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清岡的見解:ねこまんまさんについて http://tinyurl.com/nekonomanma3
よくわかるねこまんまさんの問題行動 pdf
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三国志学会 第四回大会ノート1


  • 2009年9月14日(月) 01:46 JST
  • 投稿者:
    清岡美津夫
  • 閲覧数
    3,597
研究 ※前記事 三国志学会 第四回大会ノート(2009年9月5日)

 会場には聴講者が4,50人程度が集まりつつあって、10時になり、司会の石井先生の紹介後、会長の狩野直禎先生が登壇される。

○開会の辞 (10:00~10:10)

 狩野先生から、挨拶に続き、関西での開催、会員数が現在300名程度、さらなる会員数の増加への願いについて触れられる。さらにここ一年の「三国志」に関する動きに触れられる。「大三国志展」や映画『レッドクリフ』など。それを承けて「三国志学会」では一般の人にも門戸を開いていることに言及され、開会の辞を終えられる。

・三国志学会
http://www.daito.ac.jp/sangoku/

※参照記事
 呉宇森(ジョン・ウー)監督『レッドクリフ(RED CLIFF)』報道まとめ
 大三国志展(2008年5月3日-7月13日)関連情報

※追記 リンク:「Google 日本語入力」関連

※追記 メモ:大半の三国創作と二次創作の相似点

※追記 リンク:「三国志」の世界(2009年6月20日)

※追記 三国志大戦3 オフィシャルカードバインダー追加リフィルセット(2008年10月23日)

※追記 教科書本文データ集(全国漢文教育学会)

※追記 私的メモ2:三国漫画分析

※追記 私的メモ1:三国志ワーズネットの展望

 司会の石井先生からプログラムの説明があり、次の報告に移る。10:10。


○報告「アクセス集計に見られる現代日本における三国志由来事項の変容と浸透」

 以前の記事に書いたように、事前にA4で7枚14ページのレジュメが配られている。Adobe InDesign CS_Jで作成し、PDFのファイルで入稿したもの。

・配付資料(レジュメ、PDFファイル)
http://cte.main.jp/newsch/images/library/File/20090905resume2.pdf
※サイト容量の関係で後日、消される可能性あり。当日配ったものに少々修正を加えている。


 報告の司会は渡邉義浩先生。
 「NPO三国志フォーラム」所属ということやサイト「三国志ニュース」などで「ネットの世界ではお馴染みの方」として清岡が紹介され、ネットを中心とした「三国志」の事情が報告されることが告げられる。

・NPO 三国志フォーラム
http://www.sangokushi-forum.com/

・三国志ニュース
http://cte.main.jp/newsch/


 その様子を舞台向かって左のコンソール前から、いわば裏側から、清岡は見ていたわけだけど、清岡の目には、手にしたレジュメからキーワードをピックアップし、紹介の文言をその場でうまく作成されているように見えたので、さすがだなぁ、と妙な感心を抱いていた。

 コンソールの三方に敷き板があって、その前に座ると、観客席が見えにくくなっていて、反応を見ながら発表できないな、と少し残念に思っていた。コンソールの操作画面の「プロジェクター」を押すと、一括して、スクリーンが降りてきて、同時にカーテンが閉まり、ノートPCの画面と同じものが映し出される。
 発表は、プロジェクターでAdobe InDesign CS_Jで作成したPDFのスライド(下記)を順繰りに見せ、それにマイクを通し解説の声を当てていくという方式で行われた。

・発表資料(スライド、PDFファイル)
http://cte.main.jp/newsch/images/library/File/20090905pro2.pdf
※サイト容量の関係で後日、消される可能性あり。当日映し出したものから下記ページにリンクしている別添(PDF)から引用した部分を含む4ページから6ページまでを削っている。

・平成18年「通信利用動向調査」の結果
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/2007/070525_1.html


 以下に発表原稿を掲載する。<>内の数字はスライドのページ数に対応する。その横の時間は、事前に声を出して測定した経過時間であり、当日も発表原稿を映し出す方のノートPCで経過時間を表示させていたが、実際は最終的に2分程度早まっていた。以前の記事にも書いたけど、元々はレジュメと同じ様な内容になる予定だったが、時間調整の関係で、結局はほとんどがスライドを見て、新たに文章を作っていた。そのため、口頭で発表した分よりレジュメの文の方が情報量は多くなっている。


<1>
 ご紹介にあずかりましたフリーライターの清岡美津夫です。
 冒頭から申し訳ないのですが、お手元にある配付資料に誤りが一つ見つかりましたので、訂正をお願いします。配付資料の最後のページにある最後の注の16で「1999年に長沙市の中心街である走馬楼の工事現場の古井戸から」となっていますが、これは1999年ではなく1996年の誤りです。訂正願います。

