三国志ファンのためのサポート掲示板 ※共同掲示板。話題は三国志関係。横レス歓迎。初心者モードの質問からマニアックな雑談まで
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【2207】「黄天」?「黄夫」?? 白樺 亮 2006/2/5(日) 1:15 教えて
┗ 【2209】Re:「黄天」?「黄夫」?? 冠礼 2006/2/5(日) 15:29
┣ 【2211】スローガンは詩? げんりゅう 2006/2/5(日) 20:08 教えて
┃┗ 【2218】Re:スローガンは詩? 呂珪 2006/2/8(水) 1:22 ひと言
┃┗ 【2226】Re:スローガンは詩? げんりゅう 2006/2/14(火) 15:35 感謝♪
┃┗ 【2227】Re:スローガンは詩? 呂珪 2006/2/15(水) 18:46 追記
┗ 【2220】Re:「黄天」?「黄夫」?? わた300 2006/2/11(土) 7:34
┣ 【2232】通俗三国志 清岡美津夫 2006/2/19(日) 12:22
┗ 【2235】有難うございます〜 白樺 亮 2006/2/19(日) 22:27 感謝♪
┗ 【3346】『絵本通俗三国志』 清岡美津夫 2009/1/25(日) 21:55
┗ 【3719】Re:『絵本通俗三国志』 清岡美津夫 2012/6/12(火) 12:24 雑談

【2207】「黄天」?「黄夫」??
教えて  白樺 亮 E-MAIL  - 2006/2/5(日) 1:15 -

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   お初にお目にかかります、白樺 亮と申します。
早速ですが質問に入らせていただきます。

黄巾党のスローガンである
「蒼天已死 黄天當立 歳在甲子 天下大吉」
と言う文ですが、横山光輝三国志や吉川三国志では
「黄天」の部分が「黄夫」になっていますよね?
三国志大戦と言うゲーム繋がりの知り合いから「これ、どっちが正しいの?」と聞かれ、
いろいろ自分で調べてみたものの良く解りません…。
双方ともに出展があるのかどうか、ご存知の方、教えていただけませんか?
どうぞ宜しくお願いいたします。

【2209】Re:「黄天」?「黄夫」??
 冠礼  - 2006/2/5(日) 15:29 -

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   こんにちは。

そのスローガンは史書では後漢書の皇甫嵩伝に見えますが、
そこでは「黄天」と記述されています。
また演義でも第一回の部分で「黄天」と記述されています。
従って「黄天」が正しいのではないかと思います。

「黄夫」に関してはどうも吉川英治氏の小説と
横山光輝氏の漫画しか記述が無いようです。
横山三国志は吉川三国志をベースにした作品なので、
「黄夫」と書いたのは恐らく吉川英治氏だと思います。
敢えて変えたのか間違えたのかは定かではありませんが。

【2211】スローガンは詩?
教えて  げんりゅう WEB  - 2006/2/5(日) 20:08 -

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   >「黄夫」と書いたのは恐らく吉川英治氏だと思います。
>敢えて変えたのか間違えたのかは定かではありませんが。

私も管見の限りでは、吉川氏かなぁと思います。
ただ単に「天」を「夫」と突き出して見てしまったのか、「黄巾の男」として解釈したのかはわかりませんけれども。


そこでこのスローガンについて昨年から引っかかっていたことがあったので、この場を借りて質問したいと思います(苦笑)

黄巾のスローガン「蒼天已死 黄天當立 歳在甲子 天下大吉」は、「蒼天」と「黄天」で韻をふんでなおかつ4文字目で韻をふんでいると感じます。またその字列から先ほどの質問のスローガンが、黄夫ではなく「黄天」だと思うところでもあります。
さて、このスローガンは詩的要素が含まれているものなのでしょうか?
これが韻をふんでいるものであるのか文学的にわかる方、御教授お願いします。
※『搜神記』では「蒼天已死 黄天立 歳名甲子年 天下大吉」のようです。


ちなみにどうやら前漢から民間でも詩が作られていたとWikipediaに書かれています(「漢詩」の項参照。引用する場所としては適切とは言えませんが・・・)。
このような詩的な言葉は日常茶飯事といったところだったのでしょうか?

