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▼muluさん:
>周瑜はどんな武器を得意としていたのでしょうか?
>そんなの読めばわかる…んですけど、あいにく今手元に本がありません。。
>よろしくおねがいします。
どのような返答を期待されているかによりますので、3通りの返答をさせていただきます。
[1]:歴史的に見て
三国正史では所謂”活劇”に相当する描写は非常に限られていまして、周瑜伝では
どのような武器を主として使用していたか確たる記述はなかったと思います。
この時代にどのような武器を主として使用していたかについては、前漢での鉄器普及率の上昇(秦の時代に旧七国の反乱を警戒して、青銅武器を集めて鋳潰したため)など、歴史の上で興味深い話が多いです。
周瑜はかなりの名士出身で、また彼のような高級士官が自ら武器を振るって格闘に参加する機会は限られていた(指揮官がいちいち末端の戦闘に参加していては危なっかしくて仕様がありません)でしょうから武器の候補としては
・剣:君子の嗜みとして
・弓:同じく
・鉄刀:江南では刀の普及率が高かったと記憶しています。詳細はより詳しい方にお任せします。
・戟:矛+戈の長柄武器。真三国無双2か3の呂蒙の武器の形状が最も近いです。
前漢・後漢時代の主要白兵です。
といったところでしょうか。弩は歩兵の武器ですから(騎乗で使うと振動で矢が機構から飛び出ます)使っていなかったと思います。
[2]:物語・お話として
講談から派生した三国志演義やこれに由来する漫画では、イメージ重視・聴衆うけのため合戦経緯の描写を”武将同士の一騎打ち”という形で示すことが多いです。
その結果有名な武将になると、演劇の影響もあり、イメージに由来した固有武器を持たされます。関羽の青龍エン月刀、張飛の蛇矛などですね。
もっとも、周瑜のような所謂智将・軍師タイプの場合は直接戦闘に参加しないということでイメージ武器はないことが多いです。
参考になるのは10年ほど前に中央公論社から出ていた12巻組みの画本 三国志連環画(監修:陳舜臣)で、中国ではどのように彼らの軍装をイメージしているかの元になります。この本での画が初期の三国志ゲームや横山三国志の参考になっています。
ただし、三国志演義の成立自体が宋〜明(すみません、正確な年代を忘れました)なので、引用されている軍装は、中国で白兵が最も進歩したといわれる宋の時代のものです。(個人的には好きなんですけどね)
演義・連環画での周瑜の使用武器は、槍(矛とすべきか)でしたね。
[3]:昨今の格闘ゲームでは。
具体的には光栄の真三国無双系です。
PSの格闘ゲーム:三国無双 1995年作品
PS2の格闘シュミレーション:真三国無双1〜3 1997年以降
という流れを経ており、ゲームの特徴上、各々のキャラクターの区分を明確化するため、各武将がイメージにあったと思われる固有武器を持っています。
が、[1][2]と比較して、それなりの考証はしていますがイメージ先行の”はっちゃけた”武器が多く、ちょっと三国志正史・三国志演義に詳しい人ならば「それは違うだろう」といいたくなる武器を持たされているケースが多いです。
(演義ですら、大抵の武将の武器は薙刀か槍で溢れていますから)
キャラクターのイメージ化が三国志演義で進んでいた蜀の武将はともかく、魏や呉の武将はあおりを喰っています。
最初の格闘ゲームであるPS三国無双では、基本的にキャラクターの色分けが
蜀:バランス重視;長柄
魏:破壊力重視 ;短柄の重量武器
呉:スピード重視;軽い武器かニ刀
となっていたこともあります。呉の武将は周瑜・陸遜・太史慈でしたが、彼らの武器はこの色分けに合わせて光栄から”下賜”されました。
周瑜 :古定刀=片刃の曲刀
*三国志演義では孫堅の武器。周瑜に比べて(当時)孫堅の知名度が低いため登場させることができず無理に周瑜に持たせたものと判断できます。古定とは青銅のことだったと記憶しています。
陸遜 :双剣
*彼がなぜ双剣なのは不思議でした。多分、劉備を夷陵で破ったことが有名なため、劉備の固有武器である雌雄一対の剣(=双剣)を持たせたものと判断できます。
太史慈:双鞭=二振りの鉄鞭(イメージ的には鉄棒)
*三国志演義で呉の双鞭の使い手というと実は黄蓋です。そのため、真三国無双2で黄蓋が登場したときに、彼の武器を光栄さんがどうするかは興味がありました。
三国志演義での太史慈の武器は、槍か弓か双戟=身長よりは短い戟を二振りです。
双戟の使い手としては典韋のほうが勇名だったこと、黄蓋は当時豪勇としての知名度が低いこともあり、あえて太史慈に双鞭を持たせたのでしょう。
PSの三国無双は当時としては挑戦的な作品(格闘ゲームとしての評価は低い)だったため、キャラクターのイメージ作りに光栄さんがかなり知恵を絞って多少史実や伝承は捻じ曲げてもキャラの区別明瞭化を重視したことが伺えます。
以上、長々と失礼しました。
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