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古本屋に行こう
021110
<<美術鑑賞メモ「スーラと新印象派」


   本屋・古本屋は知識の集まり。だから、その買い物に結構、その人の趣向が表れやすいように思えます。
   では、私はどうなんだろう?   と思ったので、ちょいと、美術館に出かけた後(>>美術鑑賞メモ「スーラと新印象派」)、古本屋にいって何を買ったかをピックアップしてみて、文を添えてみました。

その一、魚のムニエルが食べたい。

題名:食事で鉄分をとる─貧血を防ぐために─
著:女子栄養大学出版部編
初版:1991年12月
ISBN:4-7895-1212-6

   ここ数年ぐらいで、古本のチェーン店というのをよく見かけるようになりました。本好きとしては、安くて気軽に本を購入できて単純に歓迎するものなのでしょうが、かえって、新刊が売れなくなりそうで、出版業界は大丈夫なんだろうかというような余計な心配をしてしまうぐらいです。
   まあ、それはそれとして、そういった古本のチェーン店には、大抵、百円均一のコーナーがあって、そこを私はよく利用します。いくつか立ち読みして、ちょっとだけしか、欲しいって思ってなくても、百円だし、良いか、てなって感じで半ば衝動買いみたいなノリで買っていきます。
   その百円均一のコーナーでも、さらにコミックやら文庫やら各種単行本やらいくつかコーナーにわかれています。それで単行本で「生活・赤ちゃん」というコーナーでチェックしてました。(あ、別に赤ちゃんの本をチェックしてたわけじゃないです・汗)
   それで、目に留まったのが「食事で鉄分をとる─貧血を防ぐために─」という本。あ、私は貧血をそうそう起こさないですよ。ただ、そこに書いてあった「ニジマスのムニエル」を食べたくて、その本を購入しました。ちなみに、別のコーナーにおいてあった「食事でカルシウムをとる」は定価の半額でした(苦笑)
   で、早速、スーパーへとお買い物です。たいていの材料はあったのですが、なんと、肝心のニジマスがありませんでした。仕方ないので、サーモンの切り身を購入しました。
   それでつくったのが、左の写真にうつっているやつです。サーモンのムニエルもなかなかのおいしいものでした。その他はふかし芋とほうれん草のバター炒めです。ほうれん草にも鉄分があるので本の題名どおりです。私は、ほうれん草のバター炒めはそんなに食べたこと、なかったのですが……その美味しさに気付いてしまったようで、今では野菜が足りないな、と思ったら、迷わずほうれん草のバター炒めをしています。当分、このブームがつづきそうです(笑)


その二、ハードカバー版は是か非か。

題名:ブラック・ジャック16
著者:手塚治虫
出版:秋田書店
初版:2001年3月20日
ISBN:4-253-09984-X

   たいていの学校の図書室や学級文庫には、漫画を置かないのが通例となっています。
   但し、例外があって、なぜか、歴史系漫画や横山光輝著の三国志(こちらは小説が原作なのですが、元が歴史小説なので、一見、歴史にもとづいた漫画です・笑)は置いていたりします。あと、漫画で置いてそうなのは、手塚治虫先生の漫画。そして、私が買った「ブラック・ジャック」も置いてある可能性が高い漫画です。
   だいたい、漫画ってのは、雑誌連載を経て、単行本で発行される場合が多いのですが、再編集され別の装填で発行されることも少ないありません。このブラック・ジャックも雑誌連載を経て発行された単行本以外にも、いくつか別の装填の本があります。文庫化されたもの、手塚治虫全集の一つとして発行されたもの、安い紙をしようし廉価版として販売されたものなど。私の買ったのは、表紙に厚い紙を用いた、いわゆるハードカバー版ってやつです。
   このハードカバー版、単行本や連載順序とは掲載順序が異なります。私が推測するに、当初、ハードカバー版ブラック・ジャックは傑作選として販売されたのかなあと思ってます。
   ブラックジャックは一話完結の短編の集まりなのですが、それらの小さな話の流れの裏には、大きな流れもあります。その大きな流れは単純に作画の変移もありますが、設定の変移もあるので、大きな流れに沿っていないハードカバー版に私は少し違和感を持つことがあります。(今回、購入したのも、ピノコが登場したばかりのころのエピソードと思われる話が登場しました。何だか、無口なピノコが。)
   まぁ、そんなことを思いながら、この本を買ったのですが、そんなこと抜きにブラックジャックの面白さを改めて味わいました。
   特に最後の「過ぎさりし一瞬」。いつもより多いページ数(90ページ以上!)で、作品名という意味でも主人公名という意味でも、ブラックジャックの魅力をじっくりみせていただきました。伏線や謎をちらりちらりと読者にみせるところや、世界一の腕に執着する主人公のキャラクター付けなどなど。


その三、「あたしンち」だけにあらず。

題名:いっしょにスーパー
著者:けらえいこ
出版:メディアファクトリー
初版:1994年7月30日
ISBN:4-88991-320-3

   私が、けらえいこ先生の漫画を知ったのは、そんなに昔じゃないです。
   あれは「BSマンガ夜話」というTV番組で、けらえいこ先生の「あたしンち」が紹介されていたころです(2001年8月8日放送)。毎回、この番組では一つの漫画作品をとりあげ、座談会のようにみなで語り合うのです。はっきり言って私はこの番組のファンで、テーマに選ばれる作品を全然、読んだことないのに、番組はちゃんと見ます。
   そこで知ったのが、けらえいこ先生の「あたしンち」ということです。(「あたしンち」は現在、アニメにもなってます)
   番組がきっかけで、購入したのですが、番組で想像した以上に、面白い漫画でした。それで、「あたしンち」だけにあきたらず、他の、けらえいこ作品を探すことにしました。
   「あたしンち」はフィクション作品ですが、他の作品にはノンフィクション……というよりエッセイ漫画が多いです。「セキララ結婚生活」、「七年目のセキララ結婚生活」、「たたかうお嫁さま」と次々、見つけだしたのですが、まだみつからないのがありました。それがこの「いっしょにスーパー」です。
   題名を見ると、スーパーでのお買い物をテーマにした本かなあと思いましたが、夫婦生活全般をテーマにした、いつものエッセイ漫画でした。私としては安心しました。ちなみに21話中、スーパーの話は一話だけでした(次点、デパートの話)。やはり、題名は「いっしょに」というところに重点がおかれているのでしょう。ちなみに、この本、カバーを外すと、地の表紙がスーパーのチラシをモチーフにしていることがわかります。その表紙によると、缶ジュースは78円です(笑)
   内容は、ほのぼのさと、お笑いと、おのろけとの間をいったりきたりしてるように、私は感じました。総じて、主役(書き手?)の日常の幸せがこちらまで伝わってくるようです。
   例えば、第二話で夫に家事を手伝ってと言う妻(主役)。呼びかけられた夫がいざ、主役のもとへ来ても、妻は何を手伝ってもらおうか思いつかないでいます。それでとっさに妻の口から出た言葉は

「じゃ   腰もっててくれる?」(10ページ8コマ目)

その後、残り一ページは、七コマにわたって、いろんな家事をする妻に、後ろから妻の腰に手をおく夫のシーンです。夫は眉をひそめ、少し迷惑そうな顔をしてますが、妻は嬉しそうです。こう書くと、ただのおのろけのように思えますが、そのページは変な間があって、妙に可笑しいシーンだと私は感じますし、主役の気持ちも共感できます。
   こういった一連のエッセイ漫画シリーズは、フィクションの「あたしンち」より日常の生の息づかいに触れられたようで、私は好きなのでした。



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