またそう考えると、私は当初このような文学的なものは知識者が作ったものであろうと思っていたのですが、一民間人が作って派生した可能性もあるのですね。
やはり作者もわからないですね。

【2218】Re:スローガンは詩?
ひと言  呂珪 WEB  - 2006/2/8(水) 1:22 -

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   ご無沙汰しております。この件は恥ずかしながら忘年会の際にげんりゅうさんにお聞きするまで全く気づかず、この場をかりてお答えというのはおこがましいので自分なりに多少考察をしてみたいと思います。

漢詩が韻をふんでいるか調べる際、現代中国語である程度解ります。
今回の「蒼天已死 黄天當立 歳在甲子 天下大吉」について各句の最後の字のピンインを見ると

死 si3
立 li4
子 zi3
吉 ji2

と、韻が各句すべてにおいて踏まれていることがわかります。所謂唐詩においてはこのように全句に韻を踏むことはありえませんが、それらの規定は梁の沈約(しんやく)が『四声譜』で唱えたいわゆる「四声八病説」により確立したもので、漢代以前の詩や楽府を含む古体詩には、文字数、平仄などの規定はありません。しかし規定がないゆえに曹操は宴席で歌われる曲つきの「楽府」を得手としたため韻はあまり気にせず、逆に文帝曹丕の詩はその性格のごとく律儀に全句に韻を踏むものが多い、といった分析も可能です。もしかすると、このスローガンは相克に基づく王朝交代というもっともアピールしたいことをいいつつ、文学的処理で全句押韻をし、多数で叫ぶときの一体感を演出していたのかもしれません。

それから、前漢から詩がつくられていたか、また作者はわかるか、とのことですが、詩の起源は、古くいってしまえば西周代にさかのぼります。当時は民間の詩を収集する官職があったほどです。それ以後、前述のとおり文字数、平仄などの規定がない詩は読み書きの出来る程度の人間であればたしなんでいたようです。しかし賦などの長編と違って簡単に作れる詩の地位は高くなく、作家や作者としての名はありません。またwikiのいう前漢というのはおそらく蘇武の「雁書」の故事を念頭においたのかと想像しますが、こちらは今日では後世の偽作と確定されています。
その後漢代を通じて詠まれた詩を集合したものに『古歌十九首』があり、これらはその作風などからも注目されるものですが、いずれも無名氏であり、官僚や、辺境防御の任に就いていた兵士のものと目されるものもあります。
すなわち、張角をはじめ黄巾一党には知識があり、読み書きの達者な郷士クラスのものもいたことから、彼あるいは彼らによって「蒼天已死 黄天當立 歳在甲子 天下大吉」というコピーが作られることはなんら不思議ではないと考えます。

ちなみに詩によってその作者名が記される第一は曹操であり、それが彼が「中国最古の詩人」とも評されるいわれでもあります。

【2220】Re:「黄天」?「黄夫」??
 わた300  - 2006/2/11(土) 7:34 -

引用なし
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   図書館で昔見かけた記憶なのであやふやですが、
確か『通俗三国志』でも「黄夫」と作っていたような記憶があります。
間違っていたらすいません。

【2226】Re:スローガンは詩?
感謝♪  げんりゅう WEB  - 2006/2/14(火) 15:35 -

引用なし
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   ▼呂珪さん:
>漢詩が韻をふんでいるか調べる際、現代中国語である程度解ります。
>今回の「蒼天已死 黄天當立 歳在甲子 天下大吉」について各句の最後の字のピンインを見ると
>
>死 si3
>立 li4
>子 zi3
>吉 ji2
>
>と、韻が各句すべてにおいて踏まれていることがわかります。所謂唐詩においてはこのように全句に韻を踏むことはありえませんが、それらの規定は梁の沈約(しんやく)が『四声譜』で唱えたいわゆる「四声八病説」により確立したもので、漢代以前の詩や楽府を含む古体詩には、文字数、平仄などの規定はありません。しかし規定がないゆえに曹操は宴席で歌われる曲つきの「楽府」を得手としたため韻はあまり気にせず、逆に文帝曹丕の詩はその性格のごとく律儀に全句に韻を踏むものが多い、といった分析も可能です。もしかすると、このスローガンは相克に基づく王朝交代というもっともアピールしたいことをいいつつ、文学的処理で全句押韻をし、多数で叫ぶときの一体感を演出していたのかもしれません。


