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2010年7月の雑記
2010.07.01.
<<2010年6月の雑記


このページは?
   このページは日記コンテンツです。本サイトでは全然、ジャンル違いなので注意です。


7/1   電子書籍よりも

   サイト「オタキングex」の「FREE著作」を見て(※「読んで」ではない)。図書館から書籍を借りる習慣を近頃、再開させたせいもあって、個人的にはまだ読んでない書籍が山ほどあって、電子書籍よりそちらを優先させるべきだと痛感したよ。同じ状況で読むんだったら、手間のかからない方法を選ぶので、将来的にどうなるかわからないが、今のところ、まだまだ個人的にコンテンツが豊富な図書館から書籍を借りる方を選ぶ。

>>オタキングex


7/2   赤本、貸本、雑誌週刊化の並列

   中野晴行/著『マンガ産業論』(筑摩書房2004年7月)を読み終える。読む前は新知見に大した期待をかけてなかったがそれは大間違いだった。「第二部 マンガ産業の三十年」ではタイトル通り社会との関連性を見ながらマンガ産業を追っていく主旨で、途中、中弛みを感じていたが、読後はその本の主旨から必要な過程だと感じた。NHK連続テレビ小説ゲゲゲの女房』を見ていて素朴な疑問として、水木しげる先生のモデルの役はどうして斜陽の貸本マンガから雑誌マンガに転身しないかというのがあった。でもこれを読んで、一気にその疑問が解消する。つまり雑誌での連載、特に週刊連載は、貸本に比べ一度に書く枚数が少なく思うように作品に作家性を出せなく作家にとって魅力がないからだ、と(ちなみに当時は雑誌→単行本という流れが確立されていなかったそうな)。あと、赤本、貸本、雑誌週刊化がどういった時代順に並ぶのか、頭の中でごっちゃになっていたがその疑問も解消する。赤本は大阪を中心として、今みたく書店の販売経路(チャネル)ではなく駄菓子屋への販売経路により流通し、マンガだけでなく小説も含んだものだったそうな。そのため現在の東京を中心とした出版とは切り離された形で第二の市場というべき独自発展したそうな。そのため赤本で人気だった手塚治虫先生が主に出版に移ったときにはすでにそのスタイルは完成されていたという。ちょうど日本のイチローがメジャーリーグで新人賞を取ったみたいな感じなのかな。あと、紛らわしいことに赤本が貸本として使われていたという。ここらへんは『マンガ産業論』のP.130にある文を引用して端的に説明すれば良いかな。つまり「四九年から五一年は赤本マンガを中心とした第一次マンガブーム。六〇年から六三年は貸本を中心にした劇画ブーム。六七年から七〇年は、少年週刊誌を中心とした第二次マンガブーム。そして、七六年から八〇年が第三次マンガブームである。」とのこと。第二次マンガブームへ移る背景はそれまで読者=子ども、消費者=親の構図だったのが、安価で読める貸本を経て読者=消費者=子どもの構図になったということを解き明かそうとしていた。あと第三次マンガプームの後はそれまで雑誌が担っていた役割がアニメに取って代わられ、アニメがマンガのプロモーションの役割を大きく担ったという。その例としてアニメ化された作品の多い『週刊少年ジャンプ』収録の作品の単行本の売上が高いことを挙げられていた(ここらへんの記憶は曖昧でどの時代か抜きの大雑把な説明になってしまう)。あと「面白い作品を読みたい」意識より「話題となっている作品を読みたい」意識が強くなり、売上が伸びる様が見えていた。

>>連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」


7/4   『嗤う日本の「ナショナリズム」』を読み終えて

   図書館から借りた北田暁大/著『嗤う日本の「ナショナリズム」』(日本放送出版協会2005年2月)を読了。P.127に田中康夫/著『なんとなく、クリスタル』(河出書房新社1981年1月)のことが書かれてあった。どこらへんが当時、受けていたのか何となくわかった。「NOTES」(注)の存在は興味深いね。当時「カタログ小説」と呼ばれた所以だそうな。
   それから巻末には注が並んであって、それらの中で参照先として挙がっていたサイト「電車男の時刻表」(http://subway.seesaa.net/)を見る。現在ないので、Internet Archiveで見た。サイト名から連想されるように『電車男』に関するブログだ。『電車男』は真偽はともかく巨大掲示板の一部を媒体とし、ハンドルネーム「電車男」が体験したことを書き込んでそれを他者が逐次コメントを入れていったという「てい」でできた著作だ。書籍に纏められ市場に出る際には「真実」というのが売りだったようだ。それに対し件のブログではネタだという状況証拠を積み上げていくのがとても面白いね。あと出版に際し整合性がとれないので抹殺された「後日談」なんて初めて読んだしその書かれた背景ってのがあれこれ想像できて面白い。ここらへん後世の歴史家の論点になりそう(笑)。それで評価する方向へ思い直したんだけど、プロモーションの仕方が画期的なんだよね。言ってみれば広告効果込みでフリーな雑誌で連載し、単行本その他で利益を回収するような、すごいスマートな方法なんだよね。しかし、ケーフェイ守るみたいに電車男と実際に会ったことを唯一の理由に『電車男』が真実の話であることを喧伝する担当編集者はある意味、プロだね。


