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はじめまして、清岡と申します。
どういった目的で、どの程度、お求めになられているか、理解に自信がありませんので、以下、手探り気味の文になっており、的はずれになっている、もしくは内容が不足しているかと思います。すみません。
まず回りくどいですが、念のため、書きますね。
「陣営」という語句はありますが、史書上では「陣」と「営」とそれぞれ単体では意味が違ってくると思います。
『CD-ROM版 字通』によると「陣」は『説文』で「列なり」、『玉篇』で「師旅なり」となっており、戦うときに兵卒が形作る隊列の意味合いが強く、それに対し、『CD-ROM版 字通』によると、「営」(營)は『説文解字』で「市居なり」となっており、兵卒が駐屯する場の意味合いが強くなっていると思います。
(余談ですが、その意味では『三国志』魏書呂布伝の注に引く『英雄記』にある高順の異名「陷陳營」は陣(陳)と營との両方を陷する意味なのかな、と思いました)
おそらくご質問は後者の「営」、つまり軍営についてかと思います。以下、そのつもりで書いていきますね。
多くの漫画では何を参考にしているか、知らないのですが、ツリー[#T1443]や赤兎馬Presents「三国志の宴3」第1部レポから推測すると、後世のものが混じっている中国の連環画を参考にしているのかな、と思いました。…と書きつつ、肝心の連環画には目を通してないのですが。すみません。
私が軍営の画像的資料として思い付くのは、林 巳奈夫/編『漢代の文物』の押圖82ページにある「5-22 幕を張った宿營 魏晋 墓室壁畫 嘉峪関」のスケッチとそれに対応する本文です。表題通り、この壁画のスケッチは、魏晋期のもので、軍営の様子が描かれており、幕(テント)が並ぶ様や、軍旗、戟、盾が並ぶ様が描かれています。ただ、お求めになられている門や柵は描かれていないですね。
画像じゃない資料で真っ先に思い付くのは『通典』です。唐代に編纂されたもので時代は下りますが、それでも三国時代あたりのことが引かれたりします。例えば、『通典』卷第一百四十九 兵二 法制には、後漢魏武軍令(つまり曹操の軍令)が載っており、そこには營中での法令とそれを破った場合の罰が書かれています。
http://www.cdlvi.cn/dzts/content/2008-08/05/content_30034036_2.htm
あとは『三国志』およびその注で「營」をキーワードに読んでいってイメージを固める手があります。例えば、『三国志』魏書袁紹伝の注に引く『英雄記』にある界橋の戦いの記載では、戦闘の様子が詳細に書かれており、營がどういった役割なのかも推察しやすくなっています。營の牙門も記載されていますし。
あと余談ですが、厳密には営中のことではないですが、『中国社会風俗史』[#3474]には、鎧を着ている場合、拝せず粛すことが載っていますね。
http://cte.main.jp/newsch/article.php/736
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