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美術鑑賞メモ「大レンブラント展」
030113
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展覧会名:大レンブラント展   光と影の軌跡   いま世界から京都へ
開催場所:京都国立博物館
開催期間:2002年11月3日〜2003年1月13日
鑑賞日:2003年1月13日


   デジタルカメラでも普通のカメラでも、私はフラッシュを使うのが嫌いなようだ。

   別に光るから目障りだ、とかではなく、フラッシュを使った人物の写真というのは、前面が反射で光り、後方に影ができて、何だか、日常でも滅多に見れないような、不自然な絵柄になってしまうからだ。
   そんなことを気にしていたら、強い照明の元で撮られた人物写真しか公にでにくい、今の世の中(日本だけどね)、落ち着いて生活できないんだけどね。

   今回、行った「大レンブラント展」だけど、レンブラントが肖像画で有名な画家らしい。ということは、今とは違う明かりの表現が見れるのだろうと、単純に思っていた。
   率直に言うと、今のように真正面から光を当てたような感じではないにしても、どうやらこの時代における人の顔の表現は決まっているようだ。向かって左上やや手前に光源があって、そこから顔を照らすような感じ。ただ、今と違って、人の顔に影ができることを恐れてない(被写体が東洋人と西洋人の違い、写真と絵画の違いがあるとはいえ)。「首当てをつけたレンブラントの肖像」なんて、顔の右半分がほとんど影に隠れていて、とても奥深い表情になっている。

   それに肖像画の顔の表情も面白い。
   肖像画だけにインパクトのある顔なんてないんだけど、逆にかしこまった顔や笑顔が貼り付いたようなのもない。なんていうか、表情の微妙な機微が面白いのだ。思わず心の中でセリフを勝手に付けたりして遊んだり。中にはこんな微妙な表情で被写体が納得したなあ、と深読みしてしまったりと。

   反対にこれらの面白みのない絵は「仕事しているな」と感心してしまう。なんていうか、「肖像画屋さん」。
   「ヴィレム・ブルフフラーフの妻」とか。光も影も表情も私としては面白くない。そんなことを思っていたら、知らないおばちゃんの「綺麗なレースやな」という感心の声が耳に入る。なるほど、そういう見方ね(笑)

   あと、そういう仕事に対するクールさは、キリストさんを描くときによく現れているなって感じがしていた。宗教画的なのに、肩肘張らず良い感じ。「キリスト」(絵のタイトル)の絵なんて、ただのおじさんやん!   ってツッコミを入れたくなる絵なのだ。親しみがわくキリストさん。
   それと、「描かれた額縁とカーテンのある聖家族」。タイトル通り、キリストさんやマリア様やヨゼフさんが描かれているんだけど、画面の手前に額縁とカーテンが描かれている。そこの解説をみると別にレンブラントのオリジナルな技法じゃなくて、当時のオランダのはやりみたいなんだけど、なんだか、劇場聖家族みたいで、面白い構図。20世紀的。クール。



   さて、この展覧会の絵画の話はこのへんまで。
   次からは少し立ち戻って、展覧会のわきの話。
   上の写真の下に書いてあるとおり、行ったのは最終日。混むだろうと思って、朝一に行こうと思ったら、一本遅れの電車に乗る。
   この京都国立博物館へは一回も行ったことなかったけど、地図を見る限り、わかりやすい場所にあるので、心配なくお出かけする。
   京阪七条駅を降り、歩いていると、300円引きのチケットが売っていたのでそれを購入。
   京都国立博物館につくと、まず目に付いたのが、門の前のチケット売場。まだ会場10分前ぐらいなのに、もう行列ができていた。チケットを買ってよかったなあと思って、博物館の本館に向かう。そしたら、その前にテントがあって、そこで並ばされる。前に10人ぐらいしかいなかったので、すぐ会場に入れる。
   博物館のデザインは「古風な西洋建築」といった様相で、京都市美術館を彷彿とさせる(>>参考)。多分、詳しく見たら、室町文化と安土桃山文化ぐらい違うんだろうけどね。
   入って、道順通り右にすすむと、そこはレンブラントの年表や参考資料が飾られている。私の経験だと、普通、こういのって、一番最後に展示されるので、完全に意表をつかれた形。本編の絵画じゃないけど、誰も通り過ぎようとせず、真面目に見ている。ん、日本人。
   前回と同じように次の部屋はすいているだろうと思ったら、そうでもない。これはもしや、前回、危惧していた「ベルトコンベアに乗せられて」状態?(>>参考

   ベルトコンベアに乗せられて絵を見る。それでも人混みが視界に邪魔なので、背が高くはない私はずっと背伸びしてた。こんなとき、バレエでも習っておけば良かったんだろうと、アホなことを思いつつ。

   まぁ、前回と違って外まではみ出すほどの誠実さ&充実ぶりの販売スペースは良かったけど。

   会場を出て、ふと後を向くと、長蛇の列。三十分待ちとのこと。
   あれ以上、混むのかと想像すると、早く来て正解だと安堵する。




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