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【3159】曹操の幼名(吉利、阿瞞)について R・F 2008/7/26(土) 21:09 初心者質問
┣ 【3160】Re:曹操の幼名(吉利、阿瞞)について NAGAICHI Naoto 2008/7/27(日) 7:04
┃┗ 【3162】Re:曹操の幼名(吉利、阿瞞)について R・F 2008/7/28(月) 20:13 感謝♪
┣ 【3189】阿瞞 清岡美津夫 2008/8/31(日) 10:38 ひと言
┗ 【3203】Re:曹操の幼名(吉利、阿瞞)について 池田雅典 2008/9/10(水) 19:00

【3159】曹操の幼名(吉利、阿瞞)について
初心者質問  R・F E-MAIL  - 2008/7/26(土) 21:09 -

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   初めて投稿させていただきます。

三国志を読み始めて30年以上たちますが、漢文が苦手なもので正史を通して読んだこともなく、小説や日本語の2次文献ばかりを読み散らしている浅学な初心者です。

その中で、素朴な疑問を感じたので、ご存知の方が居られましたらご教示を宜しくお願いいたします。

正史「武帝記」の註に「太祖は一名を吉利といい、小字を阿瞞といった」とあります。
「吉利」の意味は良くわからないのですが、陳舜臣氏の関連の小説では、余り良くない意味であると書かれています。「小字を阿瞞」については、私は「嘘吐き小僧」という意味に解釈していました。

ここから疑問なのですが、

果たして自分の愛息に、「阿瞞(嘘吐き小僧)」と言うような呼び名をつけるものでしょうか? 常識ではありえないのでは。曹嵩が曹操を可愛がっていたことは、正史を読んでいて感じられます。曹操に詐病で騙された叔父であれば「あの阿瞞めが」くらいは云うとは思いますが。
実は、曹操には別に正式な幼名があったのが、記録には残らず、知られていた悪い呼び名だけが残ったのではないか、と想像しています。

あるいは、当時の「瞞」には現代とは違った意味(「頭が切れる」等の)があったのでしょうか?
また、「吉利」の正確な意味に付いても、ご教示ください。

宜しくお願いいたします。

【3160】Re:曹操の幼名(吉利、阿瞞)について
 NAGAICHI Naoto  - 2008/7/27(日) 7:04 -

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   ▼R・Fさん:
>果たして自分の愛息に、「阿瞞(嘘吐き小僧)」と言うような呼び名をつけるものでしょうか? 常識ではありえないのでは。曹嵩が曹操を可愛がっていたことは、正史を読んでいて感じられます。

武帝紀注の該当部分は、『曹瞞伝』からの引用ですが、『曹瞞伝』は呉の人の作で、悪意に満ちた記述が多く、事実としてはあまり信用されていないと思います。
『正史三国志8 呉書III』(ちくま学芸文庫)P319を参照ください。

ただ「瞞」には嘘つきという意味だけではなく、眼を覆うという意味もあり、こちらのほうが原義に近いので、ここから来ている幼名なのかもしれません。

>また、「吉利」の正確な意味に付いても、ご教示ください。

吉利は「幸運」とか「縁起のいい」といった意味だと思います。
http://www.zdic.net/cd/ci/6/ZdicE5Zdic90Zdic89309620.htm

【3162】Re:曹操の幼名(吉利、阿瞞)について
感謝♪  R・F E-MAIL  - 2008/7/28(月) 20:13 -

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   ▼NAGAICHI Naotoさん:
>武帝紀注の該当部分は、『曹瞞伝』からの引用ですが、『曹瞞伝』は呉の人の作で、悪意に満ちた記述が多く、事実としてはあまり信用されていないと思います。

回答ありがとうございます。
『曹瞞伝』からの引用だったんですね。
ということは、「眼を覆う」という意味ではなく、「嘘吐き」の可能性が高そうですね。

>『正史三国志8 呉書III』(ちくま学芸文庫)P319を参照ください。
これだけ丁寧に、文献を提示していただけるこのサイトでは、「正史」は手元にあったほうがよさそうですね。「むじん書院」さんと手持ちに2次文献だけでは辛いかも。

>吉利は「幸運」とか「縁起のいい」といった意味だと思います。
>http://www.zdic.net/cd/ci/6/ZdicE5Zdic90Zdic89309620.htm
あぁ、やっぱりここの皆さんは凄いですね。
今までなんとなく、「小利口」「利に敏い」ような否定的な意味にとっていましたので。長い間抱えていた疑問が解けました。

ありがとうございました。
これからも宜しくお願いいたします。

実は…まだ幾つもの長年の疑問を抱えております(苦笑)

【3189】阿瞞
ひと言  清岡美津夫 E-MAILWEB  - 2008/8/31(日) 10:38 -

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   ▼R・Fさん:
>正史「武帝記」の註に「太祖は一名を吉利といい、小字を阿瞞といった」とあります。
>「吉利」の意味は良くわからないのですが、陳舜臣氏の関連の小説では、余り良くない意味であると書かれています。「小字を阿瞞」については、私は「嘘吐き小僧」という意味に解釈していました。


こんにちわ、清岡です。

『CD-ROM版 字通』の「瞞」のところの「形声」の項目によると、


全体の文様が繁縟(はんじよく)な状態で、目にまぎれることをいう。それで瞞とは、目がかげって、鮮明に見るをえないこと、まぎれて欺かれる意となる。〔説文〕四上に「平目なり」とあるも文意が明らかでなく、〔繋伝〕に「目の瞼(まぶた)低(た)るるなり」とは、見ることのくらい意であろう。満幅の文飾が目をあざむくので、瞞著のようにいう。


となっていて、文中の〔説文〕とは「長く文字学の聖典とされた」(※字通付録の書名・作者解説より)、漢の許慎『説文解字』であり、〔繋伝〕とはその校定本の宋の徐[金皆]『説文解字繋伝』であり、そのままだとどちらも身体的特徴を示したものとなっていますね(ここらへんすでに[#3260]でも触れられていますね)。

でも言われてみれば「小字阿瞞」となっているのは『曹瞞伝』までぐらいしか辿れないですね。

【3203】Re:曹操の幼名(吉利、阿瞞)について
 池田雅典  - 2008/9/10(水) 19:00 -

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   ▼R・Fさん:
>また、「吉利」の正確な意味に付いても、ご教示ください。
由来はズバリこれ!と書かれた資料はないので断言は出来ませんが
「吉」も「利」も『周易(いわゆる『易経』)』に頻出する用語です。
通常、「利」は「よし」「よろし」と読まれ、「吉」は言わずもがな。
万事吉にして利ろし、という意味の目出度い名前かと思われます。

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