7/5   NHK-BS2でジャッキー・チェン特集始まる

   タイトル通り。一週目は昼と夜両方、ジャッキー・チェン出演の映画を放送していた。初日の昼は『拳精』。初期の映画で、楽しめるのかなと思ったけど、なんか突き抜けていて面白いね。『ハイスクール奇面組』のカンフーネタの元ネタってこれかな? あと、あの幽霊みたいな拳精が他のカンフー映画になくて面白いね。

>>BSシネマオンライン


7/6   プロジェクトA2

   そしてジャッキー・チェン特集二日目。正直に言うと、子どもの時にジャッキー・チェン出演の映画をいっぱい見たけど、ほとんど覚えてなかったんで、改めて見る機会がとてもできて良かった。二日目の夜は『プロジェクトA2』だ。名前の通り続編。二十世紀初頭の香港を舞台に警察、マフィア、水警察、革命党員、海賊、清朝武官があれこれ入り組んでとても面白い。ある意味、群衆劇だねぇ。


7/9   サンダーアーム

   そしてジャッキー・チェン特集五日目。『サンダーアーム』を見ると、似たような設定の『プロジェクトイーグル』と比べ壊滅的に面白くなかった。設定や伏線が活かされてないし回収できてない。子どものときに見た記憶があるが、まったく印象にないのはこのためかな。あと、ジャッキーが大けがを負ったのは、ラストシーンと思い込んでいたが、最初のシーンだね。

   図書館から借りてきた茂木健一郎/著(聞き手・歌田明弘)『脳の中の小さな神々』(柏書房2004年7月)を読む。聞き手の歌田明弘さんに対して茂木健一郎先生が講義するという対談形式の書籍。正直言って、私はTVタレントとしての茂木先生しか知らなく、TVで言っているのに、純粋にどういう実験事実や根拠に基づいているのか気になっていた。この書籍を見るとある意味納得だね。以下メモ書き。
   第2日目講義「「あ、ぼくも食べたい」と思ったサル」。ミラーニューロンは感覚情報と運動情報の両方に関わる神経細胞。その名の通り、他人の心の状態を推定する能力に使われる。つまり他人のことを自分へ内在化するというか、何か深いね。
   第11日目講義「ありふれた脳の働きのなかに飛びこんでいる想像力の芽がある」。P194   「天才とサリバン◎ほんとうに英才教育をする方法」。フロー状態、心理学の研究、脱抑制、セーフベース。たまに「フロー状態」と出演される番組でおっしゃられるのはこれか。
   第13日目講義「人間の脳は不確定性に対処するためにできた」。P230「感情というリスク分散装置」。P234「人間の感情というのはひと言でいえば不確定性に対処するためにできているんですね。感情という不確定なものを通すことによって、人の反応を分散化させている。つまり投資のリスク分散は意識的にやっているわけだけど、感情というのは、意識しないで行動を分散化する仕組みですね。」。こういう風に「感情」という現象を説明されると納得することが多々。
   P102   言語学者と自然科学者の発表の相違(または哲学会とイギリスの生理学会との相違)。ここらへん私の知る限りの文系と理系の学術報告の違いに酷似している。スライド無しで原稿読むだけというのは馴染まないな。準備のしやすさからいくと前者なんだけどね(※というわけで>>三国志学会大会での私の発表になった訳だけど。)。「言語学者の発表というのは論文が印刷してあって、それを一字一句そのまま読むんですよ。」「ふつうの自然科学者は言葉なんてどうでもいいと思っているから、適当にしゃべるわけです。同じスライドを使っても一〇回しゃべったら一〇回とも違う(笑)。」哲学会「リード・ザ・ペーパー」。イギリスの生理学会「発表は、書いた原稿を読んではいけない」というルールがある。


