梁はいくつ?

趣味で三国志小説を書いていると当時の様子が気になる。
「中国古代の生活史」、「中国古代の服飾研究」など、三国志の時代の画像を元に当時の生活風景や衣装を解説している本はいろいろあって、どれも参考になるけど、一つ物足りないことがある。
それはそれらの本で書かれている内容と史書とで用語が往々にして違うため、なかなか対応付けして読めないと言うことだ。
その点、時代は少しずれて漢代になるけど、「漢帝国と辺境社会」は木簡に書かれた原文も豊富に載せられていて、史書との対応付けがしやすい。

そのため、どんなものかだいたいわかっているんだけど、当時、なんて呼ばれていたか、似たようなものだけど微妙に呼び方に違いがあるのか、など、わからないことがしばしば。
未だに「牀」と「榻」の区別、つかないし。
そういった中で気になったのが「中国古代の服飾研究」。当時の官吏の冠として紹介されていたのがその本での呼び名でいうところの「梁冠」。
史書で何て言うんだろう、と思っていたものの、あまりしゃっきり調べられず、頭の中がもやもやしたままで月日を費やした。

そんなときに見かけたのがサイト「青木朋HP++青青」の日記と掲示板。
http://aoki.moo.jp/
ここのサイトはサイトのタイトルと同名のweb三国志系コミックをメインに発表しているところ(このサイト自身は下記リンク参照)
http://cte.main.jp/c-board.cgi?cmd=one&no=777

漫画の資料集めがきっかけなのか、サイト管理人の青木朋さんは服飾など当時の風俗に興味がある方のようで、しばしコンテンツ、日記や掲示板にもその様子が見られる。

そんなサイトの日記や掲示板で紹介されていた「漢~晋の冠について図付き解説ページ」。
どうやら、サイト「松濤堂酒店87號(ショウトウドウシュテンパシチハオ)」の管理人の嘉風松雲さんが青木朋さんに向けてつくったページとのこと。
・松濤堂酒店87號
http://www.h7.dion.ne.jp/~storm_e/index.html
※2005年7月10日現在サイト縮小中とのこと。

横から覗くのはちょいと後ろめたい気持ちもありながら(汗)、まぁ、ネットに公開されているのだから、ちょいとそのページを覗いてみる。

中国古代の冠のことがドカドカっと載せているじゃないですか!

とりあえず後からじっくりサイト全体をみようと思い、嬉々としてブックマークをつけてみる。
件のページで初めに目を引いたのが「進賢冠」のところ。
これって冒頭に書いた「梁冠」。しかも謎の金属のフレームのことが書かれている。
フレームの名は「梁」。なるほど、それで「梁冠」っていうんだ。
そしてこの「梁」は「一梁、二梁」というように梁の数には意味があるらしい。多い方が位が高いそうなのだ。
と感心しつつ、続漢書の輿服志を調べてみると、
「中二千石以下至博士兩梁、自博士以下至小史私學弟子、皆一梁」
と、ばっちり梁の数が書いている!
あぁ、今まで気付かなかっただなんて……しかも過去に高官でもないのに二梁で描いている人物のイラストがある(汗)……
ちなみにここのサイトの掲示板によると「梁冠」とは明代での呼び名とのこと。
※2005年7月10日現在、掲示板へのリンクはない。

なるほどー。やはり、「梁冠」は当時の呼び方ではなかったんだ。

<2006年2月4日一部修正>
http://cte.main.jp/newsch/article.php/145