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以下はあくまで士大夫層の話です。
引退の事は致仕と言います。一応,70歳で致仕するものと言われますが,古代では,このルールは曖昧で,70過ぎても仕えている人や,それ以前に致仕する人もいます。ただ70まで生きるということが,きわめて稀です。70過ぎても仕えている人については,散官となっている場合も多く,古代社会では,特に律としては決まっていなかったのでしょう。ですので,特に罷免される場合を除いては,引退するしないの意思決定は本人にあります。
平均寿命は低かったと思われますが,士大夫の意識としては,先主傳などをみる限り50歳を過ぎれば,もういつ死んでもおかしくない,と思われていたのでしょう。ただ実際の平均寿命はもっと低いものと思われます。
前近代に至ると,しっかりと引退の年齢は決まっています。ただし実際の年齢による計算ではなく,官年という,科挙合格後に提出する報告書の記載に拠るため,年齢をごまかしている人も多いです。
時代が新しくなればなるほど,役所に提出する年を若く偽る傾向があります。
三国時代に近い用例としては,近代とは逆の結果になります。有名な話ですが,『宋書』にある話で,官年を実年齢よりも高く報告することが多かったようです。その史的意義については,研究を要するところでしょう。
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