三国志ファンのためのサポート掲示板 ※共同掲示板。話題は三国志関係。横レス歓迎。初心者モードの質問からマニアックな雑談まで
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【1021】軍師って? E=mc^2 2004/6/7(月) 18:19 初心者質問
┗ 【1024】Re:軍師って? むじん 2004/6/8(火) 2:56
┣ 【1026】軍師と占い たいがあ 2004/6/8(火) 11:36
┗ 【1027】Re:軍師って? E=mc^2 2004/6/8(火) 12:53
┣ 【1030】Re:軍師って? 白崎ゆきと 2004/6/9(水) 0:21
┃┗ 【1032】Re:軍師って? E=mc^2 2004/6/9(水) 13:46 感謝♪
┗ 【1031】Re:軍師って? MM2 2004/6/9(水) 0:32

【1021】軍師って?
初心者質問  E=mc^2  - 2004/6/7(月) 18:19 -

引用なし
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   三国志の漫画、小説等を見ていると「軍師」という肩書きの人が出てきますが、実際のところ、そういう肩書きないしそれに対応するポジションというものはあったのでしょうか? 
なんというか、通信機器や映像技術が発達していない当時において、武官でなく、戦闘に参加をしたことのない者が軍の作戦等についてそもそも立案できるのか。仮に例外的に能力があったとして、軍部が武官でない者の指示に従うのか(歴史的にみていわゆるシビリアンコントロールが定着するのは、かなり最近のことのような気がしますし)。
その辺がひじょーに疑問に思っています。
もちろんある程度の個人差はあると思うのですが、漫画なんかで軍師とされる人々は、史実の上では基本的には「謀臣」のように捉えた方が正確なのでしょうか。
それとも、漫画なりでかかれている(「役割」でなく)「絵」の方が、有る意味間違いであって、本来は軍師は軍属の武官で作戦将校(当然現場にも出る)みたいなイメージが正確なのでしょうか。

どなたか教えていただけないでしょうか。

【1024】Re:軍師って?
 むじん E-MAILWEB  - 2004/6/8(火) 2:56 -

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   こんにちは。

軍師についてですが、そもそも歴史的に実在しません。日本でいう忍者と同じく創作上の存在で、主君の側近くに仕えて策略を献じるというイメージは、おそらく近世日本の講談物語のなかで完成したものではないでしょうか。

「軍師」という字句は歴史書にも見えていますが、それは上記講談調の軍師とは全く別物で、参謀的助言もしないではないですが、むしろ社会的地位のようなものだと思います。

中国では父、君、師の三人をきわめて強く尊重し、肉親でない君や師に対しては擬似的な父子関係を結びます。師というのは自分に教えを授けてくれる存在を指しますが、君主には仕えるべき相手が一人少ないせいか、それだけ余計に師への尊敬が強固です。聖王が山野に隠棲する賢者を訪ねて礼を尽くすというのが理想化された君臣像で、これは中国の講談で語られるばかりではなく、実在の君主もそのイメージに自己を重ね合わせるように行動していました。たとえば劉備が諸葛亮を三たび訪ねたり、孫策が張紘を訪ねたりしたのがその実例です。師は世俗の権勢や富貴に興味を持たず、目先の欲望に囚われた凡人の想像をはるかに超えた思考をしています。そのため、彼らの助言が君主にとっては政治的に決定的な意味を持つということがしばしばあります。彼らは人格者であり、かつ哲人でもあります。

軍師は、そうした人物が、将軍としての君主から与えられる軍官のようです(君主が皇帝ならば宰相になる)。官といっても特定の職務は割り当てられてはいません。なにせ世俗のシステムから独立しているので、軍事上の助言を行うこともあるし、逆に目に見えるような活動を全くせず、ただ席を埋めているだけということもあります。それでも君主が父親同然に尊敬する人物なので、ほかの軍籍が文句を言うことはできません。

なお兵法書のなかには、吉凶を占うのが軍師であると書くものもあります。

さて作戦立案および決定の方ですが、こちらはどうも従軍諸将(事務方含む)による合議に基づいて主将が決断を下すようです。このころはまだ職掌を分化してないみたいですね。

【1026】軍師と占い
 たいがあ WEB  - 2004/6/8(火) 11:36 -

引用なし
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   >なお兵法書のなかには、吉凶を占うのが軍師であると書くものもあります。
>
そうそう、軍師って占いのエキスパートであったりしますよね。
諸葛孔明しかり、日本の戦国時代の勘助(武田信玄の軍師)もそうだし。
占いに通じ、兵書に通じた人間が軍師として後世あがめられたということなんでしょうか。

【1027】Re:軍師って?
 E=mc^2  - 2004/6/8(火) 12:53 -

引用なし
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   むじん様
たいがあ様

お初にお目にかかります。

むじん様、ご説明ありがとうございます。
よくHPを見ていた方から、ご説明いただき恐縮です。

取り急ぎ、御礼方。

【1030】Re:軍師って?
 白崎ゆきと E-MAIL  - 2004/6/9(水) 0:21 -

引用なし
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   E=mc^2さんが質問に書かれた軍隊像からは、
近代的な西洋式軍隊のイメージをつよく感じたのですがどうでしょうか?

