三国志ファンのためのサポート掲示板 ※共同掲示板。話題は三国志関係。横レス歓迎。初心者モードの質問からマニアックな雑談まで
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【3031】貂蝉冠と恵文冠 伊藤玲子 2008/2/2(土) 7:44
┣ 【3035】Re:貂蝉冠と恵文冠 清岡美津夫 2008/2/2(土) 11:32 多分…
┃┗ 【3037】Re:貂蝉冠と恵文冠 伊藤玲子 2008/2/2(土) 13:37
┗ 【3036】Re:貂蝉冠と恵文冠 GEO 2008/2/2(土) 13:29
┣ 【3038】Re:貂蝉冠と恵文冠 伊藤玲子 2008/2/2(土) 13:40
┗ 【3039】Re:貂蝉冠と恵文冠 清岡美津夫 2008/2/2(土) 14:25 ひと言
┗ 【3041】Re:貂蝉冠と恵文冠 伊藤玲子 2008/2/2(土) 16:41

【3031】貂蝉冠と恵文冠
 伊藤玲子 E-MAIL  - 2008/2/2(土) 7:44 -

引用なし
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   貂蝉の名の由来になった貂蝉の冠についてお教えください。
恵文冠とは、同じものですか?
その関係は?
色々お教えください。

【3035】Re:貂蝉冠と恵文冠
多分…  清岡美津夫 E-MAILWEB  - 2008/2/2(土) 11:32 -

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   ▼伊藤玲子さん:
>貂蝉の名の由来になった貂蝉の冠についてお教えください。
>恵文冠とは、同じものですか?
>その関係は?
>色々お教えください。

こんにちわ。

まず「惠文冠」と「貂蝉」とを関連づける文献は下記のようになります。

・『初學記』職官部

侍中冠武弁大冠、亦曰惠文冠。加金[王當]、附蝉為文、貂尾為飾、謂之貂蝉。

<清岡による訳>
侍中は武弁大冠、別名、惠文冠を冠する。金の[王當](みみだま)を加え、蝉をつけて文様とし、貂尾を飾りとし、これを貂蝉と呼ぶ。


今、見てみると実際、『続漢書』天文志には「貂蝉」が冠のように出てきますね。

・『続漢書』天文志

逵等自知事不從、各奔走、或自刺、解貂蝉投草中逃亡、皆得免。

<清岡による訳>
(中常侍の)張逵らはことを知ったため従わず、各々、奔走し、あるいは自ら刺した。貂蝉を解き、草中に投げ逃亡し、皆、免れた。


それで「惠文冠」=「貂蝉」かどうかはさらに文献を当たってみます。
『続漢書』輿服志では下記のようになっています。

・『続漢書』輿服志

武冠、一曰武弁大冠、諸武官冠之。侍中・中常侍加黄金[王當]、附蝉為文、貂尾為飾、謂之「趙惠文冠」。

<清岡による訳>
武冠は一に武弁大冠と言われ、諸々の武官がこれを冠する。侍中と中常侍は(これに)黄金の[王當](みみだま)を加え、蝉をつけて文様とし、貂尾を飾りとし、これは「趙惠文冠」といわれる。


さらに対象となる時代は少し下るんですが、『晋書』輿服志は下記のようになってます。

・『晋書』輿服志

武冠、一名武弁、一名大冠、一名繁冠、一名建冠、一名籠冠、即古之惠文冠。或曰趙惠文王所造、因以為名。亦云、惠者[虫惠]也、其冠文輕細如蝉翼、故名惠文。
(略)
侍中・常侍則加金[王當]、附蝉為飾、插以貂毛、黄金為竿、侍中插左、常侍插右。

<清岡による訳>
武冠は一名を武弁、一名を大冠、一名を繁冠、一名を建冠、一名を籠冠といい、古の惠文冠に近い。あるいは趙惠文王によって作られたと言い、そのためその名となる。一方、惠というものは[虫惠](せみ、つくつくぼうし)であり、その冠の文(文様、かざり)は蝉の翼のように軽く細く、そのため惠文となづけられた
(略)
侍中・常侍はすなわち金の[王當](みみだま)を加え、蝉をつけて飾りとし、貂毛を挿し、黄金を竿とし、侍中は左に挿し、常侍は右に挿す。