 それでは発表させていただきます。このタイトルからは判りづらいのですが、インターネットに見られる現代日本の三国志関連事情についてに報告します。

<2>42秒

 1.序言

 ご存知のように三国時代を対象とする事項は、陳寿の『三国志』や裴松之の注で引かれる文献だけでなく、その他文献や出土史料などにも散見されています。当報告ではそれらを「三国由来事項」と総称します。また、厳密には三国時代のことではないのですが、便宜上、『三国演義』や陳舜臣/著『秘本三国志』などの『三国志』を題材とした後世の創作物にある事項も「三国由来事項」に含みます。具体的には「三国由来事項」とは、スライドに書かれてあるように、例えば、曹操や馬氏の五常や桃園結義などがそれに該当します。三国由来事項の多くは三国時代から書籍などいろんな媒体を通じて、現在の我々のところに伝達されています。

<3>1分47秒

 こういった伝達は従来であれば、発信源となる媒体自体はもちろん記録に残り得ますし、何が誰に伝わったかということも場合によっては記録に残ります。例えば、注での文献の引用は、誰にどの箇所が伝達されたか記録されていますし、卑近な例では、書評や感想文も、伝達の記録が残ることだと言えます。
 それらに加え、インターネット上に限定すれば、利用者がどのような情報を探しているか、言い換えればどのような情報に関心を向けているかも記録に残りうることがあります。それが当報告での主要な材料になります。これについては後ほど詳しく説明します。

<4>2分40秒

 その前にそもそもインターネットは現代日本でどのように利用されているかについて紹介します。総務省による「平成18年通信利用動向調査」というのがありまして、スライドにも表示させていますが、それによると、現代日本のインターネットの利用率は全体として近年、増加傾向にあります。

<5>3分14秒

 みなさんご想像の通り、世代間にインターネットの利用率の差がありますが、少なくとも13歳以上49歳未満までは89%の利用率になります。

<6>3分36秒

 この調査について、当報告で特筆すべきことは、インターネットの利用目的の67.5%が情報入手となっていることにあります。それほどインターネットは現代日本において情報探索に使われており、当報告の目的に合致しています。

<7>4分6秒

 そして何をこれから報告するかと言いますと、2005年3月から2007年12月までの期間で「三国志」関連サイトへのアクセスを定点観測した結果を報告します。その上で、その観測結果から、三国由来事項がどのように変容し、現代日本へ浸透しているか、判明した分を続けて報告します。

<8>4分41秒

 2. 集計方法 2-1. 観測点

 次に集計方法の説明に移ります。アクセス集計の観測点に2つのサイトを選びました。共に「三国志」に関係するサイトです。「三国志ファンのためのサポート掲示板」は、いわゆる「掲示板」というもので、誰でも参加できるネット上のコミュニティとなっております。ゲームの話題を禁止していますので、自然と話題が『三国志』に関連する歴史や古典文学中心になっています。もう一つの「三国志ニュース」は、いわゆるブログというもので、こちらは娯楽作品の情報も発信しています。そのため、二つのサイトは互いに相補的な情報となっています。それぞれのサイトへは内容に応じて検索されます。

<9>5分40秒

 2-2. 観測スクリプト

 観測点は以上のようになりますが、次に何を使ってアクセスを調べるかについて説明します。観測には、アクセス解析用フリーソフト『Access Report』を基礎として機能改良された『access cgi ver.3.11』を使用しました。これは特別なソフトではなく、汎用性の高いものです。但し、そのソフトの設定の都合上、携帯電話によるアクセスは充分に観測されませんでした。

<9→10>6分17秒

2-3. 観測データ

 以上のようなソフトを使って観測点で得られた観測データについてですが、一般的にブラウザからサーバーへ渡されるデータには、リンク元のURL、使用ブラウザ名とそのバージョン、アクセス元のIPアドレス、アクセス元のホスト名などがあります。これらのデータの中には個人情報が含まれる可能性のあるものもありますので、含まれないリンク元のURLを使います。さらにリンク元のURLが検索サイトからのものでありますと、そこに検索語句が含まれています。検索語句は何の情報が求められているかそのまま表れていますので、この検索語句を起点として考察を進めていきます。

<10→11>7分16秒

2-4. 検索語句の分類

 この検索語句は表現の揺らぎや誤認・誤変換があって、そのまま取り込んで集計しますと煩雑になりますので、分類作業を行います。
 まず検索語句の取捨を行います。これは検索語句の全てが三国由来事項を含むとは限りませんので、不必要な検索語句を省く作業となります。
 次に検索語句を三階層で分類します。大分類は形態、メディアなどを基準にし、中分類は作品題名、種別などを基準にし、小分類は内容に関わる項目や事象などを基準としています。

