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▼伊藤玲子さん:
>貂蝉の名の由来になった貂蝉の冠についてお教えください。
>恵文冠とは、同じものですか?
>その関係は?
>色々お教えください。
一昨年「三国志学会」でも話題に挙がったカイチ冠の話ですね。すでに竹内先生が論文にして『三国志研究』第一号に載っていますので、読んでみるとよろしいかとおもいます。
恵文冠をはじめとした法冠については、歴代の二十四史の輿服志のほか、ほかにも明代の『五雑組』などにも「こんな冠があります(ありました)よー」といった感じで紹介されています。
恵文冠は、春秋戦国時代の恵文王(楚の国の王様だったかと記憶しています)がかぶっていたことから、その名が付いたといわれているようです。別名、カイチ冠ともいって、こちらはカイチという法律を司る神聖な動物がその名前の由来となっています。
このカイチですが、他にもカイタイやタイなどといった別称があり、その姿については、一角の羊(『説文解字』)、一角の熊(『論衡』)、一角の麒麟(『隋書』礼儀志←もとは『独断』の説だったかと記憶しています)などがあり、はっきりしていません。
また、かわいそうなことに、この動物は同じおめでたい動物である麒麟とは違って、後世になると、その存在そのものが忘れ去られてしまった節があります。『五雑組』の著者などは、「こんな動物は存在しない」といっています(ちなみに、麒麟は永楽帝のときに、一般公開されたのを見に行ったそうです。いったい何を見たのか気になるところです)。さらに、法律の「法」字には、本来はこのタイが入っていたのですが、今現在の「法」字には、(カイチが忘れ去られると共に?)これが省略されてしまいます。
貂蝉冠も司法に関わる役人がかぶっている冠です。『三国志平話』にて、呂布のラブロマンスのお相手の名前が貂蝉であったこと、呂布がカイチ冠をかぶっていたことは一種の言葉遊びのようなものであったのではないかと、竹内先生は仰られていたかと思います。
最後に、カイチや、カイタイ、タイといった漢字が表示されないようなので、これらの漢字については、下のサイトを見てください。
http://myrmecoleon.sytes.net/iib/view/KCI001.html
http://blog.so-net.ne.jp/zhenwu/2007-03-05
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