、夜のとばりの絵あり、人物画あり、おとぎ話のワンシーンあり、様々なテーマの絵を見ることができ、そういう意味でも認識が変わった。

   今回、新印象派の奥深さに少し触れたような気がした。とても有意義なひとときだ。




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