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美術鑑賞メモ「イリヤ&エミリア・カバコフ展」
040622
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展覧会名:イリヤ&エミリア・カバコフ展 「私たちの場所はどこ?」
開催場所:森美術館
開催期間:2004年5月29日(土)〜7月19日(月・祝)
鑑賞日:2004年6月20日(日)



   イリヤ&エミリア・カバコフさんというと、>>「現代美術への視点   連続と侵犯」>>「墜ちた天使」。    あのコンセプチャルな作品を連想する。人より大きい横たわる天使。少し離れたところにそれを説明する新聞記事。

   何か美術展がないかとネットをさまよっていたら、近くでイリヤ&エミリア・カバコフ展をやっていることに気付く。もう周りが暗くなりはじめたころだったけど、美術館が24時まで開いてるってことでのんびりそこへ向かう。

   最寄り駅を降りてから気付いたんだけど、そこは六本木ヒルズ。目的地は六本木ヒルズ森タワーの52階。あまりそこについて詳しくないし行ったこともないんだけど、道しるべ通りに行って何とかそれらしきところの2階へ到着(それが上の写真。途中で使われていない回転ドアを見掛けた)。
   美術館は52階にあるんでエレベータに乗ろうとしたら警備員による荷物チェックを受ける。警備が厳重。
   加速・減速を感じつつ、エレベータで一気にそこの階まで到達。いざ、カバコフ展の会場へ。

   初めは白い壁の通路。そこには何枚か、モノクロの写真が額縁にいれて飾られている。額縁の中をよく見ると、全部、左半分かモノクロ写真、右半分が英語のメッセージ。よくみると、額縁の外の右下に日本語訳がある。
   チラシをみると、英語のメッセージはロシアの古い詩とのこと。つまり元々、ロシア語で英語に訳しさらに日本語に訳しているんだろうか。そういった額縁が廊下の壁沿いにいくつか飾られている。モノクロ写真は記録映画の一場面か映画のワンシーンかを連想させるようなもの。
   適当に写真をながめ、詩の日本語訳を読んでいた。写真と詩はピタリとあっている感じはせず、微妙な距離感を保っている。連続して見ていると、雰囲気的に何かの作品中でその世界の歴史を語っている雰囲気だ。

   廊下を進むと、その先は部屋。まず目に付くのが、巨大な足。床から延びていて、膝あたりで天井に到達し、その巨人の全身がわからない。巨大な足のつま先の先には壁があり、壁と天井の境目には額縁、それから油絵があるんだけど、やっぱり天井に阻まれ、その全体像がわからない。我々の目の高さにはさっきの廊下と同じようにモノクロ写真と詩が飾られている。それから床と壁の境目近く、その床面には数カ所、ガラス張りになっている。ガラスの中を見下ろすとどこかの地形。ランドスケープが広がっている。なんとも不思議な部屋だ。
   とりあえず、モノクロ写真とそれについてくる詩世界を楽しんでいた。英語と日本語訳両方で。なるほど、「あてもなく」は「without hope」か、とか細かいところへ急に目がいったり、詩が同じだけど、写真は違うところに目がいったり。
   部屋全体を見回すとやっぱりこれは会場自体が一つの作品なんだな、と気付く。巨大な足をみて、それを目で上へ追って、大きな額縁の一部をみて、それからすぐに床のガラス張りをみる。多層な世界が折り重なっているのだ。

   その部屋を出て、同じようなモノクロ写真の額縁のあとに、作者自身の解説が飾っていた。それを読むと、やっぱり、二つの世界の対比みたいなのがテーマなようだ(うろ覚えだけど)。巨人の見ている絵はどうも19世紀の絵だそうで。それと我々のみるモノクロ写真(つまり現代)が対置になっているし、もう一つレベルの違う世界が、床に見えているし。その解説をみるだけでも価値はある!
   その後の部屋もにたような感じ。多層世界をさまようのだった。





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