<11→12>8分6秒

 分類した後、どう表記するかというと、当報告ではスライドにあるようにスラッシュで区切って表記します。左から大分類、中分類、小分類となります。スラッシュが二つあって小分類のところに何も書かれていない場合は、中分類項目と小分類項目は同じ名前となります。また、スラッシュが一つしかない場合は、大分類と中分類しか表記されていないことになります。

<12→13>8分46秒

 こういった三段階の分類に、ある程度のルールを設定します。
 まず包括規則ですが、これは検索語句がいろいろな意味に取れる場合、より本来に近い意味に包括するルールです。
 次に一般化規則ですが、こちらも検索語句にいろんな意味に取れる場合、より一般的なものに分類するルールです。
 次の省略規則は、余分な検索語句や自明な検索語句を省略するルールになります。
 その次の分配規則が、1カウントに並立する検索語句があった場合、そのカウントをそれぞれに分配するルールです。
 最後に訂正規則ですが、これは単に誤認や誤変換からくる誤字を訂正するルールです。

<13→14>9分38秒

3. 集計結果と考察
3-1. 3年間のアクセス傾向

 実際、集計してみると、このような結果になりました。まず三年間の全体的なアクセス数は77万9658カウンツになりました。そのうち検索された分は四分の一程度の20万8059カウンツであり、三国由来事項を含む検索は全体の五分の一程度の16万4651カウンツになりました。16万のアクセス数があれば、充分、何らかの意味を見出せる量であるとしました。

<14→15>10分37秒

 その16万のアクセス数がどういった変遷を示すか調べたのが、このグラフになります。横軸が日付で縦軸がアクセス数になります。このアクセス数の単位はcpd、一日当たりのカウンツになります。
 2005年のアクセス数はほとんど、100cpdに満たないのですが、2006年1月以降、安定して100cpd以上のアクセス数になります。
 このグラフの2007年2月ごろに鋭いピークがありますが、これについては後に説明します。

<15→16>11分22秒

 どのような検索があったかを報告する前に、大前提として、アクセス数が増加するメカニズムについて触れたいと思います。

3-2. 検索に関わる三段階モデル

 スライドにありますように、検索に関わる三段階モデルを想定してみました。まず段階1として主に断片的な情報により、検索者が、ウェブ上で何かを検索したいという動機が発生します。段階2として検索者が、検索サイトなどを通じウェブ上で情報を検索します。この時に、観測点が検索されれば、アクセス数として日時と検索語句が記録されます。段階3は検索者がページを見ること、つまり情報伝達となります。この情報伝達が当報告のタイトルにもあります「浸透」に相当します。
 この段階3で検索者にとって不充分な情報であれば、新たな段階1となります。

<16→17>12分30秒

 このような「検索に関わる三段階モデル」について、二つ前のスライドの図1で出てきました鋭いピークを具体例として説明します。

 <スライドを一旦戻し、見せる>

 図1にあった鋭いピークの主な要因は中分類の「ゲーム/無双OROCHI」となっています。この「無双OROCHI」についてのアクセスをスライドにあるようにグラフにしました。横軸が日付で縦軸がアクセス数になります。
 『無双OROCHI』は『三国志』由来のキャラクターが登場するテレビゲームです。その発売が2007年2月1日に公表され、同年2月2日にウェブ上で公式サイトが発表されました。ここで特筆すべきことは、それ以前にもメーカーは『無双OROCHI』について題名を出さずに広告を出すという、いわゆるティーザー広告を出しているということです。これにより顧客にとって、「検索に関わる三段階モデル」における段階1の動機発生が引き起こされやすくなっていました。それを受け、段階2に移り、顧客の一部はウェブ上で検索します。その検索により観測点がアクセスされて、2月4日にアクセス数のピークを迎えます。
 この時にウェブ上に『無双OROCHI』に関する情報が希少であるため、その分、観測点でのアクセス数が極端に増大したと考えられます。当報告ではこれを希少価値効果と呼びます。
 「検索に関わる三段階モデル」の段階3になると、段階1の動機が解消されますので、自然とアクセス数は下がります。それに加え、2月4日以降、ウェブ上でも『無双OROCHI』の情報が増えてきますので、相対的に観測点へのアクセスが減少します。当報告ではこれを遮蔽効果と呼びます。