なるほど、現代中国語である程度解るわけですね!自分も中国語を習っていたので、これは踏んでるんだろうなぁ〜?と漠然と思っていました。ただ何故全てで踏んでいるのかわからなかったのですが、呂珪さんのご指摘で理解することができました!
古代の人の感覚は解りませんが、現代の感覚でいけばリズムが良いので「多数で叫ぶときの一体感」というのはなるほどな〜と感じます。高校の古文の先生が、「ラップみたいな感じです」とか言ってたのを思い出しました(笑)


>すなわち、張角をはじめ黄巾一党には知識があり、読み書きの達者な郷士クラスのものもいたことから、彼あるいは彼らによって「蒼天已死 黄天當立 歳在甲子 天下大吉」というコピーが作られることはなんら不思議ではないと考えます。

色々な地位の人が組していたわけですから、知識がある方々は多くいたでしょうね〜。徒党を組むにはそれなりに有知識者も必要ですからね(笑)

【2227】Re:スローガンは詩?
追記  呂珪 WEB  - 2006/2/15(水) 18:46 -

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   過分なお言葉を頂き恐縮しております。この分野には脱落しかけていますが(苦笑)少しでもお役に立てたなら嬉しいです。というか、名前がいろいろあってスミマセン( ̄▽ ̄;)

ところで、あれからも自分なりに少し詰めて調べたところあのコピーは『三国志』を通じて記載がないんですね。当時は「黄天泰平」が自称だったようです(呉書一孫堅伝)「蒼天〜」が史書に現れるのは『後漢書』が初(巻七十一皇甫嵩伝)で、ちなみに「黄天」は張角の称とあります(巻八孝霊帝紀)しかし『後漢書』成立は六朝宋の末であり、ジャンルを問わなければ今のところげんりゅうさんも引かれた志怪小説集『捜神記』(東晋)が初出といえそうです。
しかし、比較的近い時代に諺として言われていたと見え、大規模農民反乱に当時の人びとが感じたインパクトが量れます。

>色々な地位の人が組していたわけですから、知識がある方々は多くいたでしょうね〜。徒党を組むにはそれなりに有知識者も必要ですからね(笑)

張角の出身は郷士層であり、中央の宦官らともつながりがあったと言われますが、大多数を占めた下っ端はそんなこと知るよしもないですね(^^;

【2232】通俗三国志
 清岡美津夫 E-MAILWEB  - 2006/2/19(日) 12:22 -

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   ▼わた300さん:
>図書館で昔見かけた記憶なのであやふやですが、
>確か『通俗三国志』でも「黄夫」と作っていたような記憶があります。
>間違っていたらすいません。

こんにちわ。
 私もその話を小耳に挟んだんで、とりあえずさっき寄った書店でガウス・ジャパンの「完本三国志」と第三文明社の「絵本通俗三国志」で確認しましたが、二つとも「黄天」でした。

・「完本三国志」と「絵本通俗三国志」については以下の参照
http://cte.main.jp/newsch/article.php/239

 でも「通俗三国志」に関しては江戸時代で版がいっぱいあるらしいんで、これが決定的ではないんですが(汗) あと二冊とも現代の活字で書かれているんで校正した後とも考えられます(とそこらへんちゃんと読んでいないんですが)

