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▼みちゅさん:
>初めまして。
>大学の演劇部で脚本担当をしている者です。
>映画レッドクリフのパロディを制作するのですが、三国時代の虎狩のシーンについて、調べても詳しいやり方がわからなかったので、こちらにお邪魔させていただきました。
>
>フビライの時代は、猟犬を二匹使って虎を追い詰めてから射手が仕留めたらしいですが、三国時代は一体どのようにしていたのでしょうか?
>単純に馬に乗って追いかけて射るだけ?
>笛や太鼓など、何か道具を使ったのでしょうか?
>何かの餌を使っておびき寄せたり、罠を張ったりしたのでしょうか?
>
>あと、虎を仕留めるのは一番エライ人に譲らなくてはいけない、とかそういう仕来たりや、装束などに決まりはあったのでしょうか?
>
>まとまらない質問ですみません。
>三国時代の虎狩のやり方に関して出来るだけ多くの情報が欲しいです。
>おススメの史料や映画などあったら教えてください。
>よろしくお願いします。
>
>
こんにちわ、清岡と申します。
『三国志』をざっと見て、虎を狩猟した箇所を探してみると下記三例がありました。
・『三國志』卷九 魏書九 諸夏侯曹傳第九 (曹真傳)
常獵、為虎所逐、顧射虎、應聲而倒。
・『三國志』卷四十七 呉書二 呉主傳第二
(建安)二十三年十月、(孫)權將如呉、親乘馬射虎於〓亭。馬為虎所傷、權投以雙戟、虎卻廢、常從張世撃以戈、獲之。
・三國志卷五十二 呉書七 張顧諸葛歩傳第七 (張昭傳)
(孫)權毎田獵、常乘馬射虎、虎常突前攀持馬鞍。(張)昭變色而前曰:「將軍何有當爾?夫為人君者、謂能駕御英雄、驅使群賢、豈謂馳逐於原野、校勇於猛獸者乎?如有一旦之患、奈天下笑何?」權謝昭曰:「年少慮事不遠、以此慚君。」然猶不能已、乃作射虎車、為方目、間不置蓋、一人為御、自於中射之。時有逸群之獸、輒復犯車、而權毎手撃以為樂。
※訳が必要な場合は図書館利用等で、『世界古典文学全集 24 三国志』(筑摩書房)や『正史三国志』(筑摩書房)などの訳本で該当個所を見て下さいね。
このように『三国志』からはお求めになるような具体性を見出すことはできないようですね(汗)
後者二例は孫権が虎を狩ることが記述された箇所なので、『レッドクリフ』の該当シーンに対する発想の元になっているかと思われます。
三例とも狩猟の当事者(曹真、孫権)が虎を射止めようとしています。後者二例は通常、孫権が馬に乗っていることがわかります。
中の例では、「射」を連想させる武器以外に、孫権の双戟、張世の戈があり、なおかつ、最終的には張世が捕獲していますね。
虎に限らず、こういった狩猟は古代より儀礼の一つで、軍事訓練の一環になりえるそうです。
そのため、時代が遡るんですが、そういった儀礼に関する文献が参考になるかと思います。
まず思い付くのが、『周禮』(周礼)夏官 大司馬條なのですが、図書館で借りられそうな手頃な訳本が見あたらないですね(汗)
私がそれを知ったのが、『中國古代禮制研究』(京都大学人文科学研究所、1995年)という書籍に収録されている小南一郎「射の儀禮化をめぐって」という論文でして、そこに『周禮』夏官 大司馬條の訳が載っていました。
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