<17→18>14分43秒

3-3. 三階層による分類の傾向

 以上のように、アクセス数の増減があるんですが、三年間の全体の傾向としては大分類項目として30項目に分けますと、スライドの円グラフのようになりました。「歴史」の割合は大きいものの、「漫画」「ゲーム」「玩具」の割合も大きいのが現代日本の傾向をよく表していると思います。

<18→19>15分17秒

 それらを年ごとに見ると、スライドの三つの円グラフのようになります。ここで大分類項目の「歴史」や「古典文学」に着目し、日ごとのアクセス数を見てみると、先ほどの『無双OROCHI』のようなピークが観測されず、時事的な話題に影響を受けにくいことがわかりました。それとは対照的に、大分類の「ゲーム」や「玩具」は時事的な話題の影響を受けやすくなっています。これが年ごとの割合の違いとして表れていると思われます。

<19→20>15分58秒

 大分類については以上ですが、次に中分類と小分類について報告します。中分類は765項目におよび、小分類は9167項目におよびました。
 これだけ膨大な数ですので、一つ一つの紹介しませんが、中分類については割合の大きい項目を表1に示しました。赤で囲った項目は、のちに説明したいと思います。
 2005年は「歴史/三国志」が四分の一におよんでいるのが特徴となります。

<20→21>16分42秒

 2006年では前年に比べコーエー製やセガ製などゲームに関する割合が大きくなりました。ゲームに関しては後ほど、詳しく説明します。

<21→22>17分1秒

 2005年、2006年と「歴史/三国志」が最も割合が大きかったのですが、2007年は「玩具/BB戦士三国伝」が一位となります。これについても後ほど説明いたします。

<22→23>17分22秒

3-4. 時事的な話題が影響を与えるアクセス数の増減

 次に着目することは、時事的な話題に影響を受けるアクセス数についてです。スライドには「三国志」を題材としたアクションゲーム『真・三國無双5』についてのアクセス数変遷を示しています。横軸が日付、縦軸がアクセス数となります。
 このゲームの発売が2007年7月17日に公表され、三日後に最大値215cpdのピークとなります。これは先ほど説明した『無双OROCHI』と類似のピーク形状ですので、同じくアクセス数の増加には「希少価値効果」、減少には「遮蔽効果」が効いていると思われます。

<23→24>18分13秒

 これとは対照的に同じ『真・三國無双5』でも時事的な話題があるものの、アクセス数が増加しない事例があります。2007年10月10日に『真・三國無双5』と新型廉価版の『プレイステーション 3』の同梱商品が発売されると発表されて、メーカーのおろし業会社の株価が19.5%上昇するほどの話題性があったんですが、スライドにありますように、アクセス数はまったく増えませんでした。これは遮蔽効果が働いているとも考えられますが、株価を上昇させた投資家にとってウェブで検索する動機が生じなかったように思えます。

<24→25>19分4秒

3-5. ゲームに関わるアクセス数変遷

 引き続き、時事的な話題に影響を受けるケースについて話を進めます。その典型例として『三国志』を題材としたコーエー製とセガ製のゲームに着目し、そのアクセス数の変遷を追い、その裏に潜む社会現象を探りたいと思います。
 まずコーエー製品とセガ製品との違いについて説明します。コーエー製品は主に家庭用ゲーム機向けが多く、それに対し、セガ製品はゲームセンターなどの業務用ゲーム機が多くなっています。またコーエー製品は1985年より三国由来事項を含む製品を発売していますが、セガ製品は2005年に初めてリリースされ、前者の方は実績が二十年以上もあります。この違いを念頭に置いて、グラフを見ていただけると良いと思います。
 まず2005年のアクセス数変遷です。横軸が日付で縦軸がアクセス数になり、青い線がコーエー製品で、赤い線がセガ製品の曲線になります。ゲームだけでなく、二つの製品に関わる、「漫画」や「ネット」などのアクセス数も含めています。
 2005年はセガ製品に二つのピークが見られます。S1が製品の改良リリース、いわゆるバージョンアップに帰属されます。S2は『三国志大戦』の公式サイトにおいて、著名な漫画家による描き下ろしの漫画が発表されるということが起因となります。製品自体に関心が向いたというより漫画家に関心が向いたという方が適切かもしれません。

<25→26>21分0秒

 次に2006年に移ります。コーエー製品のピークはどれも『三國志11』についてのアクセス数増加で、言ってみれば製品自体への関心に起因するものです。対するセガ製品も『三国志大戦2』という製品自体に向けられた関心によりピークが形成されています。