その上で申し上げたいのは、現代における軍事の常識というのは、
三国志ではあまり通用しないということです。
たとえば、三国以降の戦乱の時代では武力がものを言い、
それさえあれば皇帝にもなれたりしますが、
それが全ての権力を保証するかといえばそんなことはありません。
たとえ皇帝となったところで、貴族と呼ばれる連中からは全く相手にされないんですよ。

また、中国には清末に西洋を模倣するまで、
軍事学のエキスパートを養成するという発想がなかったそうです。
まれに兵事を熱心に研究しちゃう人こそ出るものの、
国家をあげて軍事研究を推奨したり、専門教育を施したことがなかったと聞いたことがあります。

というわけで、軍事の専門家でもない士大夫が軍事に参画してしまうのが、
かつての中国という世界なんですよ。
「将軍として出征し、朝廷にあっては宰相」というのが理想の士大夫像の一つです。

あと、軍師とそれに類する官職の変遷については、
石井仁先生の『軍師考』という論文がありますよ。
東北大・日本文化研究所研究報告27集に収録されているのですが、
大学図書館などでなければ置いてないのが難点ですねぇ。


申し訳ありませんが、疲れていますのでここで一旦筆をおかせていただきます。

【1031】Re:軍師って?
 MM2  - 2004/6/9(水) 0:32 -

引用なし
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   三国志の武帝紀建安三年正月に曹操が(自分の府に)初めて“軍師”を置いた。とありますね。
勿論現在一般に謂われている“軍師”とは意味合いが違い、それまでの高級官僚の筆頭属官であった長史より上位に新設された副官・秘書官のようなものだと思われます。
曹操の府では荀攸・鍾ヨウ・毛カイなどが就いていますね。ちなみに蜀・呉にも“軍師”なる官があり、臨時に新設されただけの官職ではなく、それなりに意味合いを持った官職だったのではないでしょうか。

【1032】Re:軍師って?
感謝♪  E=mc^2  - 2004/6/9(水) 13:46 -

引用なし
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   白崎ゆきと様
MM2様

初めまして&ご説明ありがとうございます。

▼白崎ゆきとさん:
>E=mc^2さんが質問に書かれた軍隊像からは、
>近代的な西洋式軍隊のイメージをつよく感じたのですがどうでしょうか?

うえの質問を書いた時には特別意識していなかったのですが、
逆に意識してなかったってことは、白崎さんの言われるように
ある程度近代的・西洋的な軍隊を前提に考えていたような気がします。

>その上で申し上げたいのは、現代における軍事の常識というのは、
>三国志ではあまり通用しないということです。
>たとえば、三国以降の戦乱の時代では武力がものを言い、
>それさえあれば皇帝にもなれたりしますが、
>それが全ての権力を保証するかといえばそんなことはありません。
>たとえ皇帝となったところで、貴族と呼ばれる連中からは全く相手にされないんですよ。
>
>また、中国には清末に西洋を模倣するまで、
>軍事学のエキスパートを養成するという発想がなかったそうです。
>まれに兵事を熱心に研究しちゃう人こそ出るものの、
>国家をあげて軍事研究を推奨したり、専門教育を施したことがなかったと聞いたことがあります。

なるほど。目から鱗です。
ただ、私は実はそこまで厳密に考えるところまで至ってませんでした(汗)。
ものすごく、シンプルというか単純に、「テレビも写真もない状況だと、軍事についても当然というか、なんというか、On the job trainingしかないよなぁ。だと、現場に出ないで軍事的な能力を身につけることはまずできないような気がするなぁ。その割には、蒼天航路なんかだと、軍師は現場に出ないみたいなことがかかれてるなぁ。うーん、実際はどうだったんだろう?」と疑問に思ったのです。


>あと、軍師とそれに類する官職の変遷については、
>石井仁先生の『軍師考』という論文がありますよ。
>東北大・日本文化研究所研究報告27集に収録されているのですが、
>大学図書館などでなければ置いてないのが難点ですねぇ。

貴重な、文献の指摘、わざわざありがとうございます。
大学の図書館に入ることができる身なのですが、史学科どころか、文学部すらない大学なので…
でも、何かの機会があればぜひ目を通してみたいですね。


>申し訳ありませんが、疲れていますのでここで一旦筆をおかせていただきます。
また、宜しくお願いします。


MM2様

>三国志の武帝紀建安三年正月に曹操が(自分の府に)初めて“軍師”を置いた。とありますね。
>勿論現在一般に謂われている“軍師”とは意味合いが違い、それまでの高級官僚の筆頭属官であった長史より上位に新設された副官・秘書官のようなものだと思われます。
>曹操の府では荀攸・鍾ヨウ・毛カイなどが就いていますね。ちなみに蜀・呉にも“軍師”なる官があり、臨時に新設されただけの官職ではなく、それなりに意味合いを持った官職だったのではないでしょうか。

なるほど。
そうすると、個人的には某臣という表現の方が、実際と近い感じがいたします。
それなりに意味合いを持った官職であったとするのであれば、各国でそれぞれどんな人が軍師になっていたかから、逆算する方がそれぞれの国で「軍師」がいったい何をしていたのかが、よく分かるのですかね(^^)。
ご説明、ありがとうございます。

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