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▼USHISUKEさん:
>とてつもなく昔のスレへの返信失礼いたします。
>後漢−三国時代の言語に関して質問をさせてください。
>『ぼっちゃん 魏将・カク昭の戦い』(河原谷創次郎著/学研刊)という小説にて
>
>周語:洛陽付近の発音で、公用語
>晉語:ヘイ州の方言
>秦語:雍州の方言
>蜀語:漢中、四川周辺の方言
>※書籍で散見された言語に関する記述をまとめてみました
>
>という当時の言語に関する記述が出てきました。
>公用語のことを「周語」と呼ばれていた…などの出典を知りたく思っているのですが、ご存じの方いらっしゃいますでしょうか?
こんにちわ、清岡です。
漢代の揚雄の撰といわれる『方言』という書があります。時代が違うこともあってそれで全てを説明できるとは全く思いませんが、ある程度、ヒントになるかな、と思いました。
この書は最古の方言字書であり、単語ごとに、それが各地でなんと言われているか書かれています。
例えば
黨、曉、哲、知也。楚謂之黨、或曰曉、齊宋之間謂之哲。
<清岡による訳>
党、暁、哲は知だ。楚ではこれを黨と謂い、あるいは暁はいい、斉宋の間ではこれを哲と謂う。
となっていて、[地域]謂之[その地域での単語]、という流れが多いのです。
それらの中で「周」も出てきており、例えば「陳楚周南之間曰窕」や「周魏齊宋楚之間謂之定甲」というように、公用語のニュアンスはなく一地域(洛陽付近)として出てきます。
[地域]語、という表現も見られ、前後関係を無視して、下記に三例、引用しますね。
摧、堰A[戸+犬]、楚語也。
[舟(兇/夂)]、宋語也。
逝、秦晉語也。徂、齊語也。適、宋魯語也。往、凡語也。
蜀も例えば「蜀漢謂之嬖。」というように地域として出てきます。『方言』では「漢」とセットで出てきています。
『方言』をざっと見た私の印象では、発音は別として、地域により大きく言語が異なるというより単語レベルで異なってくるといったところでしょうか。と、あまり詳しくない私が言っても説得力はないので(笑)、ここらへんは詳しい方に解説を譲りたいと思います。
それから『方言』では公用語的なニュアンスは、前述の「凡語」や次に挙げる「通語」なんでしょうかね。
好、其通語也。
また次のように地域を限定した表現での「通語」も出てきます。
自關而東汝潁陳楚之間通語也。
ちなみに時間に関連した表記もありますね。やはり前後関係を無視し下記に二例挙げます。
皆古今語也
古謂之深衣。
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