<26→27>21分28秒

 最後に2007年に触れます。コーエー製品については引き続きどれも製品自体によるピークだと言えます。製品は先に説明しました『無双OROCHI』と『真・三國無双5』になります。それに対し、セガ製品は製品自体によるものは少なくなっています。S6の主要小分類項目である「ゲーム/ありあけの宴/」とはメーカーが主催する『三国志大戦』のイベントのことです。S7の「漫画/海皇紀32eX/」とは、一見、『三国志大戦』とは関係ないように思えますが、これは『海皇紀』という漫画の単行本の32巻に『三国志大戦』の「孫尚香」のカードが同梱されているもので、いわゆるコラボレーション商品というものです。最後のS8の「ゲーム/三国志大戦2/横山三国志伝」とは、製品の内容についてです。これは『三国志大戦2』内の一人プレイ用シナリオの「横山三国志伝」を指し、その名前の通り、漫画の横山光輝/著『三国志』に絵や演出が準じたものとなっており、つまり別の作品へ向けられた関心も取り込もうという意図が見えます。

<27→28>23分6秒

 以上をまとめますと、観測された分に限れば、製品情報を公表し時事的な話題を提供することで、コーエー製品へ向けられた関心は顧客の認知性に頼る形で集められています。
それに対するセガ製品については、その方法に加え、イベントを企画することや元来、自社製品と無関係ですが人気のある事項を取り込み自社製品を変容させることで関心が集められています。

<28→29>23分47秒

3-6. 「データベース消費」によるアクセス数増加

 次に、こういった三国由来とは無関係な事項を取り入れ、関心を集める方法の別の事例を見ていきます。
 スライドの図は、横軸に2007年の日付をとり、縦軸にアクセス数をとったグラフで、青い曲線が中分類項目の「玩具/BB戦士三国伝」に関するアクセス数の変遷を示しました。影響を調べるため、赤い曲線に「歴史/三国志」のアクセス数変遷を示しました。
 『BB戦士三国伝』とは2007年6月15日から発売され続けている玩具であり、図にありますように、その話題性により発売前の4月15日からアクセス数が増加し、ほとんど20cpdを割ることはありませんでした。

<29→30>24分55秒

こういったアクセス数の増加に表れる、『BB戦士三国伝』への高い関心は、「データベース消費」によりうまく説明できます。その用語の意味を『文学環境論集 あずまひろきコレクションL』から引用し読みます。

「データベース消費」とは、個々の作品やデザインがさまざまな要素に分解されたうえで、作品という単位への顧慮なしに直接に消費され(たとえば原作は読まれないのにキャラクター商品だけは売れ)、ときに消費者の側で再構成されてしまうような消費様式を意味する。

以上のようになります。

<30→31>25分47秒

 これに対し、『BB戦士三国伝』の説明に移ります。『BB戦士三国伝』とは、BB戦士シリーズの一環であり、『三国演義』を題材とした、対象年齢8歳以上の組立式のプラモデルです。その他、漫画でもその作品が発表されているという、いわゆるメディアミックス的な商品展開がなされています。
 この作品は『三国演義』そのものを表現すると言うより、SDガンダムのキャラクターが役者として、『三国演義』の役を演じるという構造にあります。
 例えば、製品となった「関羽ガンダム」は「ZZガンダム」に由来した2.5頭身のキャラクターがあたかも「関羽」を演じています。『三国志』卷三十六蜀書関羽伝に「羽、美しき鬚髯あり、故に亮これを髯という」とあるようなヒゲが特徴的な見た目や、『三国演義』第一回に出てくる「青龍偃月刀」に対応する「鬼牙龍月刀(オーガりゅうげつとう)」の武器を有しています。
 つまりは『三国志』または『三国演義』を要素までに分解し、他方で『BB戦士』や『SDガンダム』を要素までに分解し、それぞれの母体となる文献や作品に依拠せず『BB戦士三国伝』という作品上で再構築されます。
 これにより『三国演義』と『BB戦士』のどちらを知らずとも消費可能であるというメリットがありますし、逆にそれらのどちらかを知っていれば、それがブランド力として作用し、関心が生まれやすく、それがアクセス数の増加に繋がったと考えられます。

 反対に『BB戦士三国伝』から『三国志』もしくは『三国演義』へ関心が移動する可能性はありますが、2007年では観測されませんでした。つまりは元となる『三国志』もしくは『三国演義』へ顧慮されていないことが示唆されており、データベース消費を伴っていそうです。

<31→32>27分55秒

 こういったデータベース消費を伴っていそうな作品について、先に示した表1にある中分類項目から選んで、スライドにまとめてみました。左側が元になる作品やジャンルになり、右側がデータベース消費を伴いそうな作品となります。
 これらのどれもがそのアクセス数増加の影響で、「歴史/三国志」もしくは「古典文学/三国演義」へのアクセス数増加へは繋がりませんでした。