7/10   「電子出版の動向と諸問題」

>>漢字文献情報処理研究会ホームページ

   上記サイトに案内のある漢情研2010年度公開シンポジウム「電子出版の動向と諸問題」に行ってくる。田代真人さんの報告とか聞いている最中はすごく知的好奇心がかき立てられていたが、如何せん馴染みのない分野なんで、後からとやかくコメントが残せないのが残念。ちゃんと経済的な視点もあったし、それ以外は満足。あと司会者自らtwitterで実況していたりシンポジウムの姿勢として見習う所がいっぱいあった。自分向けに下記へリンク張っておく。

>>博客   金烏工房

>>漢情研2010年度公開シンポジウム「電子出版の動向と諸問題」 私家版まとめ(上記ブログ記事)

   連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』。作中、象徴的に出てくるラーメンズ片桐仁さん演じる貧乏神。作中、水木先生のところへ貧乏を招き入れていくように見えている構図。作中、水木先生の元に大きな仕事が舞い込んできて、貧乏神が笑ったのを見て、この仕事を引き受けたら貧乏になると察知し一旦断る流れ(断った理由は一日おいてからセリフで説明される芸の細かさ)。嫌がられている貧乏神までも利用するという素晴らしい展開!

>>連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」

   ジャッキー・チェン特集六日目。映画『スパルタンX』。患者として福星シリーズの役者が出てくるところも面白い。スペインで広東語が飛び交うところはご愛敬だけど。


7/12   やっぱり『ゲゲゲの女房』

   連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』。内田勝『「奇」の発想』(三五館1998年6月1日)が元ネタっぽいのがてんこ盛り。例えばP.36の上半身裸のステテコ姿(さすがにドラマでは上半身は単に下着姿)でいて、水を張ったバケツに両足を入れ涼み、向かい上の『婦人倶楽部』から抗議が来るとか。

>>連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」


7/15   ポリス・ストーリー

   月、火、水と『ポリス・ストーリー』を三作目まで放送しておいて、四作目の『ファイナル・プロジェクト』を放送せず、タイトルは似ているが、実際の事件を題材とした、別ものの『新ポリス・ストーリー』を放送したのは天然なのか、ジャッキーの別の魅力を伝えるためのわざとなのか。

>>BSシネマオンライン


7/19   『「奇」の発想』

   内田勝『「奇」の発想』(三五館1998年6月1日)を読み終える。後の方だれたけど、やはり『週刊少年マガジン』関連は面白いね。というわけで、以下メモ書き。

   P.42「第5章   マンガの王者「アトム」に挑戦」   『8マン』では原作を付けることが率先して取り入れられた。当時の一般的な漫画家は原作付きを嫌がられた。「マンガとテレビ・アニメを連動させ、玩具、文具、菓子、食品などのマーチャンダイジング展開を行い、ブーム・マーケットを形成する」
   P.56「第7章   少年誌と玩具とのドッキング作戦」“読めば得する少年マガジン”   モデルガンのプレゼント。モデルガンブームを仕掛けた。「仮面ライダー」グッズのブームも。バンダイの子会社だったポピイの「変身ベルト」
   「第9章   「のらくろ」に秘められた“真実”」   P.78   TBS、円谷プロの協力を得て表紙に「ウルトラ怪獣勢ぞろい」の写真を取り上げる。
   「第10章   編集長新任の一週間で考えたこと」P.83   擬音にも校正が入るという話。下記のリンク先で書いたすがやみつる氏の発言と一致する(というか、これが情報源かも)

<<そんなところにも出版コード(2010年6月19日の雑記)

   P.89「第11章   劇画──アングラからメジャーへ」   『墓場の鬼太郎』のジャンル分けの時に、「怪獣」と対置させ「妖怪マンガ」と規定し、結果的に「妖怪」という使われない言葉が普及した。
   P.134「第16章   “一枚の絵は一万字に勝る”宣言」   「マンガはテレビの印刷媒体化されたものである」という内田さんの発想に触発され大伴昌司さんのアイディアでできた『週刊少年マガジン』の「大図解シリーズ」   多種多様なテーマで読者に与えた影響大。


7/20   「ガロ」編集長

   長井勝一『「ガロ」編集長   私の戦後マンガ出版史』(ちくまぶっくす 筑摩書房1982年4月25日)。途中、マンガの話になると面白くて一気に読んでしまいそうな勢い。もちろんその前の戦中戦後の話もダーティーな魅力的がある。『ゲゲゲの女房』でのイメージとのギャップ有りすぎ。桜井昌一さんによる長井さんのダーティーさが出ていて興味深い。というわけで以下、メモ書き。