これらを見ると、いろいろ解釈はありそうですが、私は「惠文冠」に蝉と貂尾を加えたものが「貂蝉」と呼ばれていたのかなと思います。


※参照 メモ:武冠のあみあみ

【3036】Re:貂蝉冠と恵文冠
 GEO  - 2008/2/2(土) 13:29 -

引用なし
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   ▼伊藤玲子さん:
>貂蝉の名の由来になった貂蝉の冠についてお教えください。
>恵文冠とは、同じものですか?
>その関係は?
>色々お教えください。

 一昨年「三国志学会」でも話題に挙がったカイチ冠の話ですね。すでに竹内先生が論文にして『三国志研究』第一号に載っていますので、読んでみるとよろしいかとおもいます。

 恵文冠をはじめとした法冠については、歴代の二十四史の輿服志のほか、ほかにも明代の『五雑組』などにも「こんな冠があります(ありました)よー」といった感じで紹介されています。

 恵文冠は、春秋戦国時代の恵文王(楚の国の王様だったかと記憶しています)がかぶっていたことから、その名が付いたといわれているようです。別名、カイチ冠ともいって、こちらはカイチという法律を司る神聖な動物がその名前の由来となっています。
 このカイチですが、他にもカイタイやタイなどといった別称があり、その姿については、一角の羊(『説文解字』)、一角の熊(『論衡』)、一角の麒麟(『隋書』礼儀志←もとは『独断』の説だったかと記憶しています)などがあり、はっきりしていません。
 また、かわいそうなことに、この動物は同じおめでたい動物である麒麟とは違って、後世になると、その存在そのものが忘れ去られてしまった節があります。『五雑組』の著者などは、「こんな動物は存在しない」といっています(ちなみに、麒麟は永楽帝のときに、一般公開されたのを見に行ったそうです。いったい何を見たのか気になるところです)。さらに、法律の「法」字には、本来はこのタイが入っていたのですが、今現在の「法」字には、(カイチが忘れ去られると共に?)これが省略されてしまいます。

 貂蝉冠も司法に関わる役人がかぶっている冠です。『三国志平話』にて、呂布のラブロマンスのお相手の名前が貂蝉であったこと、呂布がカイチ冠をかぶっていたことは一種の言葉遊びのようなものであったのではないかと、竹内先生は仰られていたかと思います。

 最後に、カイチや、カイタイ、タイといった漢字が表示されないようなので、これらの漢字については、下のサイトを見てください。

http://myrmecoleon.sytes.net/iib/view/KCI001.html
http://blog.so-net.ne.jp/zhenwu/2007-03-05

【3037】Re:貂蝉冠と恵文冠
 伊藤玲子 E-MAIL  - 2008/2/2(土) 13:37 -

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   清岡美津夫 さま

本当にありがとうございます。
引用文献のはっきりしている説明は、心からすっきりします。
 なお、サポート掲示版と三国志ニュースの所、混乱してすみませんでした。
気付きましたので、お詫びします。
知らなかったことと、若輩の初心者の素人であることに免じて、許していただければ幸いです。

