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こんばんわ清岡です。
▼餡さん:
>餡と申します。
>
>とりあえず、役職に関する質問なので、こちらのツリーを使わせていただきます。
>さっそく質問なのですが、「仮節」「太守・刺史」というのは、どの程度の職権があったのでしょうか。
>例えば、魏延は漢中太守に任命されましたが、「仮節」が与えられていないので、もし軍法違反者がいたとしても処罰できないのでしょうか。
>説明できる方がいましたら、どうかよろしくお願いします。
私も使持節・持節・假節について前々から気になっていたんですが、特に調べていませんでした。
ここの掲示板でもたまに出てくる、林 巳奈夫先生/編『漢代の文物』(1976年、京都大學人文科學研究所)の480ページに節の項目があって、それを見ると大庭脩先生の「1969a、漢代の節について、『東西學術研究紀要』2、23-58」の33-39ページから引用してます(清岡は確認してないです)。
それは節についてで、「皇帝(もしくは王)の意志を帶して趣く使者に授けられるものであり、……節を持する使者は使命遂行のためには殺[戮](実際は「戮」から「戈」を抜いて「歹」へんをつけた漢字)をも含む強行手段をとることもあり、その專斷は許されてゐた」となっています。
それで史書の類に節の説明がないか、軽く検索かけてみると、
通典卷第三十二 職官十四
晉受魏禪、則都督諸軍為上、監諸軍次之、督諸軍為下。使持節為上、持節次之、假節為下。使持節得殺二千石以下。持節殺無官位人、若軍事、得與使持節同。假節、唯軍事得殺犯軍令者。及伐呉之役、以賈充為使持節・假黄鉞・大都督、總統六師。
というのが見えました。晋代と蜀とでは違うかもしれないですが、假節(仮節)は軍事のみで軍令を犯した者を殺し得る、とのことです。
ということで太守ぐらいだと假節を持っていなくても、軍法違反者がいたらそれを殺すことはできませんが、軍令に照らし合わせ罰することはできると思いますよ(…と太守については調べてませんが)
>また、少し上とはずれた話題で申し訳ないのですが、以前別の掲示板で、四将軍の任命時に張飛と馬超には「仮節」が与えられているにもかかわらず、黄忠には「仮節」が与えられたという表記がないことが話題になっていました。
>掲示板内では、「陳寿が書き忘れただけで当然ある」という考えと、「表記されてないのだから、ない」という考えで二分していました。
>もしよければ、これに対する意見もお聞かせ願えればと思います。
>ちなみに、自分はやはり陳寿が書いてないのだからなかったのだろうと思いますし、黄忠への後将軍への任命というのもやりすぎなので、加官してあれこれ言われるのを避けようとしたんじゃないかと思います。
その掲示板のことを知らない上に、あまり『三国志』蜀書に馴染みがないんですが(汗)、今、見ていると、『三国志』蜀書の関羽伝や張飛伝など、別々に假節について記述があるんですね。
それで別の史書を当たってみると、
華陽國志 劉先主志
關羽為前將軍、張飛為右將軍、馬超為左將軍、皆假節鉞。又以黄忠為後將軍、趙雲翊軍將軍。其餘各進官號。
てな感じで、関羽、張飛、馬超は節鉞を仮す記述がまとめて出ていて、黄忠、趙雲にはそういう記述がついていないということで、序列を明確にされていて、黄忠にはないと見るんでしょうね。
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