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美術鑑賞メモ「転生−いつかみる風景」展
030513
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京都芸術センター
展覧会名:アニアス・ワイルダー「転生−いつかみる風景」展
開催場所:京都芸術センター
開催期間:2003年4月13日〜5月5日
鑑賞日:2003年5月5日



   大型連休、最期の日の昼
   最後の日だから、どこか行きたいぞ願望が出てくる。
   かといって、今からじゃ、いけるところが限られている。

   そうだ、美術展へ行こう。

   だけど、美術館って場所によっては5時にしまったりするので、考えよう。
   どこか、遅くまでやっているところ、ないかなと、ネットを検索。
   期待、薄だな…

   ん?   あったあった
   20時まで開いているところ!
   すごい!

   で、美術作品だけど、不思議な立体作品。
   まぁ、この時間帯から出かけて見られるだけでも幸運なんで、作品のことをあまり深く調べずに出かけることにする。
   場所は京都のど真ん中。「京都芸術センター」ってところ。

   そんな場所でセンターなんて名がついているのだから、きっと近代的なビルの中にあるんだろうと想像していた。
   ちょうど、大型連休のはじめに行った「ブリヂストン美術館」(>>参照)のようなところなんだろう。

   で、行ってみたけど、どこか様子が違う。
   ガラス張りのドアがあって……とかじゃなく、初めにでてきたのは「門」!
   こぢんまりした敷地内をまっすぐ歩き、建物の前へ。
   えらく開放的な入り口。
   その前にはパラソルが立っていて、2、3人がくつろいでいる。

   とりあえずチケット買おうと、受付を探すことに。
   ところがそんなものは見あたらず、いきなり、作品のある「ギャラリー北」への道しるべがある。
   しかも、建物はとても美術作品があるような雰囲気じゃない。
   建物の作りがどこかでみたことあるんだけどなぁ、と思いつつ、道しるべ通り、進むことに。

   道しるべ通り進むと、一端、建物の外に出る。
   建物を背に、眼前には不自然な広い空間が。
   それはコンクリートやレンガの地面じゃなくて、単なる土の地面。
   新たな道しるべには「コンクリート部分をお進み下さい」というようなことが書かれている。

   そこで、その土の地面で何かひらめく。

   これってもしかして運動場?
   というか、この敷地内って小学校?

   あわてて、入り口でいくつかとったチラシで確認する。
   そう、ここ「京都芸術センター」は元「明倫小学校」なのだ。
   ビックリ。驚き。
   そんな建物の再生方法があるなんて!

   美術を鑑賞する前にこんなに心を動かされるなんて!

   このままじゃ、作品をまともにみることできないと思い、一呼吸、おく。

   そして(元)運動場沿いに歩き、ギャラリー北へ向かう。
   運動場があるんだから、建物は教室を改造したような部屋がいくつも。
   それに「制作室」とパネルがはってある。
   ほうほう、何だか芸術センターっぽい。

   そして、ギャラリー北。
   こちらも教室を改造したような部屋。
   と、ここで気付いたんだけど、この展覧会って無料なんだね。

   教室を改造した部屋は、窓のない白壁の部屋。
   中央に作品がデンとおいてある。

   天井まで届きそうな大きさのかたまり。
   古びた木材を数十本、組んで、球状にしている。
   ただ、それだけの作品。

   だけど、頭に思い浮かべて欲しい。球状だから、上部に比べ、当然、床に接する部分が狭い。
   それだけ巨大なものが倒れず、そこにあるだけでも感銘を受けてしまう。
   チラシをみると、昭和初期に立てられた建物の廃材を使われているとのこと。
   どうりで、釘が刺さっていたり、何か、墨で文字が書かれてあったりするんだ。

   木材が組まれているといっても、よくみると、中は人、ひとり分、入れそうな空洞になっている。うーん、入りたい。
   木材で組まれた様子を見ていると、子どもの頃のジャングルジムを思い出す。
   なにか童心にかえったようで……

   私は何かを見いだそうと、それからどこか入れそうなところないかな、と、その球状の物体のまわりをぐるぐるとまわって、いろんな角度で見ている。ぐるぐるぐるぐるぐるぐる
   そうすると気付いたことがひとつ。
   チラシの写真では窓のある部屋なんだけど、ここには窓なんてない。
   それに、入り口は普通の入り口で、この作品がそのまま通るスペースはなさそうだ。
   もしかして、これって一度バラバラにして、この部屋で組み直したのかな?
   そういや、チラシの写真と、ぴたりと一致する、角度ってないなあ。

   そういうことも作品の味わいとおもって楽しんで鑑賞していた。


   それで、次に向かう場所はギャラリー南。
   こちらもチラシを見て気付いたんだけど、今回、さきほど、見たのを合わせて、二作品の展示とのこと。
   展示場の建物自体、変わっているけど、作品数も個性的♪

   目的地のギャラリー南は、最初に入った建物にある。
   小学校を改造したところなんで、学校の廊下をあるくのをイメージしてくれるといい。
   一階廊下の終わりの部屋がギャラリー南。

   部屋に入ると、またもや天井に届きそうな物体。
   今度は段ボール箱がほぼ隙間なく上までのっている。形は直方体。
   段ボールは先ほどの作品と同じで、どうやら廃物利用のようだ。いろんな商品のロゴや、配達用のシールやなにやらマジックの書き込みやらがそのまま残っている。
   そういう段ボール箱一個一個も気になるんだけど、やっぱり中。
   また例によって、この中、入れるのかな、ぐるぐる回る。
   ぐるぐ…、ぐらいで思いっきり、人ひとり分ぐらいの空洞を、段ボール箱のかたまりに見かける。
   中は暗いけど、何か光が……

どうぞ、中に入って下さい

   そう背後から声をかけられた。あ、係の人だね。

え、入っていいんですか!?

   美術展で声かけられるなんて初めてっていう動揺もあってか、元気良く返事する。
   そして、段ボールの積み上げられた中へ。

   奥の一面に白い布(というかスクリーン)が張ってあって、そこには星条旗が映し出されてある。なるほど、タイトルに「The Centre of the USA」とあるだけのことはある。ちなみにタイトルには北緯と西経もかいてあった。それがどこなのか未確認。
   中でも珍しいもんで、ぐるぐるまわっていた。ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる
   段ボール箱を見ているだけで、飽きない。どうやら、そのほとんどが伊勢丹(京都駅)で手に入れた段ボールらしい(笑)
   あと、内側は暗く外側は明るいので、段ボール箱に結構、隙間があるのがわかるのだ。
   覗いて楽しむ(←いえ、そういう趣味はありません)


談話室   この展覧会の鑑賞も終わり、この京都芸術センターを探検することにした。
   うーん、それ用に改装したとはいえ、さすが、元、明倫小学校。歴史の重みを感じる。
   二階に談話室ってあったので、しばし、そこで休憩する。
   ………うーん、どうみても教室なんだけど(右の写真参照)……それに小学生にあわせたような机と椅子があるし(笑)
   もう、かなり気に入りました、ここの建物。
   また、こよっと。




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