▼清岡美津夫さん:
>▼伊藤玲子さん:
>>貂蝉の名の由来になった貂蝉の冠についてお教えください。
>>恵文冠とは、同じものですか?
>>その関係は?
>>色々お教えください。
>
>こんにちわ。
>
>まず「惠文冠」と「貂蝉」とを関連づける文献は下記のようになります。
>
>・『初學記』職官部
>
>侍中冠武弁大冠、亦曰惠文冠。加金[王當]、附蝉為文、貂尾為飾、謂之貂蝉。
>
><清岡による訳>
>侍中は武弁大冠、別名、惠文冠を冠する。金の[王當](みみだま)を加え、蝉をつけて文様とし、貂尾を飾りとし、これを貂蝉と呼ぶ。
>
>
>今、見てみると実際、『続漢書』天文志には「貂蝉」が冠のように出てきますね。
>
>・『続漢書』天文志
>
>逵等自知事不從、各奔走、或自刺、解貂蝉投草中逃亡、皆得免。
>
><清岡による訳>
>(中常侍の)張逵らはことを知ったため従わず、各々、奔走し、あるいは自ら刺した。貂蝉を解き、草中に投げ逃亡し、皆、免れた。
>
>
>それで「惠文冠」=「貂蝉」かどうかはさらに文献を当たってみます。
>『続漢書』輿服志では下記のようになっています。
>
>・『続漢書』輿服志
>
>武冠、一曰武弁大冠、諸武官冠之。侍中・中常侍加黄金[王當]、附蝉為文、貂尾為飾、謂之「趙惠文冠」。
>
><清岡による訳>
>武冠は一に武弁大冠と言われ、諸々の武官がこれを冠する。侍中と中常侍は(これに)黄金の[王當](みみだま)を加え、蝉をつけて文様とし、貂尾を飾りとし、これは「趙惠文冠」といわれる。
>
>
>さらに対象となる時代は少し下るんですが、『晋書』輿服志は下記のようになってます。
>
>・『晋書』輿服志
>
>武冠、一名武弁、一名大冠、一名繁冠、一名建冠、一名籠冠、即古之惠文冠。或曰趙惠文王所造、因以為名。亦云、惠者[虫惠]也、其冠文輕細如蝉翼、故名惠文。
>(略)
>侍中・常侍則加金[王當]、附蝉為飾、插以貂毛、黄金為竿、侍中插左、常侍插右。
>
><清岡による訳>
>武冠は一名を武弁、一名を大冠、一名を繁冠、一名を建冠、一名を籠冠といい、古の惠文冠に近い。あるいは趙惠文王によって作られたと言い、そのためその名となる。一方、惠というものは[虫惠](せみ、つくつくぼうし)であり、その冠の文(文様、かざり)は蝉の翼のように軽く細く、そのため惠文となづけられた
>(略)
>侍中・常侍はすなわち金の[王當](みみだま)を加え、蝉をつけて飾りとし、貂毛を挿し、黄金を竿とし、侍中は左に挿し、常侍は右に挿す。
>
>
>これらを見ると、いろいろ解釈はありそうですが、私は「惠文冠」に蝉と貂尾を加えたものが「貂蝉」と呼ばれていたのかなと思います。
>
>
>※参照 メモ:武冠のあみあみ

【3038】Re:貂蝉冠と恵文冠
 伊藤玲子 E-MAIL  - 2008/2/2(土) 13:40 -

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   GEO さま

ありがとうございます。
『三国志研究』第一号、できましたら、見つけて読んでみたいと思います。

【3039】Re:貂蝉冠と恵文冠
ひと言  清岡美津夫 E-MAILWEB  - 2008/2/2(土) 14:25 -

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   こんにちわ。
補足情報として一言書きますね。
『続漢書』輿服志の本文では武冠と法冠があって、惠文冠は武冠のところに記載[#3035]されていて少々、混乱したんですが、法冠のところの注に引く『独断』をみると「柱後惠文」冠とも呼ばれるんですね。
また『漢書』張敞伝に「柱後惠文」が出てきます。


・『続漢書』輿服志

法冠、一曰柱後。〔一〕高五寸、以[糸麗]為展[竹/甬]、鐵柱卷、執法者服之、侍御史・廷尉正監平也。或謂之[けものへんに解]豸冠。[けものへんに解]豸神羊、能別曲直、楚王嘗獲之、故以為冠。

〔一〕獨斷曰:「柱後惠文。」

※「[けものへんに解]豸」はカイチです。

【3041】Re:貂蝉冠と恵文冠
 伊藤玲子 E-MAIL  - 2008/2/2(土) 16:41 -

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   清岡美津夫 さま

ありがとうございます。
今後も追加情報などありましたら、いろいろお教えください。

▼清岡美津夫さん:
>こんにちわ。
>補足情報として一言書きますね。
>『続漢書』輿服志の本文では武冠と法冠があって、惠文冠は武冠のところに記載[#3035]されていて少々、混乱したんですが、法冠のところの注に引く『独断』をみると「柱後惠文」冠とも呼ばれるんですね。
>また『漢書』張敞伝に「柱後惠文」が出てきます。
>
>
>・『続漢書』輿服志
>
>法冠、一曰柱後。〔一〕高五寸、以[糸麗]為展[竹/甬]、鐵柱卷、執法者服之、侍御史・廷尉正監平也。或謂之[けものへんに解]豸冠。[けものへんに解]豸神羊、能別曲直、楚王嘗獲之、故以為冠。
>
>〔一〕獨斷曰:「柱後惠文。」
>
>※「[けものへんに解]豸」はカイチです。

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