メールマガジン『書羅盤:チャイナブックナビゲーター』2011年第9号(総234号)(2011年6月13日発行)で最新の知ったこと。
※関連記事
書羅盤より2009年2月発売の書籍
前述のメールマガジンで、汲古書院より2011年4月に渡邉義浩/主編『全訳後漢書 第13冊 列伝3』(ISBN9784762927164)が12600円で発売したことを知る。『全譯 後漢書』自体は「三国志ニュース」ができる前の2001年12月26日から刊行されており、すっかり紹介する機会を逸していたんだけど、この機に紹介する。
(※出版社サイトの情報に引きずられて「2004年1月22日から刊行」としたがフライヤを見ると「01年12月刊」となっており、加えて
コメント覧でご指摘を頂いたので9日に訂正)
・株式会社汲古書院 古典・学術図書出版
http://www.kyuko.asia/
・大東文化大学 中国学科 渡邉義浩研究室
http://www.ic.daito.ac.jp/~y-wata/
※主編者サイト
※リンク追記。新サイトURL
・渡邉義浩ホームページ
http://ywata.gakkaisv.org/
※追記
「三国志」の世界(2011年7月24日)
このメールマガジンとは別に6月中旬あたり(記憶が曖昧だが)に汲古書院よりフライヤが何枚が送られてきており、そのうちの一つがこの書籍についてのもので、そこの冒頭には縦書きで「◎上杉本『後漢書』の、志、李賢注・劉昭注・東漢刊誤を含めた完全譯」とある。
・寒泉
http://210.69.170.100/s25/index.htm
また上記サイトの『四庫全書總目』を見てみると、「史部 卷四五 史部一 正史類一」の「後漢書一百二十卷」の項目で、
『後漢書』本紀十卷、列傳八十卷、宋范蔚宗撰、唐章懷太子賢注。
(中略)
今本八志、凡三十卷、別題梁剡令劉昭注。據陳振孫『書錄解題』、乃朱乾興初判國子監孫奭建議校勘、據陳振孫『書録解題』、乃朱乾興初判國子監孫奭建議校勘、以昭所注司馬彪『續漢書志』與范書合為一編。
と書かれており、つまり今の本は宋范蔚宗(范曄)撰、唐章懷太子賢(李賢)注の『後漢書』本紀十巻と列伝八十巻と、晋司馬彪撰、梁劉昭注『続漢書』八志凡三十巻とを併せたものだという。
『全譯 後漢書』にこの『後漢書』『続漢書』本文とそれらの各注および東漢刊誤のそれぞれの原文、訓読、現代語訳があるそうな。また前述のフライヤによると「國立歴史民族博物館所藏の國寶『後漢書』(上杉本)を底本として」いるそうな。
・国立歴史民俗博物館
http://www.rekihaku.ac.jp/
それで『全譯 後漢書』の刊行状況はどうなっているかというと、やはり前述のフライヤから下記へ引用する。
━引用開始━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○内容目次(ゴシックは既刊)
1本紀(一)光武帝紀第一 ~ 和帝紀第四 01年12月刊
2本紀(二)安帝紀第五 ~ 皇后紀第十 04年1月刊
3律曆志 律曆上 ~ 律曆下 04年3月刊
4禮儀志 禮儀上 ~ 禮儀下 02年10月刊
5祭祀志 祭祀上 ~ 祭祀下 第12回配本
6天文志 天文上 ~ 天文下 第16回配本
7五行志 五行一 ~ 五行六 第15回配本
8郡國志 郡國一 ~ 郡國六 06年2月刊
9百官志 百官一 ~ 百官五 第13回配本
10輿服志 輿服上 ~ 輿服下 第14回配本
11列傳(一)劉玄劉盆子列傳第一 ~ 銚期王霸祭遵列傳第十 04年10月刊
12列傳(二)任李萬邳劉耿列傳第十一 ~ 蘇竟楊厚郎顗襄楷列傳第二十 07年10月刊
13列傳(三)郭杜孔張廉王蘇羊賈陸列傳第二十一 ~ 班彪班固列傳第三十 11年5月刊
14列傳(四)第五鍾離宋寒列傳第三十一 ~ 孝明八王列傳第四十 05年12月刊
15列傳(五)李陳龐陳橋列傳第四十一 ~ 馬融蔡邕列傳第五十 08年12月刊
16列傳(六)左周黃列傳第五十一 ~ 鄭孔荀列傳第六十 06年3月刊
17列傳(七)皇甫嵩朱儁列傳第六十一 ~ 文苑列傳第七十 第17回配本
18列傳(八)獨行列傳第七十一 ~ 烏桓鮮卑列傳第八十 第18回配本
別冊 後漢書研究便覧 索引・研究文獻目録 最終回配本
━引用終了━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