【2235】有難うございます〜
感謝♪  白樺 亮 E-MAIL  - 2006/2/19(日) 22:27 -

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   色々ありがとうございます。
どうも「黄天」の方が正しいよう…ですねぇ。
後どこかのサイトで見たのですが(ブックマークし忘れたのでうろ覚えですが)通俗三国志に「黄夫」の記述があるのは写本した際に書き間違えたのではないか…というのがありました。
自分自身「通俗三国志」を目にした事が無いのでなんとも言えないのですが(汗)

また何かありましたら宜しくお願いします。

【3346】『絵本通俗三国志』
 清岡美津夫 E-MAILWEB  - 2009/1/25(日) 21:55 -

引用なし
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   ▼白樺 亮さん:
>色々ありがとうございます。
>どうも「黄天」の方が正しいよう…ですねぇ。
>後どこかのサイトで見たのですが(ブックマークし忘れたのでうろ覚えですが)通俗三国志に「黄夫」の記述があるのは写本した際に書き間違えたのではないか…というのがありました。
>自分自身「通俗三国志」を目にした事が無いのでなんとも言えないのですが(汗)
>
>また何かありましたら宜しくお願いします。

こんばんわ、清岡です。
古いツリーなので、ツリー主さんの目に付くかどうかわからないのですが、ひょんなところで「黄夫」を見かけたのでご報告します。


・古典籍総合データベース
http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/

※関連リンク 古典籍総合データベース(早稲田大学図書館)


上記、早稲田大学図書館の古典籍総合データベースにある『絵本通俗三国志』(出版書写事項:天保7-12序[1836-1841] 群玉堂, 心斎橋博労町(大阪))を見てみると、「蒼天已死黄夫當立歳在甲子天下大吉といいはやらせ」となっており、「黄夫」のところにはばっちりと「こうふ」とルビが振られていました。
「黄夫」表記は少なくともここまで遡れるということですね。

【3719】Re:『絵本通俗三国志』
雑談  清岡美津夫 E-MAILWEB  - 2012/6/12(火) 12:24 -

引用なし
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   こんにちわ。
大したことがないのでsageで。

・黄巾族の蒼天已死〜の文で次の節の黄夫当立をずっと「こうふまさにたつべし」だと... - Yahoo!知恵袋
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1488906564

上記のリンク先のように、このツリーがYahoo!知恵袋(つまり以前流行ったQA掲示板です)で答える際の参考にされたんですが、

「「黄天」を「黄夫」と作っているのは、吉川英治『三国志』と横山光輝『三国志』のみのようです。」

としていてどうせ参考にするんだったら、ちゃんと最後まで読んで『絵本通俗三国志』が「黄夫」のルーツだと示唆すれば良いのに、って思いました。


経験上、適当なキーワードで検索してそこに現れた情報を最後までよく読まずにQA掲示板に投稿するってパターンをよく見掛けますが、今回のはその証左なんじゃないかと思い、学術的に貴重な研究材なのかもしれません。


▼清岡美津夫さん:
>▼白樺 亮さん:
>>色々ありがとうございます。
>>どうも「黄天」の方が正しいよう…ですねぇ。
>>後どこかのサイトで見たのですが(ブックマークし忘れたのでうろ覚えですが)通俗三国志に「黄夫」の記述があるのは写本した際に書き間違えたのではないか…というのがありました。
>>自分自身「通俗三国志」を目にした事が無いのでなんとも言えないのですが(汗)
>>
>>また何かありましたら宜しくお願いします。
>
>こんばんわ、清岡です。
>古いツリーなので、ツリー主さんの目に付くかどうかわからないのですが、ひょんなところで「黄夫」を見かけたのでご報告します。
>
>
>・古典籍総合データベース
>http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/
>
>※関連リンク 古典籍総合データベース(早稲田大学図書館)
>
>
>上記、早稲田大学図書館の古典籍総合データベースにある『絵本通俗三国志』(出版書写事項:天保7-12序[1836-1841] 群玉堂, 心斎橋博労町(大阪))を見てみると、「蒼天已死黄夫當立歳在甲子天下大吉といいはやらせ」となっており、「黄夫」のところにはばっちりと「こうふ」とルビが振られていました。
>「黄夫」表記は少なくともここまで遡れるということですね。
<sage>

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