 以上により、三国由来事項を含まない人気作品あるいは人気ジャンルからの要素を大きく取り入れた作品は、そうでない作品に比べ、容易に関心を集め得ますが、短期において表面的には『三国志』および『三国演義』への関心が向いていないことが確認されました。
 これはこういった作品において三国由来事項が表面上、変容したまま復元されずに浸透していることを意味しています。そのため、短期的には他の三国由来事項を含む作品への関心および、それに続く情報伝達が生じにくく他の作品への発展性が希薄だと考えられます。

<32→33>29分17秒

3-7. 関心転移の一例

 これまでは大分類項目「歴史」や「古典文学」は時事的な話題に影響を受けにくいとしてきましたが、いくつか影響を受けている事例があります。
 一例として小分類項目「歴史/三国志/諸葛亮忌日」が2006年8月23日に最大値18 cpdを示すピークを形成しています。この日付はご存知の方も多いと思いますが、『三国演義』第百四回に「孔明答えず。衆将近前して、これを視るに、既に薨じぬ。時に建興十二年秋八月二十三日なり。寿五十四歳。」とありますので、この日付自体にアクセスに繋がる時事的な話題性があります。
 類似の例として『三国志』蜀書先主伝由来で「歴史/三国志/劉備忌日」が2007年4月24日に最大値11 cpdを示すピークを形成し、『晋書』宣帝紀由来で「歴史/三国志/司馬懿忌日」が2006年8月5日に最大値7 cpdを示すピークを形成することが挙げられます。

<33→34>30分44秒

 それ以外にも、対象を小分類項目に絞れば、番組放送という時事的な話題から大分類項目「歴史」および「古典文学」へ関心が転移する事例も見出すことができます。
 2007年1月5日に日本テレビ系列で放送された番組『100人の偉人 天才編』において、諸葛亮について題材として取り上げられました。それに、宋代の高承『事物起源』に載る饅頭の由来の話、『三国演義』第四十六回にある諸葛亮が十万本の矢を集める話、民間伝承にある、諸葛亮が孔明灯で脱獄する話、諸葛亮が妻のために知恵の輪を発明した話が出てきました。
 そこで、番組自体に関係するアクセス数と、番組に出てきた三国由来事項に関係するアクセス数を図示したのが、スライドにある図7になります。横軸が日付で縦軸がアクセス数になり、青の曲線が番組関連で、赤の線が番組にある三国由来事項関連になります。番組関連のアクセス数が2007年1月9日に最大値14 cpdを示すピークをなりました。それに対し、8日後の17日に番組にある三国由来事項のアクセス数が最大値6 cpdを示すピークをなりました。これは番組から「歴史」もしくは「古典文学」へと、関心が転移した現れと考えられます。

<34→35>32分36秒

3-8. 教材への変容と教育機関への浸透

 次に別分野での時事的な話題が大分類項目「歴史」および「古典文学」のアクセス数に影響を与える事例を見ていきます。
 図8は「歴史/長沙走馬楼呉簡」に関するアクセス数変遷になります。横軸に2007年7月の日付をとり縦軸にアクセス数をとっています。そこで2007年7月二十日に「歴史/長沙走馬楼呉簡/」が最大値26 cpdを示すピークが、「歴史/長沙走馬楼呉簡/丘」が最大値22 cpdを示すピークが観測されました。「長沙走馬楼呉簡」とは、ご存知のように、1996年夏に長沙市の走馬楼で大量に発見された簡牘群のことです。

 当報告の前半で触れましたように、観測データには「アクセス元のホスト名」が含まれていますので、それを元に調査しますと、アクセス数のピークをなした2007年7月20日は、ある大学の講義のレポート提出日だったとのことです。
 そのレポートは講義をまとめるというもので、ウェブとは無関係なんですが、一部の受講者がレポート作成という動機により、ウェブで検索するという行動に及んだことがこの図からうかがえます。
 つまり三国由来事項が教材へと変容し、教育機関へ浸透した現象だと言えます。

<35→36>34分45秒

 こういう教育機関が元となる関心の増加は特殊な事例ではなく、よく観察される事例です。その証左になると思うのですが、先週、観測点の一つである「三国志ファンのためのサポート掲示板」でも、テスト範囲という理由で高校生が『三国志』魏書鄧哀王沖伝にある象の重さを計る漢文の口語訳を質問していた程です。
 そこで「教育機関/漢文」という中分類項目を設定して、集計してみました。それがこの図です。横軸に日付で縦軸がアクセス数になっていて、年ごとに曲線の色を変えています。結果、年中、ある程度のアクセス数が観測されますが、逆に、おそらく学期の影響により、3月下旬と8月中旬のアクセス数が減少することが見られました。
 それらの検索は定期試験や入学試験などの準備やレポート課題の提出のためという強い動機により引き起こされると推測されます。そのため、検索は時限的であり、動機が解消されれば検索する必要性が無くなるため、三国由来事項の浸透に向けての発展性が希薄だと推測されます。