   「第四章   三洋社の時代」三洋社の話。P.104「三人だから三洋社というのはどうだろう、と社名もトントン拍子で決まってしまった。しかもこの三人、夜久さんはひょろりとしたノッポで、小出英男くんはデブ、おまけにわたしがチビときているから、とんだ凸凹トリオである。」P.108桜井昌一『ぼくは劇画の仕掛け人だった』の引用。青田買いみたいな描写。
   あとがきをみると桜井さんの言い出しで長井さんがこの書籍を書いたそうな。
   P.130第四章「6   三たび結核に倒れる」のところに水木しげる先生のことが書かれている。水木先生が戦後復員してからの武蔵野美術学校に入ったことやリンタク屋をやっていたことも書かれている。あと関係ないけど「刺激」を「刺戟」と書かれてあって、こっちの方が戟で刺す感じで感覚的具体的に伝わるね。

   そして読書とシンクロするように連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』で、劇中、水木先生のアシスタントが登場してくる。倉田圭一くんが池上遼一先生だろうね。『「ガロ」編集長』P.170ではそれまでメッキ工場で働いていてドラマでは看板屋。ドラマ中、公園で出会った元貸本マンガ作家の小峰章はつげ義春先生がモデルだろうね。ドラマ中の深沢洋一編集長による『ゼタ』こそ、長井勝一編集長による『ガロ』がモデル。


7/25   ムジカの幸福さねよしいさ子登場レポ

   下記のように「ムジカの幸福さねよしいさ子登場レポ」を書く。実際、それを書いたのが9月1日で一ヶ月以上前のライブのレポートだからいまいち臨場感がないな。

・・>>ムジカの幸福さねよしいさ子登場レポ


7/26   サンデーとマガジン

   大野茂『サンデーとマガジン   創刊と死闘の15年』(光文社新書400   光文社2009年4月20日)を読む。やはりメモを残す。既存のメディアが新興メディアの長所をうまく取り入れる例として、週刊少年マガジンがテレビの良いところを取り込んで、図解などでグラフィック化ビジュアル化するあたりが面白かった。ただその反動で、そうできなかったマンガ専門色の強い週刊少年ジャンプに発行部数を抜かれるのは、歴史としてはすごく興味深い。『ウルトラマン』の三分間しか戦えないは、少年マガジンの勝手な設定とは!。P.195   「ラジオから火が着いた鬼太郎」。『墓場の鬼太郎』はアニメ化のテレビよりLPレコードの歌がラジオを通じてヒットしたんだね。
   この書籍は2009年5月5日22時より放送のあった『ザ・ライバル「少年サンデー・少年マガジン物語」』のトランスメディア的な書籍なんだろうね。参考リンクを下記に挙げておこう。

>>すがやみつるblog

>>NHK『ザ・ライバル「少年サンデー・少年マガジン物語」』:すがやみつるblog(※上記ブログ記事)


7/27   燃えよドラゴン

   三週間前、二週間前のジャッキー・チェン特集が前座みたいな感じで、今週はNHKBS2でブルース・リー特集。初日は『燃えよドラゴン』。一度見たはずなんだけど記憶に残っていなかったんで、ほぼ初めてだね。結局、トーナメントが開催されないのが素晴らしい。あと、オハラが前半であっさり倒されるところとかも。

>>BSシネマオンライン


7/28   ドラゴン危機一発

   そしてブルース・リー特集二日目。『ドラゴン危機一発』。というか合わないのか、前日より、下らなく感じてしまう。まぁ、こっちの方がバラエティ豊かだけど。しかし、何故か二作とも組織のボスが強い! ここらへんなんか現代日本と感性が違う。…で、結局、警察のご厄介になるんだ?!

>>BSシネマオンライン


7/29   死亡遊戯

   ブルース・リー特集三日目。『死亡遊戯』のあからさまなはめ込み合成おもろすぎ。後から知ったんだけど、はめこみじゃなくて鏡にブルース・リーの写真を貼り付けて撮影している、が正解。

>>BSシネマオンライン


7/30   アニメ『ドラえもん』

   おぼろ旅館を道具で幽霊に手伝わせる話。オチの所はホームページで紹介されたとかで、時代の流れをテーマにしている分、二重に時代を感じさせる出来。

>>テレビ朝日|ドラえもん




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