「捜神記」は、晋書干宝伝によると三国時代の後の晋の時代の干宝(字、令升)が編纂した三十巻の書物で、三国志の裴松之注でたびたび引用される。不思議な話をあつめている。
この「捜神記」は漢文であれば、以下のサイトで見ることができる。
・Project Gutenberg
http://www.promo.net/pg/index.html
ここの「Project Gutenberg」→「Search」→「Chinese」→「Sou Shen Ji」
http://www.gutenberg.org/browse/authors/b#a2398
※要Big5(繁体字)フォント
また出版では捜神記は本文・書き下し文・通釈・語釈の体裁で出版されている。
・先坊幸子・森野繁夫/編「干寶『捜神記』」(白帝社、ISBN4-89174-693-9)
※追記
「捜神記」で検索される訳
それでネットでは訳はないかというと、全訳でないながらも老舗中の老舗にあった。青空文庫だ。読むのに対価のいらないインターネット図書館だ。
・青空文庫
http://www.aozora.gr.jp/
・岡本 綺堂/著「中国怪奇小説集 03 捜神記(六朝)」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000082/card1298.html
ちなみにこれを知ったのが、下記のサイトの記事。
・Die Dunkle Seite
http://motch.cside.com/dds/
・記事「ぶきっちょ元海」
http://motch.cside.com/dds/diary/051113.htm
岡本 綺堂って人は明治から昭和初期の人なんだね。そんな時期に捜神記が訳されているとは驚き。それで実際、岡本 綺堂/著「中国怪奇小説集 03 捜神記(六朝)」と捜神記の原文を比べて読んでみる。まず目に付いたのは順番が上のサイトにある原文とちがうこと、それに岡本 綺堂/著の方は前書きとわかりやすく各話にサブタイトルがついていること。ちょっと読んだ感じだと、案外、忠実に訳される。
それでどんな話が載っているのか原文とどう違うか把握するために、順にサブタイトルごとに「時期や場所」 「登場人物」 「掲載巻数」の順で下にまとめてみる(項目に該当するのが見あたらない場合は「△」にしてる)。
そのまとめを見てみると、三国志関連の時代や有名人(朱桓、麋竺、孫[糸林])が結構、出ている。あと日本にもある羽衣伝説の元ネタかな、と思われるのもある。
・首の飛ぶ女
秦時→呉時 朱桓 搜神記卷十二
・※[けものへん+矍]猿
蜀中西南高山之上 蜀の西南地方の楊姓 搜神記卷十二
・琵琶鬼
呉赤烏三年 楊度 搜神記卷十六
・兎怪
魏黄初中 △ 搜神記卷十七
・宿命
△ 陳仲挙 搜神記卷十九
・亀の眼
古巣&秦 △&△ 搜神記卷二十&搜神記卷十三
・眉間尺
楚 干将莫邪 搜神記卷十一
・宋家の母
魏黄初中 宋士宗 搜神記卷十四
・青牛
秦文公二十七年 △ 搜神記卷十八
・青い女
呉郡無錫 △ 搜神記卷十八
・祭蛇記
東越[門+虫]中 △ 搜神記卷十九
・鹿の足
予章 謝鯤 搜神記卷十八
・羽衣
予章新喩県 △ 搜神記卷十四
・狸老爺(たぬきおやじ)
晉時呉興 △ 搜神記卷十八
・虎の難産
廬陵 蘇易 搜神記卷二十
・寿光侯
漢章帝時 寿光侯 搜神記卷二
・天使
東海[月句] 麋竺 搜神記卷四
・蛇蠱(じゃこ)
ケイ陽郡 廖 搜神記卷十二
・螻蛄
廬陵太守・太原(出身) [广龍]企 搜神記卷二十
・父母の霊
漢成帝時・嵩山 劉根 搜神記卷一
・無鬼論
△ 阮瞻 搜神記卷十六
・盤瓠
高辛氏 △ 搜神記卷十四
・金龍池
晉懷帝永嘉中 韓媼・劉淵 搜神記卷十四
・発塚異事
呉孫休時・廣陵&漢広川王 △&広川王 搜神記卷十五
・徐光の瓜
呉時 徐光・孫[糸林] 搜神記卷一
※追記。2012年04/27 (金) 11:59:33、04/27 (金) 17:03:04に愛知大学から「捜神記 虎の難産」。また例によって不正行為か動物的反応に起因してそう。
※追記
第30回 春の古書大即売会(京都古書研究会2012年5月1日-5日)
※追記
『捜神記』研究(2015年1月)
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僕も搜神記卷十二をモチーフに、三国志小説書いた事ありますよ。
おー、それは気付きませんでした。というか、他にも司馬彪、習鑿齒とかいるところを見るとそういう列伝なのですね、きっと。
(晋書のことはあまり知らないので・汗)
この列伝は面白そうですね。