<36→37>36分26秒

3-9. 広範囲に渡る浸透の一例

 今までは一つの中分類項目だけを見ていました。しかし、現代日本の商品は、一つの作品で複数のメディアで展開させる、いわゆるメディアミックスが一般的です。
 そこで2007年4月6日からテレビ東京系列で25回放送されたテレビ番組でアニメーション作品の『鋼鉄三国志』について着目し、三国由来事項を含む作品がどのように複数のメディアを通じ浸透していくか、見ていこうと思います。
 図9がそのアクセス数の変遷になります。横軸が2007年の一年間の日付で縦軸がアクセス数となります。7本の曲線はそれぞれ大分類項目の「アニメ」、イベント、「ラジオ」、「音響作品」、「漫画」、「ネット」、「二次創作」となります。
 この作品の声優がメインパーソナリティを務めるラジオ番組『宮野・遊佐の鋼鉄三国志らじお伝』は2007年1月6日から放送開始されますし、『鋼鉄三国志』公式サイトは同年1月10日から開設されています。しかし、それらの情報が観測点では1月13日に導入されますので、このグラフの1月13日以前のアクセス数が一様にカットオフされています。
 逆に1月13日以降は希少価値効果でアクセス数が増大していき、まずA1のピークが形成されます。その次がR1のピークが形成されます。
 隔月刊で三国志漫画専門誌に『コミック三国志マガジン』というのがあったんですが、その1月28日発売の13号で、4月1日に「鋼鉄三国志前夜祭」という声優出演のイベントが開催されることが発表されました。それにともないイベントについてまず1月31日にE1のピークが形成され、続いて、その関心が転移したようにA2のピークが2月3日に現れ、そのイベントの応募締め切り日の前日にあたる2月27日にA3のピークが現れます
 このように『鋼鉄三国志』は声優中心にメディア展開されており、そこに声優ファン層からの関心を集めようという意図が認められます。

 それ以降、おそらく遮蔽効果の影響により全体的なアクセス数が減少していると思われます。
 その後、7月20日にN1のピークが現れ、続いて8月6日にS1のピーク、8月17日にN2のピークが現れます。これらのピークは「ネット」や「二次創作」に分類されるものですので、言ってみれば、本来、受信者であるはずの層へ関心が向いていることになります。これは作品自体に向いていた関心が大体、半年ほどかけて二次情報へ転移するといった典型的な現代の現象が観測されたと言えます。
 つまり、受信者も情報伝達を担うことで、結果的に三国由来事項の変容が進むものの、消費されにくい状態になり保存の場が形成されたと言えます。

<37→38>40分24秒
4. 結言

 最後に結言に移るのですが、これまでの報告をまとめると、スライドのようになります。

 これまでの報告で見られる現代日本特有の特徴としましては、キーワードとして「断片化と重畳」が挙げられます。つまり、三国由来事項の多くは断片化され、それに向け、元来、無関係な分野・作品からの事項が重畳され再構成され、社会へ浸透しやすい形に変容していると言えます。そのため、より関心が集まりやすいのですが、その反面、消費が早く、原典により近い領域へ関心が及びにくくなる効果も認められます。

<38→39>41分16秒
 このようにアクセス集計を通じ、三国由来事項を含む社会現象を探る方法は、社会学など学術領域で利用できる他、販売促進の検証など商業分野での応用も期待できます。当報告では2つのウェブサイトだけの2005年から2007年までのアクセス集計を行いましたが、それらの利用や応用を視野に入れ、遮蔽効果を緩和し、より一般性を高めるため、三国由来事項を含む複数のウェブサイトから検索語句を集め、さらにその結果をリアルタイムで公開し共有財産として誰でも利用できるシステムを構築中です。今後はそのシステムも念頭に入れつつ引き続き、2008年、2009年についても同様の調査を行い、現在により近い領域で三国由来事項を含む社会現象を探る予定です

42分21秒


(※発表中、印象に残っていることは、「3-8. 教材への変容と教育機関への浸透」の節で前の方に座られていた先生方の受けが良かったことだろうか。確かに笑い声が届いていた)

