毎年、この大型連休の時期に京都古書研究会主催で京都市勧業館(みやこめっせ)でやっているのが「春の古書大即売会」。今年で第27回で、5月1日から5日までやっている。
・京都古書研究会
http://www1.kcn.ne.jp/~kosho/koshoken/
どんな催しかというと、広いホールに本棚がずらりとならんでいて、それぞれのスペースに京都を初め大阪や奈良の古書店が出店していて、いろんな古書を物色できる会。出店されている古書店は43店、会計は会場奥の壁際のカウンターで一律だし、買い物かごも用意されている。
…と以下のように去年も(そして一昨年も)記事にしたので、上の文はほとんど去年と同じにしている(笑)
※関連記事
第26回春の古書大即売会(京都古書研究会)
第32回 秋の古本まつり(京都古書研究会)
※追記
第22回下鴨納涼古本まつり(京都古書研究会)
※追記
第34回 秋の古本まつり(京都古書研究会)
※追記
第29回 春の古書大即売会(京都古書研究会2011年5月1日-5日)
そして今年は諸般の事情により、閉館一時間前ぐらいに到着したので、東洋史関連が置いてそうな書店のブースをピンポイントで廻っていくことになる。まぁ、「春の古書大即売会」は「秋の古本まつり」に比べ店舗数が多いものの、その分、一店舗当たり(つまり興味有る店当たり)の本の数が少ないような気がするし、毎年、私的に興味のある書籍が置いていないことと置いていたとしても手の届かない値段だということを確認しにいくようなものだから、そういう方法がスマートのような気がするけどね。
紫陽書院を初め、あれこれ見ていって、今年は欲しい本が少なかったと同行者と言っていた。残り時間は、紫陽書院のブースに行って、明代版本の『蔡中郎文集』十卷外傳ばかり見ていた。つまり蔡邕の著作集全十巻+外伝ね。2200円。電子データで持っていたような気がしていて、それを見極める上でも長時間、読んでいた。中でも劉表の石碑である「劉鎮南碑」をまじまじと読んでいた。よくよく考えてみると、蔡邕の著作は『獨斷』以外、まじまじと見たことがなかったので、見極められないと気付く。まぁ、お陰で「以賢能特選拝刺史荊州永漢元年十一月到官」と劉表が荊州刺史になった時期の年月が特定されていることに気付いたり、碑文に「鍾繇」の文字を見かけたりしたわけだけど。
それで買おうかどうか迷っていたが、結局、買わず、外のフロアで、ノートPC内を見てみると、数ある碑文の順序は違うものの、内容が同じものを個人利用の範囲でデータとして持っていたことが判る。「東京大學東洋文化研究所漢籍善本全文影像資料庫」にある『漢蔡中郎集』六卷ってやつだね。そこで気になったのが、手元のデータにある「劉鎮南碑」では前述の部分の年月が「永平元年十一月」になっていた。『後漢書』本紀に「九月甲戌、即皇帝位、年九歳。遷皇太后於永安宮。大赦天下。改昭寧為永漢。」とあって、「永漢」だと合点が行くんで、それが正しいんだろうね。
※関連記事
東京大學東洋文化研究所漢籍善本全文影像資料庫
※『獨斷』関連リンク
・上表・上疏・上奏の違い (※「三国志ファンのためのサポート掲示板」内記事)
http://cte.main.jp/c-board.cgi?cmd=ntr;tree=2906
<5/19追記>
「第53回国際東方学者会議 東京会議」のシンポジウムVI「漢魏交替期における社会と文化」で発表された「「地方分権化」と都督制」の予稿集で『劉鎮南碑』の上記部分が引かれていて、そこでは「初平元年」になっていて、また、「『後漢書』郭太列傳の構成過程-人物批評家としての郭泰像の成立-」(『金沢大学文学部論集. 史学・考古学・地理学篇』Vol.28(20080325)pp. 13-110, ISSN:13424270)では注付きで「『蔡中郎集』は傳來の過程に問題がある」となっている。なるほど、異同がありそうだ。
※関連記事
漢魏交替期における社会と文化(2009年5月15日)
メモ:KURA(金沢大学学術情報リポジトリ)
<追記終了>
あと同じ棚に揚雄『方言』なんてのもあった。
※関連リンク
・揚雄『方言』 (※「三国志ファンのためのサポート掲示板」内記事)
http://cte.main.jp/c-board.cgi?cmd=one&no=3342
そして今年も、下記サイトの私がちょくちょく見に行っている日記(ブログ)2009年5月1日付けのところを見ると、そこの管理人さんも行かれたようだね。
・ひねもすひるね
http://www.nasigoren.com/
※新規関連記事
資料紹介〈年画縮様〉について(連環画研究 第3号 2014年3月10日印刷)
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