※引用元は縦書き。本巻18冊・別冊1の内、既刊11冊。またフライヤによると「第12回配本 第5巻 11年10月刊予定」とのこと →※追記。結局、第五冊は2012年9月に刊行された。
・書籍検索 - 株式会社汲古書院 古典・学術図書出版
http://www.kyuko.asia/search/s484.html
(※『全譯 後漢書』の書籍検索結果)
さらに上記のページは前述の出版社サイトのページであり、そこから下記のように各巻のISBN、出版年月日(※初版初刷とは違う?)、価格をまとめる。ついでに商品リンクも載せる。
(1) ISBN9784762927041 2004/11/09 10000円+税
(2) ISBN9784762927058 2004/01/22 10000円+税
(3) ISBN9784762927065 2004/03/18 9000円+税
(4) ISBN9784762927072 2005/03/31 9000円+税
※追記 (5) ISBN9784762927089 2012/12/25 9000円+税
※追記 (6) ISBN9784762927096 2015/12/25 9000円+税
※追記 (7) ISBN9784762927102 2012/12/25 10000円+税
(8) ISBN9784762927119 2006/02/28 10000円+税
※追記 (9) ISBN9784762927126 2013/10/24 9000円+税
※追記 (10) ISBN9784762927133 2015/03/31 9000円+税
(11) ISBN9784762927140 2004/10/22 10000円+税
(12) ISBN9784762927157 2007/10/16 12000円+税
(13) ISBN9784762927164 2011/04/27 12000円+税
(14) ISBN9784762927171 2005/12/08 10000円+税
(15) ISBN9784762927188 2008/11/11 13000円+税
(16) ISBN9784762927195 2006/03/27 10000円+税
※追記 (17) ISBN9784762927201 2015/08/18 9000円+税
※追記 (18) ISBN9784762927218 2016/09/08 12000円+税
※追記 (19) ISBN9784762927225 2016/12/05 9000円+税
今回刊行された『全譯 後漢書』第13冊は前述の通り、「列伝二十一郭杜孔張廉王蘇羊賈陸列伝」が含まれており、特に三国志ファンにとっては羊続伝や陸康伝あたりが有り難いのではないのかな。特に後者は「(袁)術大怒、遣其將孫策攻(陸)康、圍城數重。…受敵二年、城陷。」という記述があって、孫呉ファン、特に孫策ファンにとっては重要な記述を含んでいる。
そういった三国志ファンの観点から言うと、「本紀第八孝霊帝紀」や「本紀第九孝献帝紀」が含まれる第2冊、盧植、王允、何進、孔融、荀彧の伝のある第16冊、皇甫嵩、朱儁、董卓、劉虞、公孫瓚、陶謙、袁紹、劉表、劉焉、袁術、呂布の伝のある第17冊も重要なのかな。
※参照記事
中国の「正史」の日本語訳 via 「虎渓之橋」
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渡邉義浩です。
『全譯後漢書』は、2001年12月26日に第一冊を刊行しております。10年経っても終わらないというのは,恥ずかしい話しですが,完成までまだしばらく掛かると思います。
こんにちわ。
ご主編者ご自身からのコメントをありがとうございます。恐縮です。
この記事の本文中で「2004年1月22日から刊行」と書いてありましたが、これはフライヤの情報に気付かず、出版社サイトに載る出版年月日に引きずられた形になってしまいました。たいへん失礼致しました。ご指摘の通り、訂正いたしました。
『全譯 後漢書』は『後漢書』本紀列伝、『続漢書』志の本文、注等について原文・訓読・訳文の三点セットがあるという他に類の見ないご労作ですので、私のような素人が想像できないようなご苦労がおありになるのだろうと、お察しします。個人的には第14回配本の「輿服志」を楽しみにしております。