 10:47。発表を終え、渡邉先生の司会が入り、「社会学、経営論に関わって「三国志」がどう展開されているのか…」というような出だしで報告の要約を添えて下さる。映画『レッドクリフ』の日本語監修をされた立場なので、「三国志と全然違う」という強い批判を受けた経験を話された上で、「データベース消費だ、と言えば解決したんだな」と言って場内の人の笑いを誘っていた。そこからデータベース消費だと元(※より原典に近い領域)に戻っていかないというのが「我々にとって大きな痛手」と評された後、『レッドクリフ』(来場者)が400万人、「三国志検定」(受験者)が3000人、「三国志学会」(会員)が300人で、400万人がそのまま「三国志検定」に上がってくると、ずっとお得になるという訳ではない、と言って、これまた場内の人の笑いをより誘っていた。

 10:48。続いて、質疑応答の時間へと移り、渡邉先生から質問を促されるも、さすがにいきなり質問する方は居なかったので、渡邉先生から、書籍がこういうふうにすれば売れるか等の質問はないか、会場に居た出版社の方を指名する。

Q1 出版社の方より。なかなか広がった関心を元に戻す作業はできないが、書籍をデータベースにされているところはあるが、なかなか実売につながらない。そう言うときに、インターネットを通して(広告を含め)関心を元に戻す効果はどれぐらいあるのか。もう一つは国外から三国由来事項に関係するアクセスはどれぐらいあるのか

(※どうも清岡は質疑応答の心の準備ができていなかったようで、壇上で考えが纏まらずにいて、何度も渡邉先生に助けを求める視線を送ってしまっていた)

A1 一点目について、ポータルサイト(※「三国志ワーズ」のこと)を例に出し、関心を元に戻す説明をしているがうまく説明できていないし、伝わっていない。

※参照記事 メモ:ポータルサイト「三国志ワーズ」構想

 二点目について、今回の報告について実は海外のアクセスも含めており、定量的な話はできないが、定性的にはある程度ある。(海外への関心はあるかという追加の質問に関して)例えば「レッドクリフ (役者名)」といった検索語句があり、そういう意味では関心が見られる。

Q2 愛知大学の矢田先生より。娘が『戦国BASARA』の影響で日本史の方に興味関心が高まっている。そこで「三国志」の方へ関心を向けるにはどうすれば良いか。

A2 今回、2007年までの観測だったが、『レッドクリフ』が公開された2008年も分析するともしかすると、そういった関心が観測されるかもしれない。

(※ここで『戦国BASARA』とは何かという質問が司会より出る)。
 (それに対し)矢田先生が、日本の戦国時代を題材としたゲーム、と説明した上で、それにより日本史がブームになっていると解説する。
 さらに清岡から解説を加え、日本の戦国時代の『戦国BASARA』に対し、中国の三国時代にはコーエー製の『真・三國無双』があり、両者の違いとして前者は「声優が豪華」(※つまり人気声優を多く起用)であると指摘し、より関心が集まりやすいと解説する。壇上から見ると、主に会場の女性の笑いを誘っていた。
 矢田先生から、もしそういった声優を配すれば、「三国志」の方にも関心がむかっていくのかと追加質問が出て、それに対し清岡は関心が集まるかもしれないが「データベース消費」に陥る可能性があると答える。

Q3 R・Fさんより。「三国志ファンのためのサポート掲示板」はゲーム系などの話題は扱っていないが、社会的にはゲーム系などに関心が多いがその辺はどうか。

A3 冒頭で説明したように「三国志ファンのためのサポート掲示板」はゲーム系などの娯楽系の話題は扱われていないが、それとは相補的な情報が載る「三国志ニュース」が今回、観測点に含まれているので、フォローできている。

 10:58終了

※参照リンク
・えちぜんの独り言 Ver.2
http://echizen01.blog52.fc2.com/

・三国志学会 第四回大会 雑感(その1)
http://echizen01.blog52.fc2.com/blog-entry-787.html


※次記事 三国志学会 第四回大会ノート2

※追記 三國志研究第五号(2010年9月11日)

※追記 早稲田大学の入試で『三国志』

※追記 真・三國無双 声優乱舞 2011秋(2011年9月11日)

※追記 天地を喰らう(Mobage2011年6月13日)

※追記 日本における三国志マンガの翻案過程(2012年6月23日)

※追記 ノート:日本における三国志マンガの翻案過程(2012年6月23日)

※追記 ノート:三国志学会 第五回大会(2010年9月11日)

※追記 京都で哲舟さんを囲む会(2013年2月5日)

※追記 三国志ファンのためのサポート掲示板十周年(2013年5月16日)

※追記 曹操(プレミア放送2014年1月5日)

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