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【1452】諸葛亮の羽扇について。 2004/12/14(火) 0:38 教えて

【1454】羽扇と毛扇 通りすがり。。。 2004/12/14(火) 15:16
┗ 【1455】Re:羽扇と毛扇 清岡美津夫 2004/12/14(火) 18:05 感謝♪
┣ 【1456】ありがとうございました。 2004/12/16(木) 0:38 感謝♪
┗ 【2101】今さらながら 清岡美津夫 2005/12/9(金) 21:45 追記

【1454】羽扇と毛扇
 通りすがり。。。  - 2004/12/14(火) 15:16 -

引用なし
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   清岡さんご指摘のように、諸葛亮が持っていた「白羽扇」の直接的な淵源は「裴子語林」に見える記事です。ただ、この書籍は散逸してしまったので、後代の類書(百科事典)に引用される形でしか残っていません。
これらを確認してみると、「白羽扇」がほとんどですが、中には「毛扇」とするものもあります。以下を参考にしてください。

 諸葛武侯與司馬宣王在渭濱、將戰、宣王戎服莅事、使人視武侯、素輿、葛巾、持白毛扇、指麾三軍、皆隨其進止。宣王聞而歎曰、可謂名士。『太平御覧』巻307麾兵引「語林」

 諸葛武侯與宣王在渭濱、將戰、武侯乘素輿、葛巾、白羽扇、指麾三軍、三軍皆隨其進止。『太平御覧』巻702扇引「語林」

諸葛武侯與宣王在渭濱、將戰、宣王戎服[くさかんむりに。]事、使人視武侯、乗素輿、葛巾、毛扇、指麾三軍、皆隨其進止。宣王聞而歎曰、可謂名士矣。『太平御覧』巻687巾引「蜀書」

  武侯與宣王在渭濱、將戰、宣王戎服莅事、使人視武侯、乗素輿、葛巾、持白羽扇、指麾三軍、皆隨其進止。宣皇聞而歎曰、可謂名士。『太平御覧』巻774輿引「語林」

武侯與宣王在渭濱、將戰、宣王戎服[くさかんむりに。]事、使人視武侯、秉素輿、持白羽扇、指麾三軍、並隨其進止。『北堂書鈔』巻118攻戰引「語林」

諸葛武侯與宣王在渭濱、將戰、武侯乗素車、葛巾、持白羽扇、指麾三軍、衆軍皆隨其進止。『北堂書鈔』巻134扇引「語林」

武侯與宣王在渭濱、將戰、宣王戎服[くさかんむりに。]事、使人視武侯、素輿、葛巾、持白羽扇、指麾三軍、皆隨其進止。宣王聞而嘆曰、可謂名士。『北堂書鈔』巻140輿引「語林」

  諸葛武侯與宣皇在渭濱、將戰、宣皇戎服莅事、使人視武侯、乘素輿、葛巾、毛扇、指麾三軍、皆隨其進止。宣皇聞而歎曰、可謂名士矣。『藝文類聚』巻67巾帽引「語林」

  諸葛武侯持白羽扇、指麾三軍、黄竹具敍事。『初學記』巻25扇引「裴啓語林」

  諸葛武侯與晋宣帝戰於渭濱、乘素輿、著葛巾、捉白羽扇、指揮三軍。『事類賦注』巻14扇引「語林」

これを見ると、唐代の虞世南『北堂書鈔』は「白羽扇」、『初學記』も「白羽扇」で統一されています。しかし同じく唐代の『藝文類聚』は「毛扇」であり、宋の『太平御覽』は「白羽扇」が2つ、「白毛扇」が1つ、「毛扇」が1つとなっています。同じく宋の『事類賦注』では「白羽扇」です。

「三国志考証学」でもこのことから論を展開しているのだと思います。未見なので論旨や結論は分かりませんが。私見を言えば、やはり「白羽扇」が正しく、「毛扇」というのは転写中の誤りで生じたのではないかと考えます(白羽扇とするテキストが多いこと、北堂書鈔では項目も白羽扇となっていること、晋や劉宋代に白羽扇讃、羽扇賦など「羽扇」をタイトルにした詩文があって「毛扇」はないことなどから)。以上ご参考までに。

>清岡さん
自分の手持ちのテキストでは、清岡さん引用の文は見つけられなかったのですが、出典を教えていただければ幸いです。

【1455】Re:羽扇と毛扇
感謝♪  清岡美津夫 E-MAILWEB  - 2004/12/14(火) 18:05 -

引用なし
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   ▼通りすがり。。。さん:
>>清岡さん
>自分の手持ちのテキストでは、清岡さん引用の文は見つけられなかったのですが、出典を教えていただければ幸いです。

どうも詳細なフォローありがとうございます。
引用されている書物によってそんなに差があるなんて恥ずかしながら、知りませんでした。
なるほど毛扇はそこから来ているっぽいですね。

私の先の書き込みは、私のPC内に何気なくおいていた写しからでして、はっきりと覚えてないんですが(汗)、そこの写しとともに

書鈔一百十八又一百三十四又一百四十類聚六十七御覽三百七又七百二又七百七十四

と書いてありました(まるで他人事のように書いててすみません。。。)

なので、通りすがり。。。さんの書き込んでくれたものを参照にすると、元はいろんなところからのをまぜこぜにしたものなんでしょうかね。

【1456】ありがとうございました。
感謝♪    - 2004/12/16(木) 0:38 -

引用なし
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   清岡美津夫さん、通りすがり。。。さん、
懇切丁寧な回答をしていただきありがとうございます。

「三国志考証学」は3年ぐらい前に読んだものだったので
論の詳細は覚えていないのですが
毛扇というのは払子(?)というもので
宋の時代に描かれた孫権が持っているのが払子だった事から、
三国時代の文人の服装は毛扇だった。
だから諸葛亮の持っているのは毛扇である、
というものだったと思います。
そんなの聞いた事が無かったので気になり、
宋の時代に描かれた孫権の絵や、服飾関連の資料を漁っていたのですが、
まったく分からなかった訳です。

お二方の書き込んで下さったものを参照にしますと、
「毛扇」は転写中の誤りで生じた単語と解釈する方が自然ですね。
「三国志考証学」の筆者が「毛扇」=「払子」として結びつけて
(どうしてこうなったのかは分かりませんが)
色々後付けして出来た論だったのかなということで納得がいきました。

変な質問に詳しく答えてくださり、本当にありがとうございました。

【2101】今さらながら
追記  清岡美津夫 E-MAILWEB  - 2005/12/9(金) 21:45 -

引用なし
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   ▼清岡美津夫さん:
>▼通りすがり。。。さん:
>>>清岡さん
>>自分の手持ちのテキストでは、清岡さん引用の文は見つけられなかったのですが、出典を教えていただければ幸いです。
>
>どうも詳細なフォローありがとうございます。
>引用されている書物によってそんなに差があるなんて恥ずかしながら、知りませんでした。
>なるほど毛扇はそこから来ているっぽいですね。
>
>私の先の書き込みは、私のPC内に何気なくおいていた写しからでして、はっきりと覚えてないんですが(汗)、そこの写しとともに
>
>書鈔一百十八又一百三十四又一百四十類聚六十七御覽三百七又七百二又七百七十四
>
>と書いてありました(まるで他人事のように書いててすみません。。。)
>
>なので、通りすがり。。。さんの書き込んでくれたものを参照にすると、元はいろんなところからのをまぜこぜにしたものなんでしょうかね。

と、ちゃんと見たら、ファイルのはじめに「古小説鈎沈」と書いてあったので、魯迅の「古小説鈎沈」収録の裴子